表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/103

050_洗浄魔法

あれから唐揚げを心行くまで堪能した俺達は、受注した鉄棒を引き取りに鍛冶屋に向かっている。

俺は食後。唐揚げの素晴らしさに満足した彼女たちに爆弾発言をした。

揚げ物はとっても太りやすいと。彼女たちは一日以上のカロリーを今お腹に取り込んだことを。

そして怒られた。食べる前に言えと。

まぁ言わなかった俺も悪いが、動けなくなるぐらい食べた君たちも悪いよね。

どんなにカロリーが少ない食べ物でも、お腹いっぱい食べたら太るでしょ。

なんとか彼女たちを宥めて町に繰り出した。


鍛冶屋で鉄棒を受け取り、散歩と言う名の運動を引き続き行う。

「魔道学園入学まであと二日。何しようかね」

「あ!そうでしたわ。ハンターギルドに行きましょう。ヘルミナさんの登録を行って、いつでも一緒に依頼を受けられるように。仲間外れはいけませんから」

「そうでしたね。必要ないかもしれませんが。身分証明にはなりますし」

そういえば、王都のハンターギルドには行っていなかったなと、一路ギルドに向かう事にした。

ギルドでは、ヘルミナの登録を行い。地域のハンター情報を入手した。

「ジャンさん。ナタリーさん。クラスアップの手続きをしますので、ギルドカードをお預かりします」

ヘルミナの登録完了の後。職員に声を掛けられた。

「クラスアップ?」

「はい。シードダンジョン攻略での功績が確認できましたので、クラスアップとなってます」

職員にギルドカードを手渡しして、しばし待つと、新しいギルドカードがもらえた。

オーガークラスのCランクだった。

「おめでとうございます。チーム『いてこます』と同等の働きが出来るとの判定で、オーガーのCとなっています」

ナタリーは「ゴブリンのA」。

俺は一度しか依頼を受けていないのに良いのかこれ。そもそもその依頼は「ダンジョン案内人補助」だろ?

