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フィーネ・ブランシェという人間
私、フィーネ・ブランシェは寄生虫のような人間だと自覚している。
無意識の内に同情心や庇護欲を誘うこの体や表情を、私はコントロール出来ません。
何故ならそれが生まれ持った才能でもあるからです。
本来であれば、侯爵家の人間として母と共に殺されるはずだった私ですが、可愛らしい見目と同情心を誘う言動でなんとか奴隷として生き残る事が出来ました。
奴隷として生きるのはとても屈辱で、辛いものではありますが。
そんな私に光が差したのです。
「行く宛てがないのなら、一緒に来てみる?」
「ああ、いや、別に無理にとは――」
ああ、この人は優しい。
無意識に同情心を誘うような言動をしてしまう私に、優しくしてくれる人は少なくないです。
だけど、ここまで良くしてくれる人はとても少なく、何か訳があるのかと疑ってしまう。
疑ったところで、私にはどうすることも出来ないのですが。
「私、旅なんて初めてで……はしゃいじゃってごめんなさい」
「私も旅なんて初めてだから楽しみだよ」
しおらしく笑ってみせれば、ユーキさまは不器用にも笑ってくださる。
この人の言葉が、本心である事を祈る事しかできない私を、どうか見捨てないでくれたらと、浅ましくも願うのでした。




