第8話『半年の月日』
そして半年が経ってしまった。
あれから半年、本当に色々あった。
スキルを制御するため山籠りする羽目になったが、その際に魔物を食べたり……その他にも色々あったが、人と会わない生活というのは、案外気楽なものだった。
そのおかげで今はスキルを完璧に使いこなせるし、悪い事ばかりではないな。
自動攻防も前とは違い、防御のみ自動で展開するように調節出来るようになったため、使い勝手の良いスキルとなった。
それまでは魔物や人に関わらず、少しでも害意や敵意があるだけで魔法が発動してしまうため、躊躇いなく盗賊の命乞いを無視できるくらいには、人を殺す事に慣れてしまった。
こんな世界だから仕方ないね。
初めは瞬きを我慢するのと同じくらいの不快感が全身を襲っていたが、今は嘘のように体に馴染んでいる。
他にも扱えるようになったスキルや魔法は沢山ある。
「鑑定」
《人間》
『個体名:辺星憂希 Lv18
年齢:14歳
性別:女
魔法:炎元素魔法
水元素魔法
風元素魔法
光魔法
黒魔法
特異魔法
スキル:自動攻防
鑑定
アイテムボックス
称号:異世界のモノ
加護:アルガルンの加護
シーラトリアスの加護』
レベルが上がり、意識せずとも鑑定のソート機能や、各魔法を扱えるくらいには魔法があるのが当たり前になった。
レベルが上がるごとにスキルが増えるらしく、それも役に立っている。
アイテムボックスは何でも収納出来る便利スキルだ。
ただ、魔法を扱えるようになっても足が生えてくるわけじゃない。
魔力結晶で無理やり四肢を包み込んでいるため、切断された患部の状態が悪く、時々酷く膿んでは治ってを繰り返していた。
何度も何度も熱にうなされ、眠れぬ夜も数え切れないほどあった。
そろそろどこかの町で適切な治療を受けなければ、と、そう思っていた日の事である。
目の前にゾロゾロと下卑た笑みを浮かべた男達が現れた。
以前にもこんな事があったような気がするが、今では日常と言っても良いだろう。
見目麗しくなくとも、黒髪でなくとも女と言うだけで襲われることはある。
特異魔法で作られた義腕に魔力を込め、粘土で形を成形するようなイメージで腕を大きな鎌の形に変える。
私はそれで盗賊達の胴体を両断した。
やはり、魔法よりも物理攻撃の方が手に馴染む。
返り血を落としている時に目についたのは、馬車に備え付けられた小さな檻。
その小さい檻に小さな体を縮こまらせて体を震わす少女がいた。
深緑の髪を握りしめ、こちらを見る鮮やかな緑の目を、この少女との出会いを、私は忘れることはないだろう。




