095_コシュシの町
大河に面する町コシュシ。
コボルト達のお出迎えが待っていた。
ギドン商会のエンバが手配してくれていた数人で、コボルト達の手配済みの宿での情報共有が行われた。
「現在アデルシアン湿地帯は渡航禁止命令が出ています。理由は人族の消息不明が多発しているためで、現在ハンターギルド主体での調査が行われています」
俺と面識があるコボルトのエポックが説明してくれる。
やはり、陸路での移動は無理がありそうだ。
そこで、ここまでの道中で考えていた海路での移動。
そして、拠点を海上の船とすることで、ナタリー達の安全を確保して、俺と『あんこ』など、脅威に対応可能な人選での野生の米。古代米探し。
「そこそこ大きい船を数日確保することは可能だったりする?」
「アデルシアン湿地帯への旅行を、お止めになる事を想定しており。港町ブルンドに帰りの船を用意してありますが」
準備が良いね。それを使わせてもらえないか確認する。
「それは大丈夫ですが、どうするおつもりで?」
俺の考えをエポックに伝える。
米を諦めるなんてとんでもない。可能性があるのなら突き進みたい。
無いことが確認できたなら、あきらめるけどさ。
ここで相談だ。
俺と『あんこ』のみで、陸路で米を捜索しながら、もともとの帰還予定地で合流する。
全員で港町ブルンドへ向かい。船でアデルシアン湿地帯に向かい、船をベースキャンプとして、上陸と帰還を繰り返し、米の捜索を行う。
船をここコシュシの町まで呼ぶ。
以上の三案を考えた。
一案は論外とナタリーとヘルミナに怒られた。
危険とかが理由ではなく。一緒に旅行する事が目的なのに。単独行動はどうなのと。
結局三案の、ここコシュシの町で船を待つ事に決まった。
馬車での移動は疲れる。ここで長めに休息を取るのもアリよねと。
そこに船を呼びに行く移動手段として、名乗りを上げたのがアロメダ。
ひとっ走りしてくれるらしい。
コボルトを背に乗せる事も了承。早速馬用の鞍を用意してコボルトに使いに出した。
見送りに出て、感心することになる。
コボルトを乗せたアロメダが走り出して直ぐ見えなくなった。
「アロメダ走るの早いな」
『流石っすね。わっち並みの足の速さっす』
「あの速さだと、明日には港町ブルンドに着くんじゃ?」
『多分張り切ってたっすから、明日朝には到着するんじゃないっすかね』
「寝ずに走るつもりか?」
『多分そうするっすね』
急がなくて良いよと言い忘れた俺が悪いのか。使いのコボルトには後で謝らないとな。
船でブルンドからコシュシまで三日。のんびり待つ事にしよう。
宿に戻ると。みんな自室でのんびりしている様だ。
俺はやらなくちゃいけない雑務をこなす事にした。
ファウラとツービーの首輪の入手とハンターギルドへの登録である。
今はバンダナを巻いているが、適当に作った物なので直ぐ千切れてしまう。
宿の従業員にブラックウルフに付けられる首輪が売ってそうなところを聞き。『あんこ』、ファウラ、ツービーと従魔市場に向かう。
この町の従魔市場は市場と言えるほど大きくなかったが、首輪は手に入れる事ができた。
自称ブラックウルフと本物のブラックウルフが二頭を目の前にして、かなり驚かれたが。流石は商人笑顔で商売に徹してくれた。
こちらは店頭に商品を置かず。受注販売が主な取引内容なんだってさ。
早速ファウラとツービーに首輪をしてもらい。付け心地を確認するが問題ないと返事をもらった。
王都に戻ったら、他のブラックウルフ達の分も含めて特注で用意しよう。
そう心に決めて、ハンターギルドに向かう。
道中ファウラとツービーを『あんこ』と見比べる。
体の大きさはほぼ同じ。首輪よりも鞍の方が良いのだろうか?
いやいや。ナンシーとヘルミナの移動手段は、アロメダが従魔になった時点で当確だし。
わざわざ騎乗しなくても良いよな。
ハンターギルドに到着し、従魔登録を行う。
今回はファウラとツービーのみ追加登録しておく。
アロメダ本人が今は出払っているので仕方がない。
従魔登録は、恐らくモーグに戻ってからになるだろう。
ついでに人族の消息不明の件の情報を仕入れておく。
エポックに聞いた内容から更新されていない様だ。
あ!忘れる所だった。カストロイデスの討伐部位換金。
ギルド職員に確認し、討伐部位の換金を行う。
毛皮はどうした!と聞いてきたが、自前で使うので売りませんよと一言。
残念そうな顔でこっち見るなよ。
ステップドラゴンは、戻ってから売りに出そうと思っているので、ここでは話を持ち出さない。
多分向こうの方が高値が付くだろうと、ヘルミナのお言葉があったのだ。
なので、討伐部位も換金していない。
「あんたは調査に参加しないのか?そんな大層な従魔を連れているのに」
俺の相手をしてくれていたギルド職員が調査参加を促してきた。
調査が難航しているんだろうな。
「今は家族旅行の最中で、仕事をするのは控えてるんです。申し訳ありません」
「そうでしたか。残念です」
あっさり引き下がってくれた。国が動くことが分かっているからなんだろうな。
さて、雑用も終わったし。宿に帰るとしようか。
『あんこ』達を引き連れて、買い食いしながら宿に戻る。
大河の横の町って事もあり、魚料理の屋台が多いその中で、ワニ肉の串焼きが売っていたので、物珍しさに購入。
うん。鶏肉っぽいがそれほど美味しいと言うほどではなかった。
お腹も膨れ、ちょいこの辺散歩してみようか。『あんこ』に提案すると、ひと狩り行こうぜとばかりに、狩のお誘いである。
大草原で狩りまくっていただろうに。と思いはしたが、付き合う事にする。
この辺にはどんな魔物が居るんだろうか?
それにファウラとツービーがどのくらい戦えるのかの知っておきたいしね。
大草原では自由気ままに走り回っていたので、カストロイデスの時しか戦い方を見ていない。
たしか狼の集団戦って獲物を追い立てて仕留める感じだったよな。
個で戦った場合はどんな感じなのかな?
俺は治癒魔法もちゃんと使える方になったし。ちょい強めの魔物が出たら、単騎で相手にしてもらう事にしよう。
「じゃあ。宿で声かけてから狩りにいくとするか」
『了解っす。急ぐっすよ!』
ご機嫌で足早になる『あんこ』。
ファウラとツービーも雰囲気が伝わったのか、機嫌よく足早になる。
お嬢さんたちも戦闘狂なのかねぇ。




