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悪魔憑きの異世界冒険譚  作者: 夢見 ビリー
1章 勇者召喚
1/1

001話 エピローグ その1

処女作です。評価指摘コメント大歓迎(以下略)


ほぼ、あらすじです。一応詳細に書いてあります。後2~3話エピローグ続きますが飛ばしてもストーリに影響はないです。


「よくぞ来てくれた勇者たち!どうか魔王を倒して我らを救ってくれ!」


そう大きな声で話す王様に呆然とする僕の名前は宮内 圭、凱凌高校2年B組の高校生だ。顔は中の下くらい、身長も体重も高すぎず重すぎない。つまりは平凡だ。しかしこんな僕にも平凡ではない事が今2つ起きている1つ目はこの異世界転移(誘拐)。二つ目は他の誰にも見えてはいないが僕の隣で浮いているこいつ。


「おイ、こりゃあどうなってンダ?」


まだまだ日本語に違和感を感じるのだが甘く、聞き心地のいい声だと思ってしまうのはこいつが悪魔だからだろうか。さて、僕のこの状況と悪魔アバドンを説明するには少し時を遡って説明する必要がある。


遡ること4日前。


僕は床と熱烈なキスを交わしていた。教室で。僕を突飛ばし、それを見てゲラゲラと下劣な笑い声を上げている3人組。癪にさわるがこいつらの説明をしておこう。


「おいおい、この程度で倒れるなよぉ~?」


袖をノースリーブのように捲っている肌が浅黒く筋肉質なこの坊主の男は池田 達也、数々の暴力事件をおこしている野球部の問題児だ。


「あっひゃっひゃっひゃっひゃwこいつ、床とキスしてるよw」


生理的に受け付けられそうにない笑い声をあげているこのデブ男は水谷 勝、高校2年にして体重は100キロを越えているらしい。


「まあ良かったな。どうせファーストキスだろ?俺らに感謝しろよ?」


顔だけはいいこの男はいじめグループの主犯格的存在の武田 司。こいつの親は議員をしているらしく、池田がのうのうと学校に来れているのはこいつが現場におり、親が揉み消しているためだと考えられる。


この状況を客観的に分析してみよう。そう、僕はいじめを受けている。しかも教室で。僕がいじめられるようになった理由はよく分からない。気に入らなかったのか、ただ気分でいじめられているのか。何にしてもたまったものではない。ちなみにもう4ヶ月目だ。


「おらぁ!俺らに感謝しろよ!」


「かはっ」


池田の蹴りが僕の肺にあった空気を追い出した。冗談抜きに死ぬ。ヤバい。


「誰か…助けて…」


そう言い、僕は教室を見渡す。しかし誰一人こちらを見てない。いや、この表現は間違っている。誰も見ようとしない。ここで僕を庇えば明日いじめられるのは自分かもしれないと皆が考えているからだ。


僕の人生がラノベならここで僕の幼馴染みで委員長の女の子が僕を庇ってくれるのだがあいにく、ここは現実だ。そんな出来すぎた事は起きない。ちなみに僕にも幼馴染みはいる。この教室の一番前の席で熱心に本を読んでいるこのメガネを掛けた女、この子の名前は一条 遥、本が大好きで休みの時間はいつも本を読んでいる。顔はいい方で陰ながらモテている。そしてこの幼馴染みもまた僕のいじめを黙認するクラスメイト(共犯者)の一人だ。しかし、こんな僕にも救いはある。


――――キーンコーンカーンコーン―――


「ッチ!もうこんな時間か。次の時間なんだったっけ?司」


「確か、現代文だったかな?」


「そマ?」


僕は毎回この音に救われる。いやホントにありがたい。もし実体があるなら抱き締めて感謝を伝えたい。しかも今日は金曜日。今日が終わればクラスメイト(ゴミたち)と2日も会わずに済む。


――――ガラガラ―――


「おーい、みんな席につけー。宮内、何寝てんだ?体調悪いのか?」


「い…いえ。大丈夫です。」


「そうかー。ならさっさと席につけー。授業始めるぞー。」


僕はヨロヨロと自分の席につき授業に必要な教科書や筆記用具を取り出そうとする。机の中から出てきたのはビリビリに破かれた教科書とバキバキに折られたシャープペンたちだ。後ろでクスクスとあいつらが笑っている。僕に対する暴力よりもこういう方が腹が立つ。

僕の家は母子家庭だ。父は有名な探検家で5年前に探検していた洞窟の崩落により亡くなったらしい。崩落した洞窟での遺体捜索は困難らしく、遺体なしの葬儀を行った。母は僕を大学まではと意気込み、昼夜とわずに働いて僕の学費を出している。


(こんなの母さんに言えないや…どうしよう。)


