第6話『魔法』
この世界で二度目の朝。
起きていたらまた血溜まりの中だった、なんて事もなく、石の上で寝ていたとは思えないほど心地の良い目覚めとなった。
さて、昨日の続きだな。
「鑑定」
《人間》
『個体名:辺星憂希 Lv12
年齢:13歳
性別:女
魔法:炎元素魔法
水元素魔法
風元素魔法
光魔法
黒魔法
特異魔法
スキル:自動攻防
鑑定
称号:異世界のモノ
加護:アルガルンの加護
シーラトリアスの加護』
どこを見ても気になることしか書いていないが……順番に鑑定していくしかないだろう。
《Lv》
『強さの段階を表す数値
生物の殺害、又はスキルの使用でレベルは上がる』
昨日見た時はもう少しレベルは低かったし、鑑定を使うだけでも上がるのか……
《魔法》
『魔力を使用する事柄の総称
炎、水、風、土の四元素の他に、光魔法、闇魔法がある
黒魔法、神聖魔法など、種族特有の魔法もある』
《黒魔法》
『魔族のみが扱える魔法
稀に人間にも発現するが、器として不十分な事が多く、大半は成人前に体が崩壊してしまう
その特性故に、呪いの子として迫害される事がある』
『辺星憂希は転移時に適応したが、二十歳までは生きられないだろう』
突然の余命宣告である。
そもそも、こんな世界で明日生きていけるかどうかも分からないのだ、今の所大した問題ではない。
ちなみに年齢だか、流石に天下の鑑定様でもなぜ小さくなってしまったのか分からないので、気にしない事にした。
少しだけ寿命が伸びたと思えば少しは気が楽だ。
《特異魔法》
『辺星憂希に発現した魔法
自動攻防などが含まれる』
《自動攻防》
『意識下、無意識下に関わらず自動で防御、攻撃を行うスキル』
盗賊達を殺したのはこのスキルのようだ。
調節できるようにしないとこの先困りそうなので、これを制御できるようにするのが今後の課題だね。
などがっていうのは含みがあるけど、これ以上鑑定しても自動攻防以外の情報が出てこない。
これから増える可能性があるのか、それとも見えていないだけなのか……これからもこまめに鑑定しておこう。
《異世界のモノ》
『???』
《アルガルン》
『アストラム大陸の五柱の神の一人』
《シーラトリアス》
『ルクスア大陸の三柱の神の一人』
加護なんてものをくれたのは有難いが、この世界の神様なんて知ったこっちゃないし、気になることは全て調べたかな。
他に気になることと言えば……髪の色が変わったこと、だろうか。
魔導書によると、この世界では生まれた時から体内に魔力が存在しており、髪や瞳の色が魔力の色に染まっていくのだそうだ。
一束だけ残された髪を見ると、今は全体の三割ほどが青く染まっている。
もう数日もすれば完全に青く染まってしまうだろう。
今後、黒髪だからと狙われる事がないのはありがたい。
一段落した所で、遠くから遠吠えが聞こえた。
殺気と言えば良いのだろうか。
ゾワゾワとした感覚で体が強ばるのが分かる。
再度遠吠えが聞こえた。
ものすごい速さで何かが山を駆け下りてくるのが見えた。
『グルルルルル』
「鑑定、するまでも無いか?」
《レッサーウルフ 7体》《レッドウルフ 3体》
昨日のやつらと同じ魔物だろう。
数も変わりないしね。
一際大きなレッドウルフだけ再鑑定してみる事にした。
「鑑定」
《レッドウルフ Lv9》
『炎元素魔法を操る魔物』
『辺星憂希にとって脅威たりえると判断しました。水元素魔法で対処します』
「待て待て、私の意思に関係なしで発動するのかこのスキル!?」
自動攻防を制御出来ないと今後絶対に困る!
そう思った時には遅く、目の前で展開されたウォータージェットのような魔法により、綺麗に真っ二つになってしまった。
『グルルルル……』
私が殺してしまった魔物の中に親玉がいたらしく、呆気にとられている間に魔物達は退いていった。
「これは制御しないと大変な事になりそうだ……」
散らばった魔物達の亡骸に手を合わせながら、私はそう呟くのだった。




