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005_貨幣価値

トイプの町は城壁に覆われている様なこともなく、建物が密集しているだけで、規模はまさに田舎の町である。

町の外周は見渡す限り農地で、農家の家がぽつぽつ建っている。防風林などもあるが畑の中に町があるといった感じ。

町の入り口には、屋根なしの門といった感じで大きな柱が2本道の両脇に立っていた。町との境界って意味なのかな?

門番とかは特におらず。自由に出入りできる。かなり治安が良いのだろう。

「トイプの町にようこそ。じゃギルドまでは送ってやる」

門をくぐると同時にバシャードさんは言った。

道幅はそこそこ広く、馬車二台すれ違いは難なくできそうで。両脇には店らい看板を下げてある建物が並ぶ。主に平屋だが二階建ての建物もちらほら見える。

不規則に並ぶ屋台からは香ばしい肉の焼ける匂いが漂っている。

夕暮れ時だからだろうか。人はそこそこ見受けられ仕事帰りといった感じである。

「あの二階建ての建物がギルドだ。中に入って空いているカウンターの職員に聞いてみるんだな」

そういってバシャードさんは指をさす。麦穂のレリーフがつり看板になっている建物だ。

二階建てで、かなりしっかりとした石造りの建物である。

生産と言っても農作物を生産という意味の生産ギルドなんだろうな。

建物の前に馬車が止まり。俺はバシャードさんに軽く挨拶をして見送った後、ギルドに向かう。

あんこをギルド前に待たせ中にに入る。装飾品などはほとんどなくカウンターと観葉植物、長椅子が壁際に置いてある簡素な雰囲気の室内だ。空いているカウンターには職員らしき人はいなかったが、しばらく待つと職員がカウンターに立った。

俺はカウンターに進み、職員らしきおっさんに声をかける。

「すみません。この町は初めてなのですが。安宿と仕事の紹介してもらえますか?」

「安宿は北門入ってすぐのところだ。憲兵の詰め所の横にあるぞ。それと仕事だが、お前さんはどんな仕事を探してるんだ?子供にできる仕事なら。薬草採取。ラッド駆除。農作業手伝いぐらいだ」

ん?北門というか。憲兵の詰め所っぽいのは来るとき入った門横にあったぞ。武装した兵士っぽいのが槍を持って立ってた。バシャードのおっさん軽くでいいから説明ぐらいしろって。

でだ。異世界ときたら冒険者だし。定番の魔物討伐&薬草採取だよな。もう少し詳細を確認しようか。

「薬草採取とラッド駆除について聞きたいんだけど。ラッド駆除の場合はどうやって駆除したことを証明するの?それと薬草採取はどんな薬草持ってくれば良い?」

「ラッド駆除はぶっ殺したら尻尾を切り取って持ってこい。一匹銀貨1枚だ。採ってくる薬草はそこの資料室で確認しろ。まあこの辺で良く取れるのは回復草。解毒草ぐらいだ」

「お?ラッドの尻尾はこれでいいのか?」

町に来る途中あんこが狩ったラッドの尻尾をポケットから取り出す。インベントリは特殊技能とアリシアさんが言っていたので使用せずポケットに突っ込んでいたのである。

「おうよ。銀貨一枚だ。ちょっと待ってな」

そう言ってギルド職員は尻尾を受け取り奥にある窓口で銀貨と交換して戻ってきた。

「ほらよ。報酬だ」

「ありがとさん。また来るよ」

俺は銀貨を受け取りギルドを出る。あんこはおとなしく入り口で待っていた。薬草の確認は明日でいいだろう時間も時間だし。

あんこを連れ、来た道を宿に向けて歩き始める。そういや、あんこが小さくなったとともに変形した荷鞍だが。現在子供である俺が乗っても平気なのだろうか?騎乗できそうな雰囲気なんだよな。

「あんこ。ちょい乗っていいか?」

あんこはOKと言わんばかりに吠えたので。騎乗してみるが、つぶれたりせず平気そうだ。

「ずばらしい!」

ガキの頃。ゴールデンレトリバーとかセントバーナードとか大型犬に乗ってみたかった夢がかなった瞬間である。

というか、さすがフェンリルって事なんだろうな。12歳男子ともなると体重は40キロは超える。それを難なく背負っても問題なしなんだから。

「宿まで歩いてみてくれ」

あんこは言われた通り宿に向けて歩き始める。鞍に吸い付く感じで体が振り落とされる気配がない。鞍から両手を放してもまったく離れない。さらにクッションもないのにお尻に優しいふわふわ感。見た目も手触りも革に布地が貼ってあっただけに見えるのに。

これマジックアイテムだよな。まあ、見た目は地味で馬には小さいし盗られはしないだろ。

そんな感じで、あんこ騎乗を試していると。ギルドで紹介された安宿に到着する。

今回はあんこを連れて宿に入る。すると奥からペットは遠慮してくれと追い払われた!

えーこのパターンは獣魔とかペットも可能な宿が存在し、割高なのが定番なはず。相談するだけ無駄だろうし、おとなしく追い払われてやろう。

手持ちはインベントリに入っている小銭入れの銀貨30枚とさっきの報酬の銀貨1枚。

物価が分からんので、多いのか少ないのか判断できない。とりあえずその辺の屋台で夕食買って情報を仕入れるか。

目についた屋台に声をかけることにする。おっさんが結構でかい肉が刺さった串を焼いていた。

「おっちゃん。一本いくら?」

「銅貨5枚だ」

「2本焼いてくれ」

「あいよ。銀貨1枚な」

ほう。銅貨10枚で銀貨1枚と。10進数は解りやすくて良いな。

「手持ちが少なくてさ、野宿できるところってこの辺にある?」

「あん?門の外で憲兵が見えるところなら子供でも野宿できるんじゃないか?雨が降らなきゃ平気だろ。この町に来たばかりならしゃーないが。子供でもできる仕事はあるし、そこの安宿なら銀貨3枚で泊まれるだろ」

「ペット同伴は駄目で追い出された」

「そういう事か。ほら焼けたぞ」

銀貨1枚を渡し、肉串を受け取る。

「ちなみにペット同伴できそうな宿って知ってる?」

「そうさな。たしか町南にある宿は獣魔用の宿舎もあったはず。あそこは一泊大銀貨2枚だったかな?」

「大銀貨2枚って銀貨何枚?」

「銀貨20枚。そんなことも知らないのか?」

「銀貨までしか使ったことないんだ。それじゃまた来るよ」

「おう。毎度あり」

そんな感じで貨幣についての情報収集をおこない町の外に出た。

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