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008_雑貨屋

町に戻る道中。あんこに歩いて戻ってもらうように指示をする。

昼にはまだ時間があるので、見える範囲の草を適当にインベントリに放り込んでみる。

そう、インベントリに入れると名称が表示されるので、鑑定できるのでは?とダメもとでやってみることにする。

草、草、草・・・。

『さっきから何してるんすか?』

「どれが薬草かわからんので、インベントリに入れれば、わかるんじゃないだろか?と実験を・・・」

『ギルドで聞けばすぐにわかると思うっす』

「お。解毒草発見!」

インベントリのリストに『解毒草』の文字が表示された。とり出して確認するが、多少特徴があるものの、普通の草。毒と言っても多種多様な気がするんだが、まぁ見つけ次第確保するようにしよう。

「解毒草って名前なんだけど。なんの毒に効果があるんだろ?この世には1種類しか毒が無いとか?」

『いろいろあるみたいっすが。詳しくはわからんす』

その後もぽいぽいインベントリに放り込む。青紫の花が咲いている植物もついでに収納するが『ベラドンナ』と表示された。

「ベラドンナ。なんか聞き覚えがある名前の草をゲットしたぞ。なんだっけ?よくわからんが結構咲いているので、採っておこう。」

しばらくベラドンナを採取した後、その場を離れ未採取の草を探しながら町に向かう。

木が生い茂る森から抜ける前。生えてる木ってインベントリに入るのか気になったので試してみる。

どうせ試すならと、直径50センチ程度の幹の大木をインベントリに収納を試みる。

目の前から大木が消え。地面は掘り起こしたような跡地になる。突然のことにあんこも驚いた感じで立ち止まる。

「すげえ!でかい木がインベントリに収納できた。」

『一声掛けてくれっす。マジビビったっす』

「わるいわるい。あと2、3本収納してみるわ」

そう言って、あんこから降りて同じぐらいの大きさの大木を収納する。インベントリの表示は『大木』。多分根っこ付きなんだろうな。地面がこんなだし。掘り起こした様な地面を見ながら。ラッドを解体した時を思い出し、丁寧にイメージして解体すれば木材とか薪とかできるかもしれない。

もう一本中程度の木を収納し、枝葉を落とし、根を切り落とし。すべてを薪にするイメージをしてみる。

インベントリ表示は『薪』となったので、一本取り出してみる。

「生木じゃなくなっているな。乾燥している」

『木こりにでもなるんすか?』

「いやいや。ただの実験。木を解体して薪をイメージしたら乾燥までされてた」

『ほんと便利っすね。それなら雨の日でも焚き木に困らない』

「そんなレベルじゃないけどな」

『そろそろ行きましょうや』

あんこが急かしてきたので騎乗する。採取しながら進むのを止め素直に町に戻ることにした。


昼頃町に到着し、尻尾の換金にギルドに向かう。

「換金したら、あんこ待望の肉串食べ放題しするか」

『わかったっす!』

あんこを外に待たせ、ギルドに入る。おやじ職員付きの空いているカウンターで尻尾出そうとして。インベントリの誤魔化し方を考えてなかったことに気が付いた。

「あ。ごめん所用を思い出した。また来る!」

スタイリッシュに片手を上げダッシュで外に出る。

「あんこ。インベントリ隠蔽用の小道具入手が先だった」

『ぬけてるっすね』

「ぐっ。ともかくだ。方法は後で考えるとして。尻尾を入れる袋か何か手に入れないと」

『都合よく落ちては無いでしょうし。店で買ってきますか』

「切り取った尻尾を入れるのだから。コンビニビニール袋ぐらいの捨てても良い袋。都合よく売ってる?」

『しらんすよ。とりあえずそれっぽい物売っている店探しましょうや』

歩きながらきょろきょろ周囲を見渡しそれらしい店を探す。一軒の雑貨屋らしき建物にたどり着く。

つり看板には『バシャードの雑貨屋』と書かれている。文字が読めることには昨日町に入った時に気が付いていたので特に驚きはない。、

「へぇ。昨日町まで送ってくれたバシャードさんの店らしい。雑貨屋だったのか」

『早く袋買いましょうや。飯が遅くなる』

「わかってるって」

顔見知りだし、あんこはとそのまま店に入ることにした。言われたら外で待ってもらおう。

店内に入ると入り口横にカウンターがあり、バシャードさんが椅子に座っていた。

「おう坊主。仕事は見つかったか?って、あんこだっけか。店の中じゃ狭いから外で待っててくれるか」

あんこは仕方がないと言わんばかりに外に出て行った。

「ラッド駆除をすることにしたよ。魔物狩りに興味あるしね。それで尻尾を入れとく袋を探しているんだ、安くて捨てても良いぐらいに適当に扱える袋売ってる?」

「麻袋ならそこにあるが、汚れ物を入れる袋は後でとってきてやる」

バシャードさんは窓際の棚を指さす。そこには奇麗な麻袋とか丈夫そうな皮製の袋とかが並んでいた。ラッドから切り取った尻尾を入れるような袋ではなく、しっかりとした売り物の袋だった。使い捨てするようなものじゃない。

「う~ん。尻尾を入れる様な袋じゃないな」

「まあな。なんか買ってくれたら、おまけでズタ袋つけてやるよ」

「んじゃ。他に何か良さそうな物見せてもらうか」

といっても換金前だし何か高すぎず買える物か。店内の金物コーナーで鍋が目につき手に取ってみる。あんこ用にこのサイズちょうどいいか?大きい鍋でそこそこ傷がついているので中古品だろう。

「バシャードさんこの鍋は?」

「銀貨10枚でいいぞ。中古品だがしっかり磨いてある。しかしそんな大きい鍋なんに使うんだ?」

「あんこのごはん用。このぐらいの大きさがちょうど良さそう」

「鞍に縛り付けりゃ持ち運べるか」

カウンターに戻り、バシャードさんにお金を手渡す。ふとカウンターの後ろの棚にある小さな袋が気になった。

「見た目があんな感じの袋が理想的な尻尾入れだね」

「うん?片付けるの忘れてた。これはマジックバックだ。金貨30枚。金あるのか?」

「マジックバック?」

「ああ、記憶なかったんだっけ?見た目はこんなだが、そこの大樽1つ分収納できる」

マジックバックあるのか。子供の持ち物で金貨30枚相当は危険だし、いずれインベントリ隠蔽用に手に入れよう。

その後バシャードさんから、10メートルほどの大鍋をあんこに括り付けるためのロープと、おまけのズタ袋をもらい店を後にした。

ズタ袋に手を入れ、インベントリから尻尾を取り出し、ズタ袋に入れなおす。とりあえずはこれで換金のめどはついた。インベントリ隠蔽用の袋は、またバシャードさんの店で購入しよう


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