表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/39

010_マジックバックと誤魔化し方

肉串を食べ終え。追加で焼いてもらった10本は、こっそりインベントリに収納し、あんこに騎乗してギルドに向かう。

ギルド前には馬3頭とギルドマスターと若手の職員とおっさん職員が待ち構えていた。

「ジャン。それがラッドを狩ったあんこか?」

「はい。あんこです」

「馬は必要なかったか。ラッセンだけ付いてこい」

若手の職員が馬を連れて引っ込んだ。

おっさん職員はラッセンって名前か。どうでもいいけど。

「それじゃ案内しろ」

「あんこの後をついてきてください」

あんこは指示する間もなく走り出した。ギルドマスターが駆る馬がついてくるが一気にに差が開いた。

「あんこちょいスピード落として。馬がついてこれない」

『遅いっすね。のんびり行きますか』

速度を落としたあんこにギルドマスターが追いつく。

「馬が追い付けないとは。あんこは狼?犬?どっちだ。魔物だとしても、馬より早い地を走る魔物はそう多くは無い」

「わかりません。子供のころから一緒なんで」

「まぁいい。馬がつぶれてしまうので、少し行ったところで休憩させよう」

ギルドマスターの合図で休憩に入る。俺はあんこから大鍋を下ろし、魔法で水を給水した。魔法が使える人は少数だがいるとアリシアさん言ってたし、隠蔽する必要はないだろう。

あんこが水を飲み終えたころ。ギルドマスターが声をかけてきた。

「ジャン。お前は魔法が使えるのか?」

「ええ。どうして使えるかは秘密です」

「ふむ。馬に水を分けてもらっていいか?」

「かまいませんよ」

大鍋を濯いでから給水する。ラッセンのおっさんは水の入った大鍋を馬に持って行った。

「忠告をする必要はないだろうが。魔法が使える子供は、人買いにさらわれる事が多い」

「大丈夫ですよ。攻撃魔法も使えますし。あんこもいますから」

「攻撃魔法が使える?なぜこんな町に一人で来たんだ?子供で攻撃魔法が使えるなら、王立魔道学園に強制入学させられるはずじゃ?」

魔道学園・・・。そんなのあるのかよ。

「それも秘密です。すみません。個人的には話しても良いのですが」

話したくても話せない感を出して、誤魔化す作戦。

「・・・話を変えよう。この町にはどのくらい滞在するのかね?」

「とくには決めてません。物資の補給と路銀のために立ち寄っただけなので」

「そうか。ここは農業の町だからな。この地に根を張って生活するなら良いところだが、観光となると、ここから馬車で2日程度南にビメリュスがあるからな。そっちに向かうんだろ?」

言葉を合わせとこう。

「はい。何かおすすめな場所とか知ってます?」

「教会は当然知ってるだろうし。港には多種多様な人族が船でやってくるから珍しい食べ物とかかな。後はダンジョンか、あそこは遺跡ダンジョンで観光ツアー的なことやってたはず」

「やはり教会は有名ですよね。とは言え目的は珍しい食べ物なんですけどね」

「ラッド駆除でがっつり稼げただろう楽しんでくるがいい」

ラッセンのおっさんが空になった鍋を持ってきたところで、世間話を止め移動準備をする。大鍋を水で濯ぎ、あんこに括り付けるだけだったが。

あれ?どこに案内するんだ?気が付いてよかった。死骸を捨てた場所なのか。餌認定されて襲撃された場所なのか。場所が離れているので確認しといた方が良いだろう。

インベントリはマジックバックを持ってる的な嘘をつけば誤魔化せるか?

「あのー。これからラッドが襲ってきたところに案内するんですが。死骸は別の場所に捨ててきました。襲われたのが道端で、かなり邪魔になりそうだったので」

「なんだと?とりあえず案内してくれ」

しばらくして餌認定襲撃場所に到着。それなりに荒れていた。

いきなり死骸を投棄した所に連れて行ってたら、争った跡もないのに死骸だけが山積みの奇妙な場所。先に気がついいぇ良かった。変な疑惑が出来てしまったかもしれない。

「ここです。野宿しようとしたら囲まれて」

ギルドマスターとラッセンのおっさんが検分を始めた。焚火後なんかもあるし、嘘はついてないので大丈夫だろ。問題はインベントリを誤魔化す方法だがどうするか。

気が付いたら、あんこがラッドを狩っていた。あんこさん何してるんすか!

「ギルドマスター。あんこがラッド狩ってきました」

「お。獲ってきたのか」

ギルドマスターの前で、あんこはすでに息絶えたラッドを地面に落とす。

「いつ狩りに行ったのかわからなかったぞ。だが手間が省けた」

ラッセンのおっさんがラッドを検分する。

「普通のラッドだな。スタンピードの魔物の特徴が見当たらない」

ラッセンのおっさんがギルドマスターに報告すると。ギルドマスターは安堵した表情をした。

「そうか。とりあえず魔物の死骸を投棄した所に案内してくれ」

「わかりました。そのラッドはしまっちゃいますね」

勝負だ!インベントリをうまくごまかすぜ!

ラッドの死骸を受け取り、こっそり取り出していた雨具用のマントの陰でインベントリに収納する。

「マジックバックか?」

「はい。目立たないように雨具に縫い付けてあるんです」

「なるほど、400匹もの死骸はそうやって運んだのか。それにしてもすごい容量だな」

「誰にも言わないでくださいよ。ギルドマスターの要職についている人なら、口外しないと思ってましたので」

「わかっている。魔法もそうだが、誰にも言わんよ。無論ラッセンは口が堅いから大丈夫だ」

上手くいったか?万が一盗難にあっても、雨具のマントは買いなおせばいいしな。

あんこに騎乗し死骸を投棄した場所に向かう。ただ、大木を収納した場所から離れた場所から森の中に入る。根っこが掘り起こされた様な後は説明できん。

しばらく進みラッドの死骸を山積みにしたところに到着する。

死骸は既に半分ぐらいに減っており、主にラッドだがギルドマスターが近づく前に逃げて行った。

「ふむ。やはりラッドは襲ってこないな」

ラッセンのおっさんが残っている死骸の検分を始めた。

「こちらの死骸にはスタンピードの魔物であった特徴が残ってるな。ん?魔石が無い?」

「あ!魔石は回収してます。極小でも使い道があるので」

「そうなのか?まぁ聞かないでおこう」

そう言ってギルドマスターは周囲を歩き、逃げて行ったラッドの足跡などを観察していた。

「ジャン。さっき道端で狩ったラッドを出してくれるか?」

ラッセンのおっさんがおねだりするので、雨具のマントの陰からラッドを取り出す。

「こうして比べると違いがはっきりするな。状態が良いスタンピードの魔物も数匹回収していくか」

げっ。ラッセンのおっさんが自前のマジックバックに収納しやがった。マジックバック説明のターンを無理やりねじ込んだ感じか?まあ、帳尻あったし良しとしよう。

長居は無用ってなわけで、さっさと帰路に就いた。もちろん大木を収納した場所は避けました。

帰路の工程は先頭をギルドマスター、あんこ&俺、ラッセンのおっさんの順に、急ぐ要件もないので馬なりで進み。日暮れ前にはギルドに着いた。

「帰ったら、道端で狩ったラッドの報酬も含めてスタンピード討伐報酬を用意するから明日ギルドに出頭する様に」

ギルドマスターがなんか言ってきた。くれるものは貰っとくか。

それより、宿の確保してねえぞ。

ラッセンのおっさんに、あんこと宿泊できる宿を聞き。急いで宿に向かう。

やれやれだぜ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