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『絶望?今、それどころじゃないのよ。』  作者: くろめがね


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第四話 草?何だって食えるとは限らんのよ。

第四話です。今日は、食べ物の話をします。

火が残った朝は、少しだけ気持ちが違う。


寒さは相変わらずだけど、

「終わってない」感じがある。


火のそばで手を温めながら、私は考える。


水は、まだ飲めない。

火は、やっと守れてる。


――となると、次は。


「食べ物、よね」


口に出すと、全員がうなずいた。


エルフが辺りを見回す。


「草はあるな」


「あるね」


私は立ち上がって、近くの草を一本摘む。


「でもね」


草を指でつまんだまま、言う。


「何だって食えるとは限らんのよ」


エルフが眉をひそめる。


「腹が減ったら、そんなこと言ってられないだろ」


「それがね」


私は草を放り投げる。


「腹が減ってる時に当たると、

 次は動けなくなる」


布多めの人が、静かにうなずく。


「下痢とか、嘔吐とか?」


「そうそう。

 で、水も火も弱い状態でそれやると――」


私は肩をすくめる。


「詰む」


姿勢のいい人が、淡々と補足する。


「未知の植生に対する摂取は、

 リスクが高い行為です」


「ですよね」


私は小さく拍手する。


「だから今日は、

 “食べられるかもしれない”じゃなくて、

 “食べなくていい”を探す」


エルフが首をかしげる。


「食べなくていい?」


「そう」


私は地面に座り、周囲を観察する。


「人間、三日は食べなくても動ける。

 水さえあれば、だけど」


布多めの人が言う。


「でも、水もまだ……」


「だから、無理しない」


私は指を立てる。


「今日は、

 “明日も動けるかどうか”が基準」


森の端を歩く。

草だけじゃなく、

木の根元、落ち葉の下、倒木の影。


「キノコは?」


エルフが聞く。


「触らない」


即答だ。


「キノコは、

 分かる人が分かって食べるもの」


姿勢のいい人がうなずく。


「誤認率が高いです」


「でしょう」


しばらく歩いて、

何も成果がないまま戻る。


空腹は、正直、きつい。


「なぁ」


エルフが言う。


「何も食べないのか」


「今日はね」


私は腰を下ろす。


「今日は我慢できるかどうか」


火のそばに座り、

全員で黙る。


腹は鳴る。

でも、誰も動かない。


布多めの人が、ぽつりと言った。


「……不思議ね。

 昨日より、安心してる」


「火があるから」


私は答える。


「食べてないけど、

 生きてる感じがする」


夕方、

誰も倒れなかった。


誰も無茶をしなかった。


それだけで、今日は合格。


私は火を見つめて言う。


「今日は、これでいい」


誰も反論しない。


それが、このチームのやり方らしい。


次は、おっさんが「食べない判断」をして、だいたい評価されます。

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