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072_旅行の始まり

学園の長期休みに突入し、俺たちは一路ビメリュスに向かっている。

休み前に俺の在籍能力判定は問題なくクリア。

『アルザード・ヘッケルサン』『オルファ・ガンブルグ』『キルケ―・ルンドモフィス』三人の講師から加点を受け、実技で一樽分の水を無難に作成しての結果だ。

一般教養講師のオルファさんには旅行に連れて行けと、最後まで粘られたが。

丁寧にお断りさせてもらった。

変わって魔道工学のアルザード講師は、休暇直前に学会で発表し。現在注目の的になっている。

パンに発生するカビ。その一つ黒麹菌を目視確認できる拡大スケールの魔道顕微鏡の開発と、普通は目視出来ないほどの微細な菌と言う生物が存在することを発表したのである。

問い合わせや、共同研究の申し入れ。はたや派閥へのお誘い等なかなか忙しそうである。

俺は食用の麹菌発見のためアイディアを出しただけなので、アルザード講師に丸投げ。

そんなお忙しいアルザード講師悲鳴を聞き流して、旅に出発したのである。

あと数日で長期休暇となるころ。コボルトのエポックが調整済みの旅行プランを持ってきた。

プランはこんな感じ。

王都からへ馬車でビメリュスへ。そこから船で隣国の港町ブルンド。

港町ブルンドから陸路でガドローズのカルスト台地にある、コボルトの大集落へ。

そこから南下しホルギュカの大草原。

一旦、港町ブルンドへ戻り。船でアデルシアン湿地帯にある小さな漁港への移動となる。約二カ月の旅行計画となっている。

ギドン商会の商隊列の真ん中。一回り大きな馬車に乗車して優雅に移動中。

俺、『あんこ』、ナタリー、ヘルミナ、ミカエル、ナンシー。

あんこも含め、総員馬車に乗れるサイズ。

コボルトたちは『あんこ』にも乗車してもらうつもりだったが、『あんこ』は乗車拒否。

王都に来るときも、ちょこちょこ狩りを楽しんでたし、じっとしていられないのだろう。

そして今回は、馬車の移動に大型肉太のクッションを忘れず。特注して持ってきている。

しかし、こんなクッションを使っても、あんこに騎乗した方が楽だったりする。

この商隊だが、商隊とは名ばかりで『あんこ』送迎隊が正しいと思う。

俺たちが乗車している馬車以外の荷馬車には、ビメリュスまでの食料や野営道具しか積み込んでいない。

よって通常より移動速度が速い。多分半分の日程でビメリュスに到着できるんじゃないかな。

「この大きなクッション良いですね。お尻が痛くなりません」

ナタリーが感想を言い。周りがうなずく。

「王都に来る時に乗った馬車で懲りたからね。それより寒くない?」

俺たちが乗っている馬車はホロ付きで、ある程度の風は防いでくれるが、所詮幌馬車。速度も出ているので結構寒い。

「着こんでいるから平気よ。毛布もあるしね」

こういう時は風よけの魔法とか、魔道具とかあると便利なんだろうけど。旅慣れていない俺たちは気が付くことは無く。もちろん準備もしていない。

コボルトたちは、この程度の寒さは全く問題にしていない。

この辺りの冬の寒さでは、防寒具は不要。ヒューマンより寒さに強い種族なんだってさ。

俺は念のため、焼いた石を厚手の柔らかい布でくるんだ、簡易カイロを作りインベントリに大量に保温してある。

ある程度冷えたら、自己申告で取り換える事にしている。

野営場所では、『あんこ』は自由気ままに狩りに出かけ。食べることが出来る魔物を狩ってくる。

食事に関してはコボルトたちが準備してくれる。

夜番もコボルトたちがやってくれ。

大きなクッションのおかげで、底冷えせずに就寝できた。

そんな道中で何事もなく。通常の馬車での移動時間の半分でビメリュスに到着した。

昼に到着したビメリュスでは一泊し、翌朝。船で出航となる。

宿泊する宿を確認し、各自自由行動となった。

ミカエルとナンシーは、ここでハンターをやっている学園を退学になった庶民組のビリーと会う予定らしい。

ナタリーは昔の仕事仲間と。

『あんこ』はコボルトの接待。

残った俺とヘルミナは、宛もなくぷらぷらすることにした。

季節は冬の始まり。十二月初め。

魚介類が美味しくなり始める季節。

市場では相変わらず、エビやカニ。底引き漁が必須の食材が見当たらない。

リンゴが旬らしく大量に店先に並んでいる。

もちろん王都よりこっちの方が安いので、大量購入する。

ヘルミナもインベントリについては知っているので問題ない。

ヘルミナと二人きりで、店先に並べてある雑貨やお土産。服とか見て周り楽しんだ後。桟橋まで歩いてきた。

以前『あんこ』とやってきて、肉串のはちみつ焼きを食べた場所だ。

冬になり、客足が少なくなったからだろう。屋台と観光客はまばら。

一人釣り糸を垂らしている爺さんに声を掛ける。

「何が釣れるんですか?」

定番の声かけだ。そして木製のバケツを覗き込む。

メバルが二匹。へー結構大きいのが入っている。

「美味そうだろ。こいつを塩焼きで一杯が格別なんだ」

「釣道具ってどこで買えるんですか?」

今はヘルミナが居るので、釣自体はやらないけど、いつでも出来る様に準備だけはしておきたい。

爺さんが指さし教えてくれた雑貨屋に入ると、店の一部が釣り具一色だった。

店には、やはり延べ竿しかない。

俺の海釣経験はリール必須のちょい投げや穴釣りメイン。

早めに魔道工学を駆使して、スピニングリールは難しいかもしれないが。ベイトリールは作成しなくてはいけないな。

釣り具を物色した結果。全て自作しようとなった。

やっぱり釣り具においても技術がまだまだで、物足りなすぎる品々なのだ。

店を後にして、次はどうしようかとヘルミナと相談する。

「教会に行ってみましょうか」

そういえばビメリュスと言えば教会だっかなと。一路教会へ。

一度連行されただけで、まともに見ていなかったな。

大きな教会。周辺には巡礼者と観光客とおぼしき人々。

俺たちは模様し事は実施されていないので。礼拝堂入ってみた。

大きな女神像を中心に小さな彫像が取り囲んだ、目を奪われる美麗な彫刻が最奥にあり。手前には長椅子が並ぶスタンダードな並びだ。

しかしステンドグラスが凄い。人物や動物などは最小限で、幾何学模様が中心。

淡い色合いの青と赤が中心で、合わさったやや紫色の光が広間を照らす。

これ、時間帯で見え方も変わりそう。

しばし、時間を忘れ見入ってしまい。日が傾いて我に返ったよ。

宿に戻って、ナタリーと合流。豪勢な夕食を食べて就寝した。

ミカエルとナンシーは夜遅く戻ったみたい。ビリーと話が弾んだんだろうな。

そして、あんこは戻ってこなかった。

コボルト達と町には居るんだろうし。明日の船に乗り遅れなけりゃ問題ない。

俺の従者とはいえ、俺もこの世界にかなり慣れた。

たまには、『あんこ』が側にいない。こんな日もあって良いだろう。

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