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076_コボルトの大集落

コボルトの集落はカルスト台地と森が隣り合わせの場所で、カルスト台地の開けた視界とは打って変わり、集落の全体像は森の中で良く見えない。

馬車で移動してきた道が、集落入口の門を挟んで森の中に消える。

俺たちはそんな入口から、道の両脇に鈴なりになっているコボルト達を横目に集落に入った。

あんこを一目見ようと集まったのだろう。

あんこ以外は間違いなく『おまけ』だ。

車列は森の中にたまたまある、大きな開けた場所にに停止する。

ここが集落の中心なのだろうか。

この場所から見える集落は、殆ど木を伐採せずに建物が建っている。もちろん全て平屋の建物。

森の中に町が作られた。そんな感じの町だ。

俺は馬車を降り、『あんこ』の元へ。

集落の代表だろうか、『あんこ』に頭をたれ、挨拶をしているコボルト達が落ち着くのを待って声を掛ける。

「初めまして。ジャンと言います。明後日の朝出発の予定なので、『あんこ』はそれまでお任せいたします。連れには食事と宿泊先だけで十分ですので」

俺は最初に釘を刺した。

あんこ以外に過剰な接待は不要。

ここに寄った目的は、あくまで『あんこ』に会いたいと言うコボルト達の要望に応えるためだ。『あんこ』以外は『おまけ』に徹する。

あらかじめ『あんこ』と護衛のコボルト達とは相談済み。

ぶっちゃけ。『あんこ』はコボルトが用意した食事を、コボルト達に囲まれて食べてるだけで良い。

『あんこ』以外は自由行動。

そんな取り決めをしておいた。

護衛のコボルトから、滞在中の付き人を紹介され、いったん解散だ。

俺達には三人の付き人が紹介された。

滞在中の注意事項と雑談を交えながら、宿泊先に案内される。

念のため『あんこ』滞在先を教えてもらう。逆の『あんこ』から俺たちを探すのは容易だろうから考えなくても良いだろう。

日はまだ高く、夕食までにはまだかなり時間がある。

「俺は散歩に行こうと思うけど。どうする?」

「そうね。馬車での移動で疲れてるし。私はここでのんびりしてるわ。散歩は明日に」

ナタリーに続き、女性陣は休む事を選択する。

俺とミカエルは、お付きのコボルト一人と宿を出る。

しかし、ここに着いてからコボルトしか見ていない。

疑問をお付きのコボルトに聞いてみると、『あんこ』が来ることから、近隣の町に種族的な秘祭が行われるため、他種族の滞在できないと告知しているらしい。

あんこがフェンリルという事を秘匿しているという事を考慮してくれたらしい。

他種族が訪問しないのならば、気兼ねなく『あんこ』を接待できるというわけだ。

準備万端だね。

観光できそうな場所があるのか聞いてみたが、特別な場所は無いらしく。一般的に知れ渡っている巨大天然鍾乳洞のみ。

鍾乳洞は明後日観光の予定なので、他を探すことになる。

そもそも、コボルト達がここに住み着いた理由は、他種族からの迫害により他の住みやすい地域から、追い出されたことがきっかけ。

数世代前に逃げてきたのが、利便性の高い場所や人口密集地から離れ、陸の孤島的なこの交通の便が悪く、起伏が激しく、岩がそこら中にむき出しになっており、農作業にも不適切なこの土地。

この場所だけスポット的に木々が茂り、水が湧き出る池があり。まさに隠れ家的な場所。

今では昔ほどの迫害は無く、鍾乳洞と最寄りのホルギュカの大草原。この二つの観光地の宿場として外貨を稼いでいる。

「集落の外に出ても大丈夫かな?カルスト台地が一望できる場所とか」

「それでしたら案内いたします」

付き人に案内され、森を出てしばし歩く。

たどり着いたのは丘の上にある大きな岩。ここから村の入り口も見える。

案内されたこの岩だけど。他の岩と材質が違う。

カルスト台地の岩って、雨に溶けやすい白っぽい石なのに。これだけ他と異なった赤さび色。

これ鉄隕石じゃね?

インベントリからナイフを取り出し、ブレードバックでひっかいてみる。

少し金属特有の銀色が見える様になった。

とりあえず、鉄隕石は後にして。隕石の上に乗り。周囲を眺める。

「おー良い眺め。ここでちょっとお茶にしよう」

今回の旅で、雨の日でも使用可能な焚火台があると便利だよな。と鍛冶屋から鉄インゴットを購入して作った、一斗缶っぽい鉄竈を取り出す。。

重いけど、インベントリに入れてしまえば重さは関係ない。

薪をくべ火を点け、お茶の準備をする。

隕石の上は、ごつごつしていて座れそうな場所が無い。

木の板をインベントリから出して並べる。

「ここに座ってのんびりしよう」

ミカエルと付き人のコボルトが俺の指示に従う。

お茶が出来。木の板の上でのんびり話をする。

「この岩もらう事出来るかな?」

「この黒い岩ですか?大丈夫だと思います」

お付きのコボルトが答える。

「後で集落の偉い人に確認してくれるかな?お礼に、ここに石造りの建物作るから」

借りは作りたくないので、お返しに展望台を作ろう。ここは見渡しが良いし周囲の監視にも使えるだろう。

しばし、カルスト台地を眺め。この辺の情報を聞き取る。

魔物。動物。植物など、ホルギュカの大草原に向けて移動する際に気を付ける情報だ。

牛や馬、鹿に猪。ヤギに熊がよく見かける動物。

ラッド。ボーパルシープ。ヘルバジャーとジャイアントピルバグが主な魔物。

俺と『あんこ』が注意しなくてはならない魔物は居なそうだ。

そして注意点に水の確保という話題が出た。

そして、道からあまり離れない事。草陰に大穴なんて場所がたくさんあるらしい。

この地は雨が降っても、直ぐに地面に吸い込まれ、川や池も無い土地なのだそうな。

コボルトの集落がある場所が特別な場所なんだって。

カルスト台地だもんな。地面は水に溶けやすい石だらけ。風化が進んでいて地下は空洞だらけなんだろう。もちろん地面に穴なんて当たり前だろう。

明日は朝日と夕暮れをこの場所から眺める事にしよう。

結構感動するんじゃないだろうか。

こっちに来て、現在は基本的に王都のど真ん中で生活しているし。

こういう広大な自然を、時間を変えて堪能するのも、おつなはずだ。

片付けをして、宿に帰る事にする。

女性陣と合流し。夕食は『あんこ』が祭られている?場所で頂く事になった。

集会場なのだろう平屋の大きな建物で。『あんこ』が念話で愚痴を言ってくる。

『主の作った食べ物の方が美味いっす。量があるけどそれだけっす』

苦笑いをして、コボルトの歓迎の食事を頂く。

うん。いつものこっちの食べ物だね。

そうして食事を終え、宿に帰る前にお偉いさんに話す機会があったので、鉄隕石の確認をし。建物の建設の許可を得る事が出来た。

明日は、日が明ける前に隕石の場所に行こうと声を掛け『あんこ』と別れ宿にて就寝する。

旅の間は基本的に男女別の二部屋。

個室でも良いが、結局外に出るなどの時に伝言が必要になるので。相部屋の方が都合が良い。

俺とミカエルは男固有の馬鹿話をして就寝した。

女部屋とは少し距離が開いているので、遠慮は無用だ。

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