表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/39

009_スタンピードご報告

バシャードさんの店を出てギルドへ急ぐ。

さっさと換金して昼飯にしないとあんこがうるさい。

換金用の尻尾はズタ袋に入れ準備万全だ。ただ気になるのは、一睡もできずに狩り続けたラッドの数。異世界転生お約束のスタンピードとかだったら、説明とかで時間がかかる。めんどくさいこと間違いなし。しかし手持ちが少ないので、後で換金という訳にはいかない。なるようになれ精神でギルドに突入することにする。

ギルドに到着しカウンターを目指す。初めて話したおっさんの職員だ。

ズタ袋をカウンターに乗せ、ラッド駆除証明の尻尾と説明した。

おっさん職員はズタ袋を開き、中を確認する。

「おい、何だこの数は!」

「町はずれで、夜通し襲われた結果。あんこが頑張った。俺は拾って尻尾を切り取っただけ」

「ちょっと待ってろ。ギルドマスターに伝える」

あーあ。お約束が始まった予感。ラッド400匹いたって死人は出ないだろうに。憲兵曰く人が襲われるわきゃーないって言ってたし。でも俺は餌認定されてたな・・・。

おっさん職員が戻ってきて、ズタ袋と共に会議室らしき所に通された。

こじんまりした部屋に6人掛けのテーブルと椅子のセット。椅子にはおっさんが座っている。おっさん職員がズタ袋を開け、座っているおっさんに中身を見せる。

「ラッドの尻尾だな。俺はギルドマスターのトウゼム。この数の尻尾はどうやって手に入れた?」

「初めましてジャンです。町はずれで夜通し襲わました。あんこが狩ってくれたのを切り落として集めました」

「あんこ?」

「俺の連れの犬です。外に待たせています。連れてきましょうか?」

「いや、いい。それで襲われたと言ったが。ラッドが逃げずに襲ってきたと?」

「はい。日が暮れて休んでいたら数匹に囲まれて、それをあんこが狩ってくれて。休んでしばらくするとまた囲まれての繰り返しで、朝まで続きました」

「知っているだろうが、ラッドは臆病で人を決して襲わない。ラッドに襲われたなど聞いたことがない。しかし、この尻尾の数は異常だ。この町の周囲に生息しているすべてのラッドを狩りつくしたと言っても、信じてしまえる数だ」

「ギルドマスター。スタンピードの可能性は?」

おっさん職員がギルドマスターに問う。

「それが最も高い可能性だろう。スタンピードの魔物は凶暴化する。ラッドが人を襲った時点でほぼ確定だろうな」

「ジャンといったな。今から案内できるか?」

「少し休んでからでいいですか?昼飯がまだなので」

あああ。めんどくせえ。

「わかった。昼食後ギルドに顔を出してくれ」

「わかりました。それで尻尾の換金お願いします。今手持ちが無いので」

「それじゃ、カウンターに戻るぞ」

おっさん職員がズタ袋を手に俺を元居たカウンターに誘導する。

話が出来そうなギルドマスターで良かったよ。こういった場合のお約束は有無を言わせず案内させようとするだろうからな。

面倒だけどこちらも素直に昼飯食ったら顔出すとしよう。

おっさん職員がカウンターで尻尾を数えた後、金貨3枚と大銀貨9枚を持ってきた。

「数が多いから金貨にしたぞ。飯食ったら必ず顔出せよ」

お金を受け取り、あんこの元へ向かう。

「お待たせ。飯食ったらまたギルドに来なきゃならなくなった」

『?とにかく話は飯食ってからっす』

話が終わらないうちに、あんこは歩きだす。向かった先は昨日の肉串屋台だ。

わかってはいたが、知っているところは朝ごはん食べたおばさんのところか、この屋台だけだもんな。

「おっちゃん10本焼いてくれ」

「昨日の坊主か。金はあるのか?」

小銭入れから大銀貨を取り出し手渡す。

「問題ない。後で追加で10本焼いてもらう」

「盗みなんかしてないだろうな」

「金持ってるのはギルドマスターも知ってる。ちゃんと仕事で稼いだ金だよ」

「それならガンガン焼いていくぞ」

屋台のおっさんは肉串を火鉢に並べていく。その間に大鍋をあんこから下ろす。

「とりあえず。あんこは9本な。またギルドに行かなきゃならないし」

『面倒ごとっすか?』

「そう。ラッド捨てたところ案内しろってさ」

『なんでまた?』

「やっぱりラッドが人を襲うってのは異常らしい。スタンピードがなんたら言ってた。まぁすることないし付き合ってよ」

そうしているうちに焼きあがった肉串を受け取り、串を外して肉を大鍋に盛る。

旨そうにあんこは鍋に頭を突っ込んでぱくついた。

そういやこの肉はなんの肉なんだ?間違いなくラッドでは無いことぐらいは分かるが。

「おっちゃん。この肉なんの肉なの?」

「にくうしの肉だ。近場に産地があって良い肉が手に入る。美味いだろ」

「うん」

牛か、微妙に違う気がするが、牛と言われれば確かに。

この世界にも牛がいるのか。魔物の肉かとか思っていたよ。

「魔物の肉は焼かないの?」

「魔物の肉はもっと美味いけど高いんだよ。倍の値段になっちまう。この辺は魔物が少ないから手に入りにくってのもあってな」

「へー」

うん。情報が足りない。食べられる魔物が居ることは分かった。ラッド見たいに、あんこが食べない魔物も居るし。あんこならその辺詳しいのかな?

後で聞いてみよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