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016_海岸

昼食をギドン商会で頂いた後、一度港近くの海岸に向かうことにした。

あんこもおなか一杯食べれたらしくご機嫌だ。午後の予定はハンターギルドに個人登録。市場見学。時間が余ったら街の散策と宿の確保と伝えると、宿の手配はエンバさんが行ってくれるとのこと。さらに案内人を付けてくれた。

それならばと少し考え、いきなりイベントが発生しそうなギルドに向かう前に、腹ごなしに食後の散歩をすることにした。案内人がいるなら迷わないだろうし。

港町ビメリュスに滞在中。案内人に選ばれた丁稚の茶色八割れ柄のコボルト『エポック』。大人しそうではあるが、犬種のコーギーを思い浮かばずにはいられない。もふもふしたくなる・・・。犬とは違うので我慢だ我慢。


ちょっとした砂浜と磯が多めの海岸に着き、まず始めたことは生態観察である。カニとか貝とか居ないかなと。生まれが山国で育ちも山国。たまに旅行とか遊びに海に行く環境で育ったので、子供心がくすぐられるのだ。

「お。カニ発見!」

『そんな小さいの食えないっすよ』

「いやいや。磯に小さいのがいるなら。海の中には食いでがある大きなカニもいるはずさ。どうやって捕まえるかが問題だが」

当初予定していた海水をインベントリに収納しながら会話する。

「カニですか?おいしくないですよ。たまに河口で手のひらサイズの大きなカニを見たことはありますけど、おいしいと聞いたことはありません」

エポックが指摘してくれた。

「海の中のカニは?」

「はい。カニ自体、漁港に水揚げされたことを聞いたことは一度もありません」

浜辺にカニがいるのに海中に居ないのか?なんか怪しい。獲り方知らないって落ちは無いよな?聞いてみるか。

「漁ってさ。どうやるの」

「釣り上げたり、網を使って囲ってしまったりですね」

「その網の使い方は?」

「近海だと2艘の船から網を降ろして、魚群を囲んで捕まえる感じです。もしくは大きな浮き樽を使って魚群を囲みます」

「沖合だと?」

「沖合でも同じ感じです」

「地引網って知ってる?もしくは素潜り漁」

「地引網?知りません。それと素潜り?危ないですよ。水中には小さいながらも魔物がいるので、人族で素潜り出来る種族はいないんじゃないですかね。マーフォークなら出来るんでしょうが」

つまり、普通にタラバとかズワイとか居る可能性があるけど獲物として捕獲してないと。確かに、ズワイとかタラバは深海生物だった気がするが(間違ってたらすまん)。

モズクガニは認識はあるが、おいしくないと認識されて食べないと。

ワタリガニは近海でしかも素潜りでも獲ることが出来たはず。

「なるほどね。いい勉強になったよ」

『喰えるカニの魔物なら知ってるっすよ』

「カニの魔物?」

「ロックキャンサーの事ですか?と言いますか、もしかして『あんこ』様とお話ししてます?」

エポックが、かみ合わない会話に気が付き、質問してきた。

「エポックは口が堅いよね。フェンリルの事だしコボルト以外口外禁止事項でよろしく」

「あんこもコボルトには念話しちゃっていいよ」

『了解っす』

「ああ。あんこ様の声が頭の中で聞こえます」

「で、話を戻すが。ロックキャンサーとは何ぞや」

『カニの魔物っす。肉が甘いのですが、水っぽいのでわっちはあんまり好きじゃないっすね』

「カニは生じゃそんなものだろ。焼く、蒸す、煮るなど火を通すと身がしまって旨くなる。生だと醤油がないと駄目だ」(あくまで俺視点)

『まじっすか。ロックキャンサー狩ったら焼いてくれっす』

「OK。俺もその時は食いたいしな」

かなり海水をインベントリに収納したので塩、水の分離を試みる。

結果は「塩」、「水」、「その他ミネラル」になった。相変わらず意識外の物についてはよくわからん。ラッドなんて「不燃物」だしな。

その他ミネラルをその場に投棄して、ちょい考える。

海藻類の入手は可能だろうかと。先ほどエポックに聞いた話だと、素潜りは不可能との話ならば海藻類は基本海辺に打ち上げられた物のみ。

市場での入手できない場合は、自分で何とかしよう。ワカメと昆布は何としてでも入手しないといけない食材だしな。

「ジャン様。その土はどこから?」

「気にしてはいけない」

「わ。分かりました」

エポックの口止めをして、海をみる。

「あんこは海の生物詳しい?」

「いえ。海には潜ったことないっす」

「そっか。ここに到着する前にやってた動物当てクイズをちょいやって、海辺の生物を覚えようかなと思っただけ。カニと貝だけ覚えるとしよう」

砂浜に移動して探知魔法のマナスキャンを実行する。砂浜にポツポツと点が見える。インベントリから枯れ枝を取り出し、見えた点を掘り起こす。

二枚貝が出てくるので。そこそこ大きいのは都度インベントリに収納する。巻貝はパス。砂浜の巻貝って食用のイメージがない。

エポックの顔が面白い。生気が無くなった様に無表情だ。まあ、慣れてもらおう。

しばらく砂浜を掘り起こしアサリ、ハマグリ、マテ貝以外は投棄する。潮吹きとかは砂抜き面倒なので。クリームシシチュー用のホンビノス貝はいなかったのは残念。

食後の散歩はこんなところかな。

食材を探すにしても先立つものを入手する手段を確立しなきゃな。

あんこがいるから多分コボルトたちの紐になる事は可能そうだが、それはかっこ悪いしな。それにハンターギルドが気になる。この世界では冒険者ギルドっぽい役割らしい。

さて、エポックにハンターギルドに案内してもらうことにしよう。


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