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中学の卒業式に告白した人が高校で隣の席だったらイチャイチャできるのか  作者: コヨコヨ


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「自主勉終わりかな」

「へー、意識高い系かよ」

「別にそういう訳じゃないんだけど……。部活しようかどうか迷っていたら、こんな生活になっちゃって。楽間さんは、何か部活に入ったの?」

「うちは書道部に入った。美術部でもいいかと思ったけど、思ってた感じと違ったからさ」


香奈さんとはまた違ったサバサバ具合。香奈さんが脂ののったサバなのだとしたら彼女はサバフレークくらいか。女子というより、男子と喋っている感覚に近い。


「書道部……、中々渋いね」

「まあ、もとから習字を習ってたし、一回書道パフォーマンスをやってみたかったんだ」


 文化祭や、他のイベントで書道部がよくこなす巨大な模造紙にでっかい文字を書くパフォーマンスは確かに静かな書道とは別のカッコよさがある。楽間さんがデカい筆を持って狂喜乱舞するところが何となく想像できた。


「それに字が綺麗だとモテるって言うだろう。ギャップ萌えを狙ってみようかななんてな」


 楽間さんは毒リンゴを渡す魔女のようにけけけっと笑う。がさつそうな彼女の文字が綺麗だったら確かにグッとくる男子もいるかもしれない。もとより、モテを意識している時点で僕からすればギャップがあったのだけれど。


「モテたい気持ちはあるんだ……。そこは男子も女子も変わらないんだね」

「う、うっせえ。そりゃあ、女子なら誰だって可愛いって思われたい生き物だろ。まあ、素直に可愛いって思われれば楽だが、そうじゃねえ奴もいるからな。うちは完全に後者だ」

「楽間さんは可愛いでしょ?」


 ――ギャップ萌え狙っている時点で、お茶目だ。見た目だって、もっと整えたら香奈さんも可愛いって言っていた。自分の長所は自分じゃ気づきにくい部分なのかな。


「な、なな……」


 楽間さんは表情が引きつり、苦笑いを浮かべる。口角が少しにやけ、珍しく赤面する。目が意標を突かれたように見開いた。


「ん、んんっ、わかってる、わかってるぞ。神村はドがつくほどの天然だからな。そういう意味じゃないことくらいわかっている」


 彼女は小さな手を前に出し、ブツブツとひとりごとを早口で言い続けた。倒れている靴を足先で立たせ、靴と踵の隙間に指を滑りこませながら履いた。


「はぁー、まあ、お世辞でも言われるとグッとくるもんだな」


 ――お世辞じゃないんだけどな。


「女子は皆可愛いでしょ」

「生粋の女たらしじゃねえか。うちのときめきを返せぇっ~!」


 楽間さんは終始切れ散らかしていた。両手を振り、ぎゃんぎゃん騒いでいる。チワワみたいだ。


「まったく、とんだド天然女たらし野郎だな。女の敵だ」

「凄い不名誉なあだ名……。僕は天然じゃないし、女たらしでもない。でも、全女性の味方だよ」

「そういうところだよ!」


 突っ込みが鋭い。だが、言い切ると、軽く笑っていた。彼女は、口は悪いが、素で話せている感覚があり、気を使う必要がなかった。


 楽間さんは、ひとしきり毒を吐いたあと、がにまたでぷんすかと鼻息荒げに生徒玄関を出ていく。個性の強い人だなと小さな背中を見て思った。


「楽間さん、また明日~」

「あ、ああ、また明日」


 挨拶したらちゃんと返してくれるところが、優しい。


 僕は自転車小屋に向かい、自転車に乗って自宅に帰る。木崎通りの飲食店で部活帰りの生徒たちが集まりワイワイと楽しげな声で会話していた。飲食店からすれば、多くのお客さんが着て嬉しいと思うのか、鬱陶しいと思うのかどちらだろう。

 僕はあまり大人数で来られても周りのお客さんに迷惑がかかりそうと思ってしまうな。

 大勢の友達がいない僕からしたら、別に悩む必要のない問題だった。スルーするーってね。


 木崎通りにある『牛角』という焼肉屋さんから吐き出されている肉の焼けるにおいが食欲をそそる。昼以降、何も食べていないすきっ腹の僕に効果は抜群だった。巨大なファンで煙を散らしているからたちが悪い。もう、これこそ、本当の飯テロってやつだ。

 毒ガスの使用は国際法で禁止されているのに……、くっ、は、腹が。


 肉ガス地帯を颯爽と駆け抜け、お腹を極限まですかせた状態で家に帰る。

 是非とも肉料理で合ってくれることを祈った。だが、サバの塩焼きだった。母は言う、優ちゃんが肉を食べたいだろうなって感じたのと。魚は肉に入りますか? そりゃあ、魚肉とはいうけれど……。


「牛肉が食べたかった……」

「そうなの? ああ、牛乳ならあるわよ?」


 僕は母の血を色濃く受け継いでいるとは、思えない。


 サバの塩焼きを食べ終え、弟と一緒にお風呂に入った。寝る準備を済ませてから自分の部屋にこもる。壁に掛けられた柔道着が目に入った。背中に神村、粟野中と印字されている。すでに汗をかきすぎて黒かった文字が薄くぼやけていた。持ち手は解れ、襟は破れた部分が目立つほど使い込まれている。


「陽翔くんは部活を頑張っているのかな……」


 携帯電話に彼の連絡先はあれど、何も伝えることがなく、離れて一ヶ月近く経っていても連絡できていない。

 勉強しようかと思っていたいた頃、香奈さんからメッセージが届いた。


「星野香奈さんと連絡がついたよー。ゴールデンウィークに神村くんと会ってくれるって♡」

「は、早っ。え、どうやって……」


 女子の情報網がすごいのか、香奈さんがすごいのか、わからない。でも、星野さんがゴールデンウィークに会ってくれるという流れもどうしてそうなったのか、理解できなかった。


「詳しい話は折り入って連絡するねー☆ (`・ω・´)b」


 今すぐ説明してほしい所だったけれど、がっついてしまうのは少しダサい。深呼吸し、気持ちを整えてから携帯電話に文字を打ち込む。


「ありがとう。まさか、こんなに早く見つかるとは思っていなかったけど」

「ま、私に掛かればこんなもんよ♪」


 メッセージが面倒くさくなったのか、彼女から電話がかかってくる。にすぐに出て、軽い雑談に花を咲かせる。夜だからか、深夜テンションで学校にいる彼女とはまた違った雰囲気に感じられた。

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