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『絶望?今、それどころじゃないのよ。』  作者: くろめがね


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第十話 腹八分?それ、覚えると人生が楽になる。

第十話です。今日は、「腹八分とエネルギー配分」の話をします。

朝だ。

たぶん。


目が覚めて、まず思ったのは――

あ、まだ生きてる、だった。


これ、地味に嬉しい。


火は、ちゃんと残っている。

木の実も、包んだままそこにある。


「よし」


声に出す。

声が出るってのは、体調のバロメーターだ。


昨日は、ちゃんと食べた。

ほんの少しだけど、確実に。


腹の具合は――

悪くない。

むしろ、落ち着いてる。


「……腹八分、ってやつ?」


自分で言って、

ちょっと懐かしくなる。


エルフが近づいてくる。


「今日は、もっと食うのか?」


「食べる」


私はうなずく。


「でもね、

 満腹は目指さない」


布多めの人が首をかしげる。


「まだ我慢するの?」


「我慢じゃない」


私は手を振る。


「配分」


姿勢のいい人が頷く。


「エネルギー管理ですね」


「そう」


私は木の実を手に取る。


「人間ね、

 腹いっぱい食べると、

 だいたい動けなくなる」


エルフが笑う。


「それは分かる」


「でしょ」


私は肩をすくめる。


「ここで一番まずいのが、

 “今、元気だから大丈夫”

 って判断」


火で、木の実を温める。

昨日より、ほんの少し多め。


「今日は、

 腹六分くらい」


布多めの人が笑う。


「ずいぶん控えめね」


「人間ね」


私は木の実を割りながら言う。


「空腹に慣れると、

 少ない量で満足できる」


姿勢のいい人が補足する。


「血糖値の急変動を避けられます」


「難しい言い方するなあ」


私は吹き出す。


「でも、

 体は正直だよ」


少し食べる。

ゆっくり噛む。

飲み込む。


「……うん」


味は、相変わらず普通。

でも、安心する普通。


「どうだ?」


エルフが聞く。


「腹がね」


私は腹をさすりながら言う。


「騒いでない」


これが大事。


食べすぎると、

腹は主張し始める。


今は、静かだ。


「で、もう一個大事なのが」


私は火を指さす。


「食べたら動かない」


布多めの人が目を丸くする。


「え?」


「動かない」


私はもう一度言う。


「消化って、

 地味に体力使うのよ」


姿勢のいい人が頷く。


「合理的です」


「ありがとう」


私は座り込む。


「だから今日は、

 食べて、休む」


エルフが腕を組む。


「ずいぶんのんびりだな」


「のんびりじゃない」


私は首を振る。


「 reinforces なんだ」


「……何だって?」


「えーと」


言い直す。


「明日のための準備」


昼。

体は安定している。


腹も、さっきより楽。

でも、満足はしてない。


「このくらいが、いい」


布多めの人が頷く。


「確かに、

 眠くならないわね」


「それそれ」


私は指を鳴らす。


「満腹になると、

 判断が雑になる」


エルフが苦笑する。


「分かる気がする」


夕方。


今日は、

余計なことはしない。


火を守って、

水の準備をして、

少しだけ歩く。


「……悪くない」


私は空を見上げる。


「こういう日が、

 積み重なるのよ」


誰も反論しない。


夜。


火を見ながら、

小さく言う。


「腹八分ってね」


一拍置く。


「生き残るための知恵」


派手じゃない。

でも、効く。


今日は、

ちゃんと学んだ日だ。


次は、おっさんが「動く日」と「休む日」を分け始めて、計画っぽいことを言い出します。

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