104_ダンジョンアタック
うすうす分かっていたさ。こうなる事ぐらい。
何故か、コシュシのハンターギルドから戻って来たコボルトの話では。国は今だ動いていない。
人族が行方不明になっている件でも、国は動いていない。
そして何故か、俺がダンジョンアタックすることに、話がまとまり。
何故か、話が決まったとたん『あんこ』が喜び。ファウラとツービーが遠吠えし。
何故か、シードダンジョンに準備もろくに行わないまま突入することになった。
「えー。ダンジョンアタックは俺。『あんこ』、ファウラ、ツービー。以上四名で行います」
シードダンジョン前で宣言する。
正直、ダンジョン内はくるぶし程度の水嵩でぬかるんでおり。コボルトでは足手まといになる。
アロメダは大きすぎるし、パレットは鳥なので・・・。
ここまでついてきた、アイさんやナタリー。カワウソ達なども当然と言わんばかりな顔つきである。
確かにさ。狭いダンジョン内で戦える人選は限られているけど。
少しぐらいは立候補してくれたっていいじゃん。
ぶっちゃけアイさんを組み込むかは悩んだ。現役ハンターなんだし。
でも、前に聞いた話では、野外限定のハンターで。しかもパレットありきの行動しかしていないので、ダンジョンでは・・・。となった訳である。
ファウラ、ツービーのツートプで俺は『あんこ』に騎乗して突入する。
お約束の照明魔法を付与したロングスタッフを手に持って。
分かっていたけど、水辺の魔物がエンカウントするする。
ジャイアントフロッグ、スピアクロコダイルそして、チェインスネーク、スライム類。
ジャイアントフロッグは丸飲みされると逃げるのが困難。
外皮より口の中の方が強靭で、生半可な刃物で切ることは出来ず。顎の力も半端ない。
スピアクロコダイルは、まさにミサイル。
電柱が口を開けて突っ込んでくる感じ。
チェインスネークはアオダイショウサイズで金属光沢がある鱗で硬くはないが、毒持ち。
全て冷やすと動きが鈍くなる。
まぁ爬虫類系だし。そうかな?と周囲の温度を下げる魔法を使って実験した結果。
一分も経たないうちに、目で見てわかるぐらい極端に動きが遅くなった。
なので、俺は魔石が潤沢にある事を良い事に。常時冷気魔法を使用することにした。ファウラとツービーのアシストだよ。
こんな感じで、『あんこ』の出番はないわけだが。
『あんこ』が相手をしたくなる魔物は現在登場しておらず。特に不満はない様だ。
スライムは普通のスカベンジャーのみ。攻撃的な奴には今だ出会っていない。
「『あんこ』が相手をする様な魔物が出なきゃいいけど」
「いやいや。出てもらわないと、つまらないっすよ」
「はぁ。なんでも良いよ。もう三日だぜ。こんなじめじめした所。さっさとおさらばしたいんだけどな」
愚痴も出るさ。暗くジメジメしていて、興味を引かれるものは無く。
ただひたすらファウラとツービーが魔物を狩り。俺は『あんこ』に騎乗したまま冷気魔法を使い続ける。
そして倒された魔物をインベントリに収納する。
これを三日間続けりゃね。
『あんこ』も暇だろうから、話してみたら、まだ戦う事を諦めていない様で・・・。
そうそう。なぜかスタンピードを起こしたジャイアントスワンプリーチは見かけない。役割分担?ダンジョンシードに知能があるのかも分からんが、内と外で魔物を変えているのかな?
臭いし回収もしたくないので、ダンジョン内に居ない事はありがたいけどね。
そんな事を考えてはいけなかった。
思いっきりフラグを立てて、そして回収することになる。
「やっとお出ましっすね」
「うん?『あんこ』何か言った?」
「とりあえず降りてくれっす」
ファウラとツービーには俺を守る様に指示を飛ばす。
嫌な感じがヒシヒシと前方から伝わってきたので、素直に『あんこ』から降りる事にする。
「じゃ行ってくるっす」
『あんこ』が前方に走り出した。
俺はファウラとツービーと共に『あんこ』を追いかける。
とは言え、俺の足では。このぬかるんだダンジョンでは、それほど早く移動できない。
ファウラとツービーは俺の速度に合わせて歩く。
戦闘音がビチャビチャと俺の足音の合間から聞こえる様になってきた。
『あんこ』が相手にしている魔物はどんな奴だ?
気になるが俺はこれ以上早く進む事ができず、もどかしい思いをする。
そして、やっとたどり着いたのは、巨大な天然の空洞に見える空間。
明かりもなく真っ暗な空間に反響する戦闘音。
見えないので、照明魔法を使う事を『あんこ』に伝える。
了解を得た所で、道中手に入れた魔石(小)に照明魔法を掛けて、巨大な空間に投げ込む。
フラグ回収お疲れ!ジャイアントスワンプリーチです。
しかも外に居た奴の数倍の大きさ。色もなんか毒々しい。
亜種なのか変異種なのか良くわからないが、『あんこ』が獲物認定した魔物だし。それなりに厄介なのであろう。
そして周囲。俺たちが入ってきた所の反対側の壁際に、ゼラチン質の透明なハチの巣?の様な塊が幾つも転がっている。
なんだあれ?鳥肌が立つほどの嫌な予感しかしない。
俺は躊躇なくファイアーボールをそれらに向けて打ち出し始める。
爆発音とともに臭い匂いと『ぶしゃ』っと何とも言えない音が混じり聞こえる。
俺に近づいてくる蛭どもは、ファウラとツービーが対処してくれている。
後で洗浄魔法必須だな。臭くてたまらん。
間違いなく鼻がもげそうなのを我慢して戦ってくれているであろうファウラとツービーを横目に、俺は透明なハチの巣を全て爆破した。
『あんこ』のお戦いも終盤なのだろう。巨大な蛭の動きが遅くなってきた。
『あんこ』の魔法によって切り刻まれた体から、体液が噴き出て止まない。
うへぇ。蛭の体液って赤いのかよ。粘土が高いどろどろの赤い体液が、ダラダラと・・・。
ファウラとツービーが仕事を終えた様で、俺の元へ戻ってくる。
後は『あんこ』が多分ボスを仕留めれば完了か?
ダンジョンシード自体はガキの俺でも、ショートソードでかち割れるだろうしな。
そして、終わったとばかりに『あんこ』が俺のそばに戻ってくる。
「主。洗浄魔法お願いするっす。この臭いは防御も避けるのも不可能っす」
「ああ。俺もこれ以上無理」
とにかく、洗浄魔法を使い。障壁魔法をアレンジして、俺たちの周囲に風の幕を作る。
少し落ち着いたので、蛭どもから魔石を抜き取り、さっさとダンジョンシードを討伐して、この臭いダンジョンからおさらばしよう。
もう少しだ。俺は『あんこ』に飛び乗り。ダンジョンシードを目指して進んだ。




