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019_ハンターのお仕事

ジャンはテーブルに着いて現役ハンターたちに情報を得る機会を得ることになった。

目の前には3人の男たち。あんこに対峙したグレンと言葉が少ないアイゼン。テーブルに移動したとき、外に買い出しに行って戻ってきたチームメンバーのポツマス。

その後ろで今だ目を覚まさず横になって転がっている男がトッド。目を覚ましたところでかなり酔っていたし、まともに会話は出来ないだろう。

この4人でチーム「いてこます」だそうな。

なんでこんな名前なのか聞きにくいったらあいりゃしなし。仲良くなれたら聞くとしよう。

俺のとなりにエポックが背筋を伸ばして座り、あんこは反対の椅子をどかしてお座りしている。とりあえず飲み物を頼んでみるか。

「エポック。お茶か何か飲み物ってどうやって注文するの?」

「私が注文します」

エポックは、手を上げ給仕を呼びお茶を注文した。あんこには『あんこ専用ごはん鍋』に水を入れてあげた。

「ラグニッシュの南のダンジョンについて何か知ってますか?」

とりあえず足がかりに昨日聞きかじったダンジョンについて聞いてみる。

ラグニッシュは宿場町で、ここビメリュスと王都トリビスの中間にあって、ビメリュスから4日。トリビスから3日の位置にあり。そのラグニッシュから南に向かうと貿易都市イーザムがあり。そのラグニッシュとイーザムの間の森の中に若いシードダンジョンが確認され、今ハンターたちの旬の狩場となっているらしい。

シードダンジョンとはダンジョンシードなる魔物が地中に根を張る様に迷宮を構築し魔物を生み出す。

シードダンジョン内の魔物は、討伐すると魔石とその魔物を生み出した素材になり。それらをドロップアイテムと呼称するとのこと。

現在そのシードダンジョンで確認さてた魔物は、スライム、ラフィドフォリディー(カマドウマ)、センチビート、ゴブリン。現在は4階層まで確認されているらしい。

「俺たちは、ダンジョンアタックしてたんだが、食料が残り少なくなったので、一旦引き上げてきた。まだ数チーム潜っているはずだ」

「まだ先の話ですが、潜ってみたいですねダンジョンに」

「そうか。がんばれよ・・・」

まだ硬いな。無理もないけど。ちょい飲ませて口を軽くするか。給仕を呼び、酒と適当に料理の追加を行う。

その後、男たちの酔いが回り、口が軽くなってきたころ。トッドが目を覚ました。いち早く気が付いたグレンがトッドを押さえつけ、壁際に引きずっていった。後を追うようにアイゼン続く。どうやらポツマスが俺の相手をしてくれるようだ。

「この町にもダンジョンがあるみたいですが、なんで観光地に?」

「なんででしょうね。ここ数十年魔物は出ていません。マナが枯渇したとか噂はありますが。銀貨一枚でツアーが用意されてますよ」

古代の建造物で、観光地化されており中は清掃が行きとどいているそうな。

見どころは地下庭園。自然光が取り込まれて植物が植えてあり、噴水を起点に水路が張り巡らされている。他には闘技場、謁見の間などがあり。時間にして二時間程度で回れるらしい。後でツアー参加してみようかな。

話を変えて、ハンターについて聞いてみた。ギルド職員に聞いた方が良い気もするが、生の声を聴いてみたかった。

ぶっちゃけ『何でも屋』と回答された。

人助けはもちろん人殺しすら、国など公的機関から悪人とカテゴライズされれば依頼が発生する。

はたや人手が足りないと農作物の収穫依頼やダンジョンのツアーガイドなんてのもあるらしい。

やっぱりハンターギルドは異世界転生ものの冒険者ギルドだった。

だとすると依頼受注の振り分けのためにランク制度とかあるのだろうか?と聞いてみると、クラス制度があり、クラス内でランクが分かれているそうな。

クラスは「ドラゴン」「ゴーレム」「ワイバーン」「オーガー」「ゴブリン」の順で依頼制限があって、クラス内でランクがAからE。Eランクが各クラス内での最低の信用度となっていて、強さよりも依頼達成度で格付けしているらしい。

これからギルド登録するし「ゴブリンのE」は確定かな。受注できる仕事内容がしょっぱそう。


ふと、壁際でもめているトッドたちをみると。今にも殴り合いに発展しそうな感じでにらみ合っていた。絡んできたら今度はアイスボールのテストをしてみよう。どの程度までなら人体は凍らないのか確認は大切である。

あ。グレンが俺が見ていることに気が付いた。人が慌てている様子を対岸の火事のごとく眺めるのは、ちょっと楽しい

まだ戻ってこなそうなので、もうちょいハンターについて聞いてみようか。

「駆け出しのハンターの心得とかってなんかある?」

この後ハンターに登録することは話したので、気持ちの準備的なこと聞いとこう。

「ゴブリンクラスじゃ、まじめに仕事するってだけですよ。依頼を途中で投げるのはもってのほか。信用できるやつだってギルドに分かってもらう事で、いい仕事を回してもらえる様になってランクが上がる。ランクが上がればクラス昇級もできるようになり、クラスが上がれば魔物退治の依頼や、報酬も上がる。オーガークラスからが一人前のハンターなんで。私たちもまだまだなんです」

なんでもチーム「いてこます」はオーガクラスのC。クラスが上がってまだ半年らしい。そしてこのクラスは「魔物討伐に慣れる」クラスとも言われ、クラス名の由来であるオーガーまでの強さの魔物相手の依頼が出される。最もハンター人口、依頼が多いクラスだ。

こういう上を目指せるシステムって好きだ。しかも単純明快なのが好感を持てる。

まじめに仕事(依頼をこなし)して、強けりゃOK的な。依頼も選べるしな。出来そうもないのは手を出さなけりゃいい。


しばらくして、3人が戻ってくるなりトッドが土下座を敢行した。怒っては無いので何事もなかったかのように席に着く様うながした。

「すまん。悪酔いしすぎてた。許してくれ」

「気にしてませんよ。こちらも従魔がすみません」

「いやいや、先に手を出したのは俺だし」

いえいえ、いやいや合戦が始まりそうなので、食事を勧める。

「ジャン君。ハンターに登録するってことなら、うちのチームに入らないか?」

トッドが勧誘を始めたよ。さっきの土下座から一転、切り替え早いな。

誘ってくれるのは正直助かる。雑用クラスをスキップして魔物討伐メインで依頼をこなすことが出来るからだ。

しかし今は魔物討伐よりも食探しが重要なので、遠慮することにした。

ある程度情報を持っているコボルトのエンバでも、味噌、醤油を知らない。カレー、唐揚げも知らないときたら、この土地から離れないと見つからない事が分かっているから。

ハンターギルドは根無し草でも都合がいい組合で、人族が根を張っている土地では国境を跨いで存在する大規模組織。遠い地で信用ゼロスタートは疲れる。

商業ギルドも同じように世界に根を張っているようだが、今のところ商業活動するつもりは無いので、今後必要になったら考えよう。

そろそろ、お暇してギルドに登録しようかな。

チーム「いてこます」の面々に挨拶して、ギルドの受付カウンターに向かう。

もちろん飲酒はしてないぞ。

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