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28石 RD社

タオ手の生放送の名前どうしよう



フィクションです。

28石 RD社




「ここがRD社か」


「そのようですね」


 余たちは大きなビルを見上げて言う。

 大きくRDと書かれているので、間違いなくRD社なのだろうが……。


「デカイな」


 想像していたよりもRD社のビルがデカイ。

 もっと5階建てくらいの細いビルを想像していたんだがな。


「人も多いです」


 今も多くの人間がビルに出入りしていて、出入り口では警備員が数名で目を光らせている。


「とりあえず中に入るか」


「そうですね」


 ふたりでビルの出入り口に向かって中に入ろうとする。


「ちょっと待ってください」


 すると、警備員に止められた。


「む?」


「この会社になにか御用でしょうか?」


「ああ。今日はRD社に呼ばれてきたのだ」


「なにか証明するものはありますか?」


「いや、受付で名前を出せばいいと書いてあった」


 どうやら警備員は余たちを怪しんでいるようだ。

 まぁラフな服装で野球帽にサングラス姿の余とメイド服でサングラス姿のレイラを見て、止めない警備員の方がおかしいか。

 だが、レイラの視線がブリザードレベルなので早く通した方が良いぞ?


「では、私も一緒に受付に行きましょう」


「分かった」


 結局、警備員は一緒に受付まで同行することにしたらしい。


「こちらにどうぞ」


「うむ」


 警備員に連れられてビルの中に入る。

 すると、中に居た社員だと思われる人間が余たちを見てざわめき出す。


「嘘……」「あれが……」「やっぱり……」「ウルオメア……」「メイド?」


「な、なんだ?」


 なるほど。

 流石にRD社の人間なら配信のことも知っていて、余のことを見てウルオメアだと気が付くか。

 しかし、まだ表に出ていないレイラのことは分からないようだが、それも時間の問題だろう。

 警備員は周りの反応に戸惑いながらも入って正面の受付に付いてくる。


「会社に呼ばれて来たウルオメアだ」


 受付に近付いて、3人居る受付の中央の女にそう言う。


「は、はい。伺っております!」


 女が驚きながらもそう答えたことで、警備員は納得したようだ。


「失礼しました」


 そう言って警備員は下がっていった。


「あの、今日来るのはウルオメアさん? だけだと聞いていたのですが」


「ああ、秘書を連れてきたのだ。駄目だったか?」


「い、いえ、大丈夫だと思いますけど……」


 受付の女は自信なさげにそう言う。

 とりあえずこういう時は押し切る。


「それで? 余はどうすればいいのだ?」


「い、今ご案内します!」


 そう言って女が立つ。

 いやお前が案内するのかと思いながら受付の女に付いていく。

 エントランスの通路を通り、白い扉をくぐる。

 中は4人掛けのテーブルが置いてある部屋。

 応接室か。


「こちらでお待ちください。すぐに担当の者を呼んできます!」


 受付の女は、そう言い残し去っていく。


「とりあえず座って待つか」


「それが良いですね。ウルオメア様が立って待つなどあり得ませんから」


 レイラと並んで椅子に座る。


「この会社の人間はウルオメア様に気が付いていましたね」


「流石に自社の有名キャラクターくらい見て分かるか。まぁレイラのことには気が付いていなかったから、配信のことを知った上でなのだろうが」


「そうですね。私が配信に出ていれば私の正体にも気が付いていたでしょう」


「うむ……それでやはり上の人間が来ると思うか?」


「はい。事前に3人で話し合ったように今回はそれなりの立場の人間が出てくると思います。受付の対応から考えて可能性は高いですね」


「確かにな。ただ、問題は相手がどう出てくるかだが……今のところは丁寧だな」


「少々丁寧すぎるかと。一個人相手にする対応でしょうか」


「うーむ。日本の会社的には普通かもしれんぞ?」


「そうですか?」


「アッチでは個人なんて門前払いが普通だったしな。まぁただ今回のことがそれだけ大事だということかもしれん……なにを考えているか分からんが」


「正式な許可を前向き検討している……不気味ですね」


「うむ」


 そうレイラと話していると扉がノックされる。

 レイラと顔を見合わせて頷く。


「入って良いぞ」


「失礼します」


「し、失礼します!」


 そう言ってふたりの人物が部屋に入ってくる。

 最初に入ってきたのは青いスーツ姿の男。

 次に入ってきたのは小学生くらいの女の子。


「子供?」


「え!?」


「うわっ! ウルオメア様だ! それにやっぱり他にも居た!」


 何故、子供が入ってきたのか不思議に思っていると、スーツ姿の男がレイラを見て驚き、子供は何故か目を輝かせて喜んでいる。

 しかし、「やっぱり他にも居た!」だと?

