103_合流
アイさんがやってきた。
と思われる船が近づいてくる。
昨日蛭退治が完了し。安全が確保できた。
不幸中の幸いと言うべきなのか、スタンピードのせいで動物や魔物は駆逐されており。襲われる危険は皆無になった。
これだけ広大な湿地なら蛭の生き残りが居るのではと気にはなるが、カワウソ達から打ち漏らしは無いと強く言われた。
しっかりローラー作戦で、くまなく釣り上げてきたと断言しているので、まぁ大丈夫だろう。
それに、今なお数匹のカワウソが湿地全域を走り回って確認している。
お、パレットが飛んできた。アイさんが乗っているのは間違いなさそうだ。
続いて船から何かが海へ飛びこむのが確認できた。カワウソの子供かな。
まぁこの距離なら平気だろう。
カワウソの方は後で挨拶するとして、まずアイさんに上陸しようと念話で提案する。
「お久しぶりです。大変でしたね」
上陸早々桟橋でアイさんからの挨拶だ。
「お久しぶりです。蛭退治疲れましたよ。まさかシードダンジョンが出来ていて、スタンピードが発生していたとはびっくりですよ」
「え?なんの話ですか?『みなも』の両親に誘拐魔と勘違いされた事ですよ」
「あれ?話しませんでした?スタンピードのこと」
・・・
念話での連絡で漏れていた様だ。
カワウソの件で、いっぱいいっぱいだったし仕方がない。
海ではカワウソ達が感動の再開劇を繰り広げているが、もう大丈夫だろう。
まずは、うちの新しい家族の紹介からかな。
ぽんぽんとアロメダの首を軽くたたき。アイさんに紹介する。
「これがホルギュカの大草原で、新しく家族になった『アロメダ』です。以後よろしく」
「え?レイジングホース?」
「知ってましたか。いろいろあって俺の従魔になりまして」
「いろいろって・・・。後でゆっくり聞くことにするわ。私はアイです。ジャンの同郷の者です。よろしく『アロメダ』さん」
レイジングホースについて、なにか知っているのかな?ちょっと驚いている様だった。
「それと、こっちがブラックウルフの『ファウラ』と『ツービー』。『あんこ』と違って本物のブラックウルフ」
アイさんあきれ顔だ。一気に家族が増えたしな。
「えーと。ブラックウルフは後三頭。帰りに合流する予定」
「そんなに戦力集めて、何かする気なの?」
アイさん顔が怖くなってきたよ。俺のせいじゃない。全て『あんこ』がしでかしたんだ。
そんな言い訳口にできるわけもなく、無難な回答を考える。
「いつの間にかこうなっていたのよ。俺も何故こんなに増えたのか分からない」
これは事実だ。増やそうと考えたことは一度もない。
さて、紹介も終わったし。米探しどうしようかな。
「アイさん。早速古代米探ししますか?時期的に既に稲穂は見えないし。泥攫いになると思いますけど」
「いきなり話が変わったね。もちろん、そのつもり出来ました。運が良ければ稲穂が見つかるかもしれないですし」
意気込みはばっちりそうで何より。
カワウソ達が陸に上がってきて、アイさんとカワウソの話が始まった。
もちろんパレットが間に入っての伝言ゲームだ。
俺は、後追いで来たコボルトの水夫達に、シードダンジョンの情報確認にコシュシの町に向かって欲しいと伝える。
既にコボルト達で情報共有してあったらしく、少しの休憩の後、向かうらしい。
ダンジョンシード案件は俺の依頼とかそういう話ではなく。人族共通案件なので、気にするなって気さくに答えてくれる。
で、そのシードダンジョンの内部をちらっと光が届く範囲、目視確認したが、ジメッとしていて、足首が水に浸る感じの通路が奥に続いていた。
これはきつそうだ。内部の魔物以外に環境面で敷居が高くなっている。
地面が見えない。つまり、いきなり深くなっていても分からない。
慎重に進まなくてはならず。時間かかかるのは間違いない。
そして、蛭を約千五百匹排出した。
そういった事から分かるのは、かなりの攻略難易度だという事。
松明も落としたら視界確保できなくなるし。
さて、アイさんがこっちにやって来たので、古代米探し始めますかね。
俺は『あんこ』に騎乗して泥漁り。インベントリに回収し古代米を泥から取り出そうと試みるが、その泥には無いので。取り出せない。
それをこの辺に育っていそうと当たりを付けて繰り返す。
アイさんは『みなも』に乗って枯れた稲穂を探している様だ。
数カ月前なら稲穂も見つかったと思うけど。今は冬。もう穂の状態ではないと思うけど、実際はどうなっているか分からないし。そういった探し方もやって損はない。
現地を良く知るカワウソ達にも聞き込みする。
『こんな形の草が生えていた場所を知らないか』とかね。
・・・
米。見つかる気配なし。
悲しいが現実だ。
日が暮れてきたので、桟橋近くのセーフハウスに戻る。
セーフハウスは、いろいろ手を加え。今では炊事場、寝室、風呂、トイレが作られており。寝室に至っては男部屋。女部屋の二部屋だがベット完備である。
何となく気合を入れて作ったのが風呂。
かけ流しの温泉をイメージして作ったよ。
魔道工学を駆使して海水をくみ上げるポンプ。
海水を茹でて蒸気を回収する仕組み。
蒸気を冷まし真水を作り出し、湯船に流し込む。
湯船には温度調節の魔道工学技術を使て、いつでも入浴可能の素晴らしき風呂だ。
先客が居ない事を立札で確認し、入浴タイムだ。
立札を気にするのは男のみなんだけどさ。
女性陣は、誰が入浴しているか目視確認してくる。
男にプライバシーは無いのだろうか?
さておき、この風呂は本来俺には不要なんだよ。魔法で汚れを落とせるから。
でも疲れを取る意味で作ってしまった。
窓を開け放ち、掛け湯をして、湯船につかる。
声が出そうになるがぐっと我慢。おっさん臭くて恥ずかしいからな。
しかし、やっぱり風呂は良い物だ。
夕日を眺めながらの入浴サイコー!




