プロローグ
プロローグ
三ヶ月程前、伯爵令嬢のロゼッタは、侯爵令息のフェルナンドへと嫁いだ。
彼はロゼッタの従兄であり、昔から良く知る間柄でロゼッタにとっては兄の様な存在だ。昔は優しくて面倒見も良く、昔はよく遊んで貰ったのを覚えている。
フェルナンドは、騎士団に所属しており21歳という若さにも関わらず副団長を務めている。容姿も整っており、所謂美青年。
それ故、女性達からはかなり人気がある。
彼自身も無類の女性好きで、ロゼッタと成婚する以前から毎晩女性を取っ替え引っ替えしていた。それ故に、いざこざが絶えず彼の両親は頭を悩ませていた。
そんな時、ロゼッタに白羽の矢が立った。
ロゼッタなら伯爵令嬢である故体裁も悪くない。従兄妹でもある故、色々と都合がいい。
責任を取れと迫ってくる数多の女性達も潔く身を引くだろうと考えたらしい。……いい迷惑だ。
ロゼッタに拒否権はなく、渋々彼へと嫁ぐ事に。
だが、結婚してからもフェルナンドの女癖は直らず、毎晩の様に違う女性を屋敷に連れ込んでいる。
政略結婚故、愛妾くらい容認するのはいいとして、本邸に連れ込むのだけは止めて欲しい……流石に気分が悪い。
一度彼に話した事があるが、喧嘩になった。
幼い頃は仲も良かったが、ある時期を境に険悪になった。それからは互いに顔を合わせれば憎まれ口ばかりで、直ぐ喧嘩になる。
それなのに、まさか彼と結婚する事になるなど思いもしなかった……。