「ダンジョン討伐は依頼受けていませんけど。良いんですか?」

「はい。ビメリュスのダンジョンにて、ヒドラを単独討伐した実績も考慮されています」

「そんなことあったね。じゃあナタリーのランクアップは?」

「ナタリーさんは信用度のみで評価されています。ビメリュスでの有名人だったようで。単独で魔物が討伐出来ないためゴブリンクラスのままですが」

ある意味有名人か。おもに自称親衛隊のせいだろうけど。

「ジャンさんの実力でしたら間違いなくワイバーンクラスなのですが、ギルド貢献が少ないためこのような評価になっています」

まぁ。クラスだランクだは、まったく気にしていないので、どうでもいいけどね。

「それからチーム名を考えておいてくださいね。チーム登録には複数のメリットがあるので、登録をお勧めします」

「あー。名前考えるの苦手なので。ナタリーとヘルミナに任せるね」

「「わかりましたわ」」

ついでとばかり、掲示板にどんな依頼があるのか見てみることにする。

昨日工事現場のおっさんが言っていた通り。近場の魔物狩りの依頼はほぼ無い。

掲示板に張り出されているのは雑用や農作業、土木工事ばかり。

土木工事の中で城壁工事が最も報酬が高い。多分魔物に襲われる可能性があるので、割高になっているのだろう。

「これ、依頼受ける気になれないんだけど」

「低クラスのハンターは基本、王都に居ませんから」

ヘルミナが答える。

「これでギルドでの用事は完了したけど。まだまだ動き足りないから、第二城壁の外に行ってみよう」

あんこを見て、ヘルミナも『あんこ』騎乗を経験してもらおうかと思った次第。

だからと言って、騎乗して移動はしない。

第二城壁の外。つまり王都の外で田畑が広がっている場所である。

軽く一時間程度歩いてやっと外に出た。

「ヘルミナ。あんこに騎乗してみて」

「ええ?この服では跨げませんよ」

うん。おしゃれなロングのワンピース。跨いだらいけない。

「横乗りで平気だよ。絶対落ちないから」

あんこが伏せをして乗りやすくしてくれている。

ヘルミナは、おずおずと『あんこ』に横乗りする。

あんこは立ち上がりゆっくり歩を進めた。

「ヘルミナさん。鞍のサドルホルダーを握らなくても落ちませんわよ」

一応あんこの鞍はマジックアイテムで、鞍に腰を掛けたら落馬?落狼?することは絶対ないと伝えてある。

あんこは徐々に速度を上げて、馬の早歩程度で見える範囲を行ったり来たりしている。

ヘルミナも慣れてきたのか、楽しそうに見えるな。

俺もちょっと鉄棒振ってみるか。

インベントリから取り出し、ブンブン振ってみる。剣なんて振り回した経験も無いので適当に振り回す。

間違いなくかっこ悪いのだけど、筋肉に負荷がかかる事だけ意識して振り回した。

上から下。左から右。右から左。子供が棒切れを振り回す如くだ。

軽く型だけでもどこかで教えてくれないかな。

ちょっと疲れたので、鉄棒を振るのを止め、あんこを見ると。今はナタリーが横乗りで騎乗していた。

あんこは全速で走り、飛び跳ねている。

あれで落ちないんだから神具の鞍すげえよ。

「ヘルミナ楽しかった?」

「ええ。乗馬の経験はありましたが、全然別物ですね。横乗りであんなに動いても落ちる気配がなかったわ」

あんこが暴れ四、五メートル飛び跳ねている。ロディオかな?

「おーいナタリー。そろそろ戻るよ」

あんこが颯爽と戻ってくる。

「あんこ凄いよ。家を飛び越せそう」

ナタリーがはしゃいでいる。可愛いな。

帰路も全員歩きで移動だ。

夕食を肉無し野菜スープにすれば唐揚げのカロリーがチャラにならないかな?

無理だよな。明日の朝食もサラダのみかな?

俺は鉄棒振り回せばいいけど、彼女たちはそうはいかないしな。


娼館に戻り、ちょい実験をする。

今回は異世界もの定番。生活魔法のクリーンとか洗浄魔法とかいう、体をきれいにする魔法である。

衣服は以前インベントリで汚れのみ分離することに成功した。

今回は魔法での実験だ。

魔石を準備してと。

・・・いろいろ考えたがどうしても、汚れを落とす事は複雑だ。テレビのCMで酵素の働きとか表面活性剤がうんたらとか。聞いたことはあるが。科学的にイメージできない。

投げやり感半端ないが、適当に体と服から汚れが分離するイメージをしてみる。

汚れだけが外に飛び散るイメージ。

短い破裂音と共に、体が風呂上がりのようにすっきりした。

え?魔石も消えているし成功なんだろうけど。意味不明。

魔法って物理とか化学を意識しなきゃならないんじゃないの?

自己評価してみる。


名称:ジャン(佐々木健一)

年齢:12

性別:男

種族:ヒューマン

状態:健康

特殊技能:地母神の加護、接触評価、異空間ストレージ

メッセージ:なし


アリシアさんの説明を思い出す。

『イメージするだけで良いと思います。地母神様の加護は魔法行使の簡略化などにも影響します』

地母神の加護があやしい。もしかしてだけど、基本的な誰もが想像できることは、理屈無し。イメージのみで魔法を行使できる?

例えば床掃除。ゴミや汚れを別の所に追いやる。

洗濯。衣服から汚れと言う物質を取り除く。

着火。木などの可燃物が燃える。

傷の治療。傷口がふさがる。

病気の治療。病気が治る。

逆に誰もが想像できない事は。

物質が突如現れる。これは原子や分子などが無から生成されるので、一般的ではない。

鉄など不燃物が燃える。不燃物が燃えるという高温は一般的ではない。


そうだよな、ナタリーの刺し傷治したのだって、本来細胞がくっつくとか全然理解していないのに治療できたわけで。

『後はいろいろ試して、できることできないことを整理していけばよいと思います』

つまりはこの言葉に集約されるんだな。

一度単純にイメージして出来なかったら、科学的にって感じで試すのがベストかな。

試しに横に居たナタリーに洗浄魔法を使ってみた。

ナタリーはビクッと反応してこっちを覗き込む。

「何かしました?」

「体を拭いた後みたいにスッキリした?」

「確かにさっぱり感がしますけど」

「魔法の実験で、洗浄魔法を使ってみた。これからは何時でも綺麗にできるよ」

「私が汚かったとでも?」

あ、やばい。

「ごめん。そうじゃない!たまたま横にナタリーが居たから使っちゃっただけ。魔法の実験ってだけで、決して他意は無いよ」

・・・目力が強い。

「ふう。怒っていませんよ。魔法をかけるなら、一声かけてからにしてくださいね。」

そういってナタリーは抱き着いてくる。

抱擁しながら反省するのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