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055_カレーの日

学園で一般教養の講義を受けた後はとんぼ返りで、学園から引き渡された住居にこもっている。

カレー粉の調合は、はじめヘルミナの娼館の炊事場で行っていたのだが、やっぱり匂いが凄いので。場所を移しての作業だ。

近隣にカレースパイスの匂いが辺りに充満しているが。今のところクレームは無い。

お腹を刺激する匂いで、問い合わせが来るが、錬金術の実験で通している。

各スパイスをすり鉢でゴリゴリ。メモを取りながらブレンドしてあらかじめ作っておいた肉と野菜のスープに溶いて味見を繰り返す。

ここは現在カレー粉作成のための実験場となっている。

夜になるとヘルミナの娼館戻って就寝する。

そんな事を数日繰り返し。ついに前の世界でスパイスから作ったカレーとなんか違うが、一応完成だ。

味の追求は時間をかけてじっくりやろう。

夕食にはまだ早い時間なので、今日はこの世界における初カレー。

世界初のカレーの日にしよう。

一旦完成としたブレンド割合で調合し。チキンカレーを大量に作成する。

続いてナンモドキを焼いていく。本物は瓶みたいなのに貼り付けて焼くんだよな確か。そんなもの無いので、ピザ窯で焼いていく。

このピザ窯は魔法で作ったもので。しっかりとした石積みの自信作である。

出来上がったチキンカレーとナンをアツアツのままインベントリに入れて娼館に帰宅する。

ここのところナタリーは、娼館の炊事場でホットケーキを焼きまくっている。

娼館が砂糖の甘い匂いで充満し、営業妨害にならないか心配になる。

ヘルミナ曰く、甘い匂いなら気にしなくて良いとのこと。

しかし「カレーの匂いはちょっと」と俺が調合場所を変えた理由だ。

ナタリーが練習で作ったホットケーキは、娼館で働く者全てのおやつになっている。

しかし、当然食べきれるわけがなく、残りは俺がインベントリに保存している。

形が変だったり、ほんのちょっと焼きすぎたものなど様々だ。

そんなナタリーもヘルミナの部屋で待機中。

「全員そろったところで、本日やっと人前に出せるカレーが完成したので、夕食にどうぞ」

そう言って食卓に、チキンカレーとナンをインベントリから取り出し配膳する。

辛さは、ほどほどにしておいた。中辛より甘めぐらい。スパイスに体制が無かったらせっかくのカレーが美味しく味わってもらえない。

俺はナンをちぎり。カレーを付けて口に放り込む。

まぁこんなものか。理想には程遠いが美味しく食べることは出来る。

各々俺の食べ方を見てから、真似て食べ始める。

「なにこれ。美味しくて辛い」

「・・・」

『これが主が前に言っていた食べ物っすか。辛いのが良いっすね』

ヘルミナは感想を言ってくれたが。ナタリーは何も言わず食べ続けている。

見た感じ不味いではなく。美味すぎて言葉が出ないってか?

あんこにも気に入ってもらえて何よりだ。

チキンカレーとナンの、おかわりを数度。落ち着いたのかナタリーが発言する。

「こんな食べ物があるのね。毎日でも食べたいわ」

「いやいや毎日は飽きるでしょ」

「そんなことないわよ。これを私のお店で出したら、行列間違いなしよ」

「あー。分かるけど無理だよ。なんせコストがやばい。このカレーの材料であるスパイス。錬金術の材料で、今日食べたチキンカレー一杯で大銀貨五枚はする」

「なにそれ。美味しいわけだわ」

「美味しさが金額に比例するわけじゃないけどね。少なくともカレーは貴族の食べ物だね」

「そっかー。お店で出せないのは残念だけど。私が好きな時に食べられるなら問題ないわ」

「だから、毎日は無理だって」

「ケチ」

拗ねた顔されてもな。可愛いけどね。


翌日。金塊がかなり溜まったので、前に言っていた金の像を作ることにした。

「金塊がそれなりに溜まったんだけど、どっちの像から作ろうか」

「ヘルミナからで良いわよ」

「それじゃ着替えるわね」

そう言いながらその場で着替え始めるヘルミナ。見慣れてきたけど、ちょっとは隠そうよ。

着替えを終えたヘルミナは薄い衣をまとった天使そのものだが、エロスを感じさせる。

こんな感じかしらと、ベットの上でポーズを決める。女豹のセクシーポーズだ!

「ちょ。それ作るの?」

「あら。人に見せるものじゃないし。ジャンもこういうの好きでしょ」

「そりゃ好きだけど」

「じゃあお願いね」

インベントリで金塊を纏め。ヘルミナの像を作る。

ヘルミナの周囲を回り細部までしっかり見てイメージを纏める。

注意点はデフォルメも忘れずに。リアルすぎても不味いのだ。

作業を始めて二時間ぐらい。目をつぶっても思い出せるぐらいになったころ。

頃合いとばかりに一気に作り上げる。

インベントリから、出来上がった金のヘルミナ像をテーブルに取り出す。

「でっか」

以前作った『金のあんこ像』の比ではなく。

高さ十五センチ、奥行き二十センチはあろうかの大きさだ。

子供の俺だと何とか持てるぐらい。二十キロってところか?

「す、すごいわね。これ全部『金』で出来ているのよね」

「はー。自分で言うのもなんだけど綺麗ね」

「こんなに大きくなるとは思わなかった」

一センチ四方の金塊は、魔法を日中使わない場合。五十個程度、作ることが出来る。

銀塊ならその倍。鉄塊ら金塊の三倍。

作り出せる差が何を意味しているのか分からないが、希少価値ではない気がする。

それで金塊が千個溜まったので作ってみたが・・・。

売り物じゃないし考えない事にしよう。

「ナタリーの像は二十日後ぐらいかな」

「うん。どんなのにするか考えておくわ」

ヘルミナ像を見ながら空返事。無理もないか。

写真が無いこの世界。定期的に金の像づくりと言うのもアリかな?

このペースで金塊が作れるなら、あり余るのは間違いないしな。

生活費は学園に在籍中は国が出してくれる。

俺がこの先、貴族になって恩給を受け取れるのか不明だけど。

それ以外にも収入源は、ヘルミナの娼館。いずれはナタリーのお店と収入源には困らない。

ちなみに作るなら金の像一択。なぜなら錆びないから。

プラチナも錆びない?

あれって柔らかすぎてリングとかは、何かと合金にしてなかったっけ?

よくわからん。

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