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036_ダンジョン探索

アタックキャンプの外で何やら気配がする。

あんこに起こされた俺は、気が付いたのは小さな物音。

探索魔法のマナサーチを使う。

何か生き物が近づいてきていることが分った。

「あんこ。何かわかる?」

『ダンゴムシですかね』

「確か、酸を吐くやつだったな。燃やしてみよっか。いややっぱり凍らせよう」

暗くてよく見えないが、マナサーチで場所は特定できている。

先手必勝アイスボールをぶっ放す。

アイスボールを選択した理由は、仕留めた後の処理が楽そうだから。

ファイヤーボールだと爆散するしね。

白い冷気をまとった、白くて丸い球体がダンゴムシことジャイアントピルバグに命中する。

ファイヤーボールの様な爆発音ではなく、結構静かな音で着弾した。

あんこが先導し、俺は照明魔法を灯したロングスタッフをもってダンゴムシに近づく。

カチカチに凍っているらしく、表面は白く動きは無い。

「結構でかいな」

『大体こんなもんすね。もっと小さいのもいるっすが』

見た目は、まんまダンゴムシ。大きさがえげつない。ドラム缶サイズだ。

ガキの頃、棒先で突っついて丸くさせていた記憶がある。

大人になると虫とかは、なぜか触るのが駄目になった。

汚いとか、グロイとか。いろいろな知識が嫌悪感を生み出した結果なんだろう。

しかし俺には、インベントリがあるので収納して討伐部位と魔石。その他に分離すれば良いので問題ないだろう。

サクッとインベントリ収納して、解体は後日。

アタックキャンプに戻る。

ナタリーは眠ったままだった。

周囲の安全は確保しておいたので、そのまま眠らせていた。

やっぱり慣れていないと旅は疲れるよな。

何事も無かったかの様に、再度横で眠りにつく。


以上が昨晩の出来事だ。

全然危なげなく対処できたけど、この世界の野宿は危険だと再認識。

日本でも熊が出る地域では注意が必要だし。

ここは異世界。魔物がいるから、さらに注意が必要だ。


朝起きて、ラグニッシュの屋台で買ったジャガイモのにくぶた巻で朝食を済ませる。

アタックキャンプはそのままで、荷物だけは収納し、いざダンジョン探索に出発だ。

ダンジョンの入り口を覗き込む。当然真っ暗だ。

用意していたロングスタッフに照明魔法を掛け直し。いざダンジョンへ。

あんこを先頭に、ナタリー、俺の順。

強そうな魔物は確認されていないし、ナタリーが最後尾でも良いんだけど。

念のため、ナタリーは間に挟む感じにしておいた。

昨晩寝る前に、ナタリーには役割を与えることにした。

マッパー。地図作成担当である。

やり方が分からないのは当然で、俺も分からないので、とりあえずやってみようとお願いした。

町で買っておいた、薄いスエード革と筆記具。

水にぬれても消えず、あまり滲まないない事を確認してマッピング用に用意したものだ。

少々高くついたが、簡単なダンジョンで練習しないとね。

スエードに書き込む前に、紙に書いて相談して試行錯誤する。

歩みが遅いが着実にね。

ダンジョン内は坑道と言った感じで、岩がむき出し高さ幅共に三メートルほど。

ぐねぐね曲がってはいるが、今のところ分岐や部屋といった開けた場所は無い。

空気は全く淀んでおらず、空気の流れがあり、外気が循環している感じがする。

ダンジョン内の魔物のために、外気を取り入れているのか?

ダンジョンシードっていったい何なんだろ?


『スライムが居るっすよ。普通のスライムなので避けてくれっす』

「わかったわ」

「了解」

スライム。このスカベンジャーは掃除屋で汚物、死骸などを体内に取り込み消化する。生きた人族、動物、魔物はその対象ではない。

どこにでも居て、どこにでも湧く魔物だ。

町のトイレにも湧いて、汚物を消化して、飢えで死ぬ。

スライムは高い壁などを上らないので、町ではトイレは深めに掘り、這い上がってくるのを防ぎ、汚物を掃除させ利用している。


しばらく進み、前に明かりが見えた。

『ゴブリンが五匹っす。どうします?』

あんこが対処法を聞いてきた。

あんこが処理するか、俺が処理するかって事だろうな。

「俺が相手をするよ」

あんこの前に出る。

ゴブリンもこちらに気が付いているようで、武器らしい棍棒というか棒切れを片手に走ってくる。

俺は密閉された空間では、火気厳禁のお約束があるので、エアーキャノンを放つことにした。

エアーキャノン。遠距離で風属性ダメージとノックバック(吹き飛ばし)を併せ持つ。

「これいいな。ゴブリンが飛んで行く」

一体のゴブリンが体を、くの字にして後方に飛んで行った。

続けて二体目、三体目と飛んで行く。

ダメージはそれなりなのか、飛ばされたゴブリンは立ち上がらない。

「ヘッドショットがうまくできないな。エイム(狙い)が下手すぎる」

『お!足に当たったっすね。きりもみしながら飛びやしたぜ』

足をかすめたのか、スケートのスピンジャンプっぽく飛んで行く。

「当てるのムズイ。・・・良し!やっとヘッドショットで来た」

最後の一匹には狙い通り、上手く当てることが出来た。

練習が必要と実感。数発かすりもしなかったしね。

「楽しそうね。魔物討伐ってもっと大変なのかと思っていたんだけど」

ナタリーはちょっと首をかしげる。

ゴブリンは全て息絶えており、まるまるサクッと回収しておく。


その後しばらく見つけたゴブリンを的に、エアーキャノンでエイムの練習をし、少し広い場所を見つけて休憩にした。


「ダンジョン思ったほど楽しくないね」

『ここは雑魚しか居ないみたいっすね。わっちも楽しくないっす』

「まぁ何事も経験って事で、ダンジョンシード倒すまでがんばろか」

『主、気が付いてます?人間が二人、こちらの様子をうかがっている感じっす』

あんこに指摘され、マナスキャンで人間を探す。

確かに二人。後を追いかけてきたのか通路後方で身を潜めて聞き耳を立てているようだ。

お約束でダンジョン内は無法地帯。俺たちを警戒しているだけなのかな?

「もう少しマッピングしてからお昼にしようか」

「そうね。小腹がすいてきたかも」


先に進んで様子を見ることにする。

俺たちがマップを書き込むために立ち止まると、後ろから付いてくる二人も立ち止まる。

動くと後方の二人も動き出す。

何が目的なのか不明だが。俺たちがターゲットっぽい。

昼食の時に障壁魔法を張っておいて、おびき出しますか。

来なかったら、こちらから出向くとしよう。

このまま微妙な距離で、付かず離れず追ってこられても疲れるし。

「丁度良さそうな広間だし。昼食にしようか」

「ナタリーはここに座ってて。お茶の準備するから」

「やっさしー」

地面に大布を広げ、ナタリーに座る様に指示し小声で伝える

「障壁魔法を張るから。何があっても慌てないで。誘い込むからこっちを見ていて」

ナタリーは頷く。

あんこも俺の行動を理解したっぽく、ナタリーの横に座りくつろぐふりをした。

ちょっとした竈を作り薪に火をつける。もちろん通路に背を向け誘い込む動きを忘れない。

マナスキャンで付いてきた二人を確認する。どうやら誘いに乗ったっぽい。

物音を立てずに近づいてきた。

さてどう立ち回ろうか。

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