第5話『鑑定』
「さて、これからどうするかな」
私は村の広場のような場所で一息つきながら、集めた魔法について書かれた本を読み漁る。
ひとつの古びた本によると、文字として情報が見える魔法は鑑定魔法という物だそうで、発現する可能性がとても低い魔法らしい。
無意識にやっていた鑑定だが、正しい方法は『対象を定めた上で魔力を込めて見る』事だそうで、試しに本を鑑定してみる事にした。
「鑑定」
《魔導書》
『希少な魔法が記された魔導書
ここまでマニアックな知識が記載されている物は少ない』
思っていたよりも鑑定は便利な魔法らしい。
他の魔導書も鑑定しながら読み進めるが、魔導書に鑑定のソート機能や、本の内容まで表示してくれる便利さは記されていなかった。
鑑定という魔法自体が珍しい魔法なんだろう。
色々と気になるところは多いが、鑑定結果を鑑定する事も可能らしく、今分かっていることをまとめてみようと思う。
ここは王制国家イリオス。
アストラム大陸の中心にある大国だそうだ。
まず、ここが地球ではない事が確定した。
今更すぎてそれほど驚きはない。
魔法の存在。
魔力を使用する事の総称を魔法と言うらしい。
今は炎、水、風、土の魔法四元素を基礎とした魔法が主流らしく、素質さえあれば誰でも簡単な魔法は使えるそうだ。
ちなみに、魔力についての記述が一切無かったので鑑定してみた。
《魔力》
『世界に存在している物質
魔力なくして生物は生きてはいけない』
という、なんとも曖昧な回答を頂きました。
不思議物体という事は変わらないので、あまり気にしないようにしていたが、色々読み進めた上で出てきた疑問がひとつある。
この青い手足はなんですかね?
《魔力結晶 Lv6》
『高密度の魔力の塊』
どう鑑定しても、この手足についての鑑定が上手くいかない。
少しラグはあるものの、いつの間にか普通の手足として使えるし、イメージしたように手足が伸びるので気持ち悪い。
そう、気持ち悪いのだ。
私はこれをイメージして作り出した訳でもないし、そもそもこれの作り方さえ知らない。
なぜこんなにも都合の良いのだろうか?
ふと思い立ち、じっと水の底を見つめるように深く、深く鑑定をかけてみる。
《魔力結晶 Lv6》
『高密度の魔力の塊
辺星憂希による特異魔法によって作成された』
《特異魔法》
『生死を彷徨った者にのみ発現する
発現者により魔法の内容は異なる』
少しコツを掴んだかもしれない。
魔法はイメージとはこういう事を言うのだと再確認した。
なら自分自身も鑑定出来るのでは?ゲーム画面のステータスのように表示されてくれればありがたいが……
《人間》
『個体名:辺星憂希 Lv10
年齢:13歳
性別:女
魔法:炎元素魔法
水元素魔法
風元素魔法
光魔法
黒魔法
特異魔法
スキル:自動攻防
鑑定
称号:異世界のモノ
加護:アルガルンの加護
シーラトリアスの加護』
十三歳!? 小さくなったとは思っていたけれど、そこまで小さくなっていたのか……
鑑定は上手くいったようだが、思っていたよりも情報量が多い。
まぁ、とりあえず鑑定の使い方を覚えられただけで充分だ。
まだまだ気になる部分も多いが、日も暮れてきたので今日はこの辺りにしておこうと思う。
赤い夕日が昨日の出来事を思い出させるが、次の行動を決めなければいけない。
いつまでもウジウジしている暇はないのだ。
魔導書片手に、ベンチのような硬い石の上で横になる。
夜空と魔導書を交互に見ていると段々と眠気が襲ってきた。
あの狼達が戻ってきたらどうしようか、と不安が一瞬頭によぎったが、私の意識は微睡んでゆくのだった。




