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中学の卒業式に告白した人が高校で隣の席だったらイチャイチャできるのか  作者: コヨコヨ


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「えぇ~、神村くん、恋のお悩み中なの~」

「じゃあじゃあ、私たちが聞いてあげなきゃ~」


 コイバナと聞いた途端、うつむきがちだった女子たちが一気に元気になり、僕を取り囲んでくる。女子が恋バナ好きだと知っていたが、まさか、ここまでとは。

 女子たちの圧力に押され、口を開く。


「も、もし、卒業式に縁もゆかりもない人から告白されたら、どう思う?」

「んー、好きじゃない人から告白されてもって、思うかな?」

「けっ……、告白されるだけマシだろ。一生、されない女もいるんだぞ。私なら、どんな相手でも告白されただけで舞い上がっちゃうかもな……」

「でもさー、三年間一緒の中学校に通っていて、一切名前を聞かないとか、見た覚えがないって、案外難しくない?」

「確かにー、全く面識がなくても、何となく知ってる人っているよね」

「神村くんは影に隠れるような雰囲気じゃないし、大量の人の中でもわかりやすいから、告白された相手も、何となく知ってくれていたんじゃないかな?」


 僕は告白したと一言も言っていないのだけれど、嵐山さんはなぜかわかっているかのように呟いていた。


「うんうん、図書室に通い詰める運動部男子は絶滅危惧種だろうし、女子って男子の視線に鋭いから、見られているかもって思ったら辺に意識しちゃったりするよな」


 楽間さんはいったいどこから、僕が図書室に通い詰めていたとか、知ったのだろう。上っている最中に、ふと話していたのかな?


 頂上まであと少し。百メートルと書かれた木製の印が僕たちの歩行を後押ししてくれる。


「あー、やっと来た。遅いなーって思ったら、神村くん、女の子を侍らせていたんだー」


 香奈さんは待たされたのが心外だったのか、仁王立ちになり僕たちの前に立ちはだかる。

 一人で寂しかったといわんばかりに頬を膨らませ、にらみつけてきた。油断して寝過ごしてくれたらよかったのだけれど、そういう訳にもいかなかった。


「香奈ちゃん、神村くんは私たちを助けてくれたんだよ」

「そうそう、荷物も持ってくれたんだぜー。うちが辛いーって言ったら、肩も貸してくれたー」


 嵐山さんと楽間さんが僕を庇うように香奈さんに送れた理由を伝えていた。だが、香奈さんの表情はより一層不機嫌になる。いろいろ言いたいが言えない状況に腹を立てているのかもしれない。


「男子なんて、相手が女の子だったら誰でもいいんでしょ。女子も、男子にちょっと優しくされたからって、簡単にときめいたら駄目なんだからね!」


 香奈さんは捨て台詞を吐き、残り五〇メートルを歩く。

 僕たちは彼女の後を追った。もう、追いつけない。そんなふうに思っていたのもつかの間、香奈さんの足の動きがカメかと思うほどゆっくりで、あっというまに追いついてしまった。


「か、香奈さん、大丈夫?」

「これが、大丈夫そうに見える?」


 一歩踏み出すたび、膝が笑っており、歩くのが大変そうだった。おそらく、ここで待っていたわけではなく、普通に歩き疲れて動けなくなっていたのだろう。

 そんな彼女がどこかいじらしく、思わず笑ってしまいそうになった。


 僕は彼女に手を貸し、一緒に歩く。どこか、老人介護のように見えなくもない。いや、エスコートだ。紳士的エスコート。そう思っておかないと、彼女の癇に障りかねない。


「香奈ちゃん、頑張れ~、あとちょっと~」

「あそれ、あそれ、あそれそれそれそれっ~!」

「あら~、香奈ちゃん、急にお年寄りになっちゃったの~、か・わ・い・い~」


 女子グループは香奈さんを応援しているのか、弄り倒しているのかわからない。


「う、うるせぇえ~っ、こっちはこれで本気なんじゃいっ!」


 彼女も、周りの乗りに合わせるように叫び、笑いをかっさらっていた。

 僕が彼女を引っ張り、先に頂上にゴール……したと思ったら香奈さんが一歩大股で踏み出し、先にゴールした。


「ふぅっ、私の勝ちっ~」


 あっけに取られていた僕は勝利間近に油断してしまった。

 女子グループから香奈さんにブーイングが飛ぶなか、香奈さんは勝利宣言を山頂から高らかに叫び、聞く耳持たず。なんなら、僕にドヤ顔を見せつけてきた。悔しいけど、なんか……ちょっとかわいい。


 確かに卑怯な手段だったが、手を貸し、勝負を少し忘れていた僕の油断が招いた敗北。甘んじて受け入れるしかない。


「頂上に着いた者から、各自、昼休憩に入ってください。なるべく、クラスでまとまっておいてください」


 写真撮影があるため、昼休憩も早くとらなければならない。先に頂上に到着していた男子グループの面々はもう食事を終え、遊び惚けていた。高校生になっても子供っぽさ全開だ。


「神村くん、こっちに来てみんなでお弁当を食べようー」

「し、仕方がないから誘ってやる」


 嵐山さんと楽間さんが手招きしてきた。女子グループに男子が一人だけ混ざるというのも。


「って、今さらか」


 僕はありがたく女子グループの面々に交じり、昼休憩をとる。

 ブルーシートを引き、座っていると真横に香奈さんが腰を下ろした。強引だなぁ、と思いながらも僕の体に比べてブルーシートが大きめなので問題ない。ぎりぎり身体が触れないくらいの距離。だけど、たまにちょこんと腕が当たる。……この距離感、なんかズルい。


「ま、今回は審議の結果、引き分けということで」

「どこに審判がいたの?」

「はーい!」


 嵐山さんと楽間さん、その他の女子たちが手を挙げた。まあ、あの場にいたから、あながち間違いではない。にしても、みんな、ノリノリだな……。


 僕が持ってきた香奈さんのリュックを彼女に返す。長時間背中に当たり続けていたので、なにが入っているのか、さすがにわかっていた。


「みんな、おつかれー」


 香奈さんは五〇〇ミリリットルのペットボトルに入ったアクエリアスを女子に配っていく。彼女を合わせて一七本分入っていた。重いわけだ……。


「早く食べて、みんなで写真撮ろうよー」

「集合写真は撮るのに、また別の写真を撮る必要があるの?」

「ちちちっ、わかっていないなー、神村くん。こういうのは素人が撮るからこそプロに出せない青春の味が出せるんだよ」


 香奈さんは腕を組み、胡坐状態で頷いていた。他の女子も、少なからず集合写真以外に写真を撮ることに合意。

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