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深海で、私はにゅるんとした

作者: とも

しばらくのあいだ、私はぶら下がっていた気がする。


何に掴まっていたのかは、分からない。


確かにそこにあったはずの感触だけが、まだ残っている。離そうとした覚えはないのに、その感触は、いつの間にか薄れていた。


辛うじて繋がっていた先端が、自分の重さに耐えきれず、めりめりと引きはがされる感覚があった。


次の瞬間、体が下へとずり落ちた。


落ちた、と思ったのは、そのあとだ。


落ちた記憶はある。でも、どこに落ちたのかは分からない。下だと思っていた場所は柔らかく、跳ね返るほどの反発もない。触れた瞬間、細かな粒子のようなものが、わずかに舞い上がった気がした。ただ、体の重さだけが、少し遅れて伝わってきた。


動こうとすると、持ち上がらない。それでも、完全に動けないわけでもなかった。力を入れた覚えはないのに、周囲の水が、わずかにずれる。体のどこかが遅れて揺れ、その揺れが、まだ続いている気がした。


……あれ?


そう思った時には、もう揺れは止まっていたのかもしれない。止めたのか、止まったのか、その違いを確かめる理由も、方法もなかった。


空腹だけが、確実にあった。さっきまで、どこかでそれを薄く埋めていたものが、完全に途切れた気がする。その分だけ、空腹は強く、形を持って迫ってきた。何かを探すというより、内側が勝手に求めている感じに近い。


その近くに、細長い影があった。海藻のように見えたそれは、水の流れに合わせて、ゆっくり揺れている。けれど、しばらく見ているうちに、その揺れが、周囲とは少しずれていることに気づいた。


私が揺れている間隔と、影の揺れが、噛み合っている。


合わせた覚えはないのに。


にゅるん


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