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「ロゼッタ様~、お久しぶりですわ!」


座っていた見た目清楚系美少女のミラベルは、ロゼッタを見るや否や立ち上がり抱きついて来た。ミラベルは侯爵令嬢であり、彼女もまたロゼッタの元同級生である。


(わたくし)、ロゼッタ様が学院を辞めてしまわれて……毎日毎日寂しくて寂しくて……太ってしまいましたわ……」


寂しくて太るとは、何故……。


ロゼッタは意味が理解出来ずに、瞬きをする。


「ミラベルは、毎日やけ食いしてるからな」


寂しさを紛らわす為に大量のお菓子を持参して、昼休みなどに食べまくっているらしい……。ロゼッタは笑顔が引き攣る。嬉しいような、複雑な気分だ。


「あれだけ食べれば、誰でも太るだろう」


そう言って呆れ顔をした彼は、公爵令息のジョエル。長身で割と身体付きのいい少年だ。


「だって、ロゼッタ様がいない学院生活なんて、なんて……貝殻の形をしていないマドレーヌと同じですわ‼︎」


相変わらず微妙な表現だな……とロゼッタは思った。果たしてマドレーヌが貝殻の形をしているか否かはそんなに重要な事なのか……答えは否だろう。ハッキリ言ってどうでもいい事柄だ。だが、彼女は至って真面目でふざけている訳ではない。素で言っている。


「それは確かに、物凄く重大だね」


コイツは、また適当な事を……。


ミラベルの発言に、適当な返事を返した眩しいくらいの美少年の彼は侯爵令息のクラウス。だが見た目に反して腹の中は真っ黒。ロゼッタとは天敵同士だ。


「あれ、もしかしてロゼッタこそ太ったんじゃないかな?毎日何をするでもなく悠々自適に楽して生活してれば、仕方ないよね。羨ましいよ、本当に」


苛つく。クラウスはこういう奴だ。


「まあ、そうですね。仰る通り毎日悠々自適に生活してますよ。学院を辞めるのは名残惜しかったですが、結婚生活も悪くありません。寧ろ愉しくて愉しくて仕方ないくらいで……オホホ」


売り言葉に買い言葉。あの生活が愉しい訳がない……。だが、言われっぱなしは性に合わない。そんな互いに微笑みながら攻防戦を繰り広げる2人をよそにミラベルは「相変わらず、仲良しで妬けますわ!」と言った。








「ロゼッタ様、実際には結婚生活は如何ですの?」


再会の挨拶を終え、ロゼッタも用意されていた席に着いた。テーブルにはこれでもかというくらいに、焼き菓子が並び甘い香りを漂わせている。見てるだけで胃もたれしそうだ……。



暫くロゼッタ達は、互いの近況報告などをして話に花を咲かせた。それが終わった後、ミラベルが心配そうに口を開いた。


「あー……」


実際は、仮面夫婦どころではない。あの旦那(おとこ)は、毎晩違う女性を本邸に連れ帰っては情事に勤しんでいて、顔を合わせれば険悪になり口論になる事も暫し……とは流石に言えない。


「普通、ですね。所謂普通です。普通としか例えようのないくらいに、普通です」


瞬間その場が静まり返り、ロゼッタに視線が集まった。汗が額に滲むのを感じる。


何かしら、この視線は……上手く誤魔化したつもりなのに……。


「……ロゼッタ、実は噂で聞いたんだが。先日のリュシドール公爵家の夜会で、女から平手打ちされたんだろう」



ロゼッタは笑顔のまま固まった。


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