「大丈夫?これ貸してあげる。ごめんね、何もできなくて。」


そう言うのは僕の隣の席の女子、篠原 恵。運動神経抜群でこのクラス(ゴミ箱)の学級委員を勤めている。そう思うなら助けてくれよと腹を立てつつ、温情を受ける。中途半端な優しさが一番の悪とはよく言ったものだ。


「…あ、ありがとう。いいよ別に期待なんてしてないから。」


「…え。」


「あっ。ごめん…気にしないで」


「う…うん。」


これが僕の日常。誰に何を言われようがこれが僕の日常なのだ。

誰も僕を見ようとせず自分の保身のみを気にしている。いじめてくる三人組にもムカつくが黙認しているこいつらも同罪だ。


(あぁ…このクラスにいる人、みんな不幸にならないかなぁ…)


(いかんいかん!今日はそんな事よりも今日は母さんの誕生日なんだ!母さんに内緒で貯めたこのお金でケーキを買いにいかなきゃ!)


この凱凌高校では学生のアルバイトは一般には禁止されている。しかし、母子家庭の宮内には特例で許可が降りていた。こっそりと申請し、こっそりと受理してもらった。この事はゴミどもは知らない。

―――キーンコーンカーンコーン―――


そんな事を考えているとあっという間に授業の終わりを伝えるチャイムがなる。


「おーし。今日はここまで。しっかり復習しとけよー。」


「篠原さん。シャープペン貸してくれてありがとう…」


「うん…いいよ。」


「じゃ…じゃあ僕は帰るね」


「あの!宮内君!いつか絶対に助けてみせるから!」


(いつかっていつだよ…)


そう内心毒づきながらこれ以上関わるのは時間の無駄だと考えた僕は適当に返事をして教室を後にした。


廊下に出て、一刻も早く帰ろうとすると耳障りな声とともに僕の肩に手を組んできた。


「み~や~う~ち~く~ん!」


「な…何かな。池田くん。」


「ちょーっとこの後いいかな?いいよなぁ?」


「う…うん」


「おう!そうか!なら体育館裏行こうな。」


(あぁ。また殴られるんだろうなぁ…今日はケーキを買いにいかないと行けないから早く買いにいきたいのに…)


そう思いながら渋々池田に着いていく。体育館裏についた僕に池田は馴れ馴れしく肩を組んできた。


「いやぁよぉ…俺たちって友達だよなぁ?」


「え…」


(どういうことだ?殴られない?もしかして改心したのか?あの池田が?)


予想外の事に僕は驚きを隠せなかった。


「あ?」


「う…うん。そうだね…」


「じゃあよぉ、きっちり友達代払わねぇとなぁ?」


(なんだそれ!そんなの聞いたこともないよ!)


非常に不味い事態になった。今僕の財布には5000円ものお金が入っている。言わずもがな僕のアルバイト代だ。これだけは死守せねば。


「ご…ごめん。今日お金持ってなくて…」


「そうかそうかぁ。ないなら仕方ない…ってなるとでも思ったかぁ??」


池田のパンチがお腹にめり込む。


「うっ…」


「お前、今日購買でメシ買ってたろ。俺の後輩が見てんだよ!!宮内の分際で、俺様を騙そうとしやがったなぁ!!」


「ひっ…」


「おら!さっさと財布を出せや!」


「ご…ごめん。このお金は母さんに「うるせぇ!」」


「てめぇの事情なんて知らねぇんだよ。ほら、さっさと出せや。ボコボコにされてぇのか?」


「うぅ…」


僕は渋々財布を渡した。


「へっ。最初からそうしてろよな。なんだよ。5000円しかはいってんじゃねぇのかよ!しけてんなぁ。」


「あう…ごめん。」


「ほら、こっちのゴミは返すぜ。じゃあな。」


池田は僕の財布を僕に投げつけた


(あぁ…僕ってなんて情けない…。)


言い訳を出そうと思えばいくらでも出る。拒絶していてもボコボコにされて財布を奪われるだけ、なら財布だけ出せば僕は無傷だ。本当に自分が嫌になる。僕は投げられた財布を拾い、帰路につく。


「ただいまー。」


案の定、返事は帰ってこない。僕は制服についた汚れを拭き、部屋着に着替え自分の部屋で横になった。


(なんだかなあ…死にたい。)


特に理由はなかった。学校には行きたくないけど行かないと母さんに迷惑がかかる。いじめられているのか事がバレても同じ。当たり前の日常がストレスだった。


(まぁ、やめとこ。そんなことしても母さんが困るだけだな。)


(さて!ケーキは買えなかったけどその代わりに、僕が夕御飯を用意して驚かせよう!)


僕は得意とは言わないがそこそこ料理ができる方だ。母さんが昼夜とわず働いているため、必然的に僕が料理することになるのだから当然と言えば当然だ。


そんな中、一本の電話がかかってきた。それは最愛の母の訃報を知らせる最悪の電話だった。

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