 まさかレイラやエルミナがこの世界に居ることを知っている?

 警戒を表に出さずにしていると、気を取り直したスーツ姿の男と子供がテーブルに近寄ってくる。


「初めまして、私はこの会社の代表取締役の門谷誠です」


「僕は美馬文香です!」


「美馬文香だと!?」


 ふたりのうちの子供の名前に余は驚いて声を上げる。


「ウルオメア様!? どうしました!?」


「美馬文香といえば、タオスの冒険のシナリオやキャラクターデザインをした謎の人物だ!」


「なんですって!」


「えへへ、ウルオメア様に知ってもらえているなんて嬉しいなぁ」


 ふたりで驚いている間も当の本人はそう言って笑っている。


「この子供が本当に美馬文香なのか?」


「はい」


「これでも僕は大人だよ!」


 どうやら見た目は子供だが大人らしい。

 しかし、上の人間が出てくると思っていたが、まさかRD社の代表と一切表に出てこない美馬文香が出てくるとは。

 しかも、さっきの発言から考えて美馬文香はなにかを知ってる可能性がある。


「座ってもいいですか?」


「どうぞ」


 ふたりは余たちの対面に座る。


「余たちも自己紹介をしておこう。余はウルオメア・ファゴアット」


 そう言って野球帽とサングラスを外す。


「私はウルオメア様の秘書のレイラです」


 レイラもサングラスを外した。


「まさかレイラまで……」


 レイラを見て門谷が呟く。

 どうやら門谷はレイラのことが予想外だったようだ。

 しかし、美馬はニコニコしている。


「美馬、最初に聞かせろ」


「文香でいいですよ!」


「……文香。何故レイラの存在に驚いていない?」


「だって、本物のウルオメア様がこの世界に来ているなら他の人だって来ていると思ったからですよ!」


 文香がそう言った瞬間、レイラが戦闘態勢に入ろうとしたのを手で制止する。

 門谷は冷や汗をかいているが、それでも文香は瞳を輝かせる。


「ウルオメア様……」


「余も驚いているが、手は出すな。まずは穏便に聞き出す」


「全部聞こえているんですけど」


 聞かせているんだ。


「何故、余が本物だと?」


「僕がウルオメア様を見間違うはずがないからです!」


「なに?」


「僕はこの世界で最初のウルオメア様のファンなんです! その僕が偽物と本物を見間違える訳ないんです!」


 文香は瞳を輝かせて力強くそう言った。

 嘘ではなさそうだ。

 ならば聞く必要がある。

 これは賭けだが、必要なことだ。


「……どうやって余たちの世界を知った?」


 もしアッチの世界が実在していたとして、この世界でタオスの冒険を作ったと言っても良い文香はどうやって知ったのだ。


「夢で見たんです!」


「夢?」


「僕、幼い頃からずっと夢を見るんです! その夢の中で僕はファゴアット帝国の帝国民として生活しています! その夢で見たものをこの世界で形にしてきました!」


「なるほど」


「ウルオメア様、これは」


「ああ。文香はアッチの世界の誰かと夢で繋がっていて、その誰かの記憶かなにかを見ている可能性がある」


 そう考えれば辻褄が合う。

 しかし……。


「何故、アニメにしたのだ?」


「……あの世界の歴史とウルオメア様の生き様を多くの人に知ってほしかったから。だから僕は知り合いだった門谷さんにすべてを話して協力してもらったんです!」


「そういうことか」


 そこで黙っていた門谷が口を開く。


「安心してください。このことを知っていて信じているのは私と文香だけです」


「そうか」


 ふたりだけなら大丈夫だろう。

 まぁ今後どうなるかはまだ分からないから完全に安心は出来ないが。


「まさかあなたがこの世界に現れるとは思っていませんでした」


「まぁ色々あってな」


「神であるあなたなら出来てもおかしくないことです」


 どうやら神の力でこっちの世界に来たと思っているらしい。

 なら、コイツらが余たちがこの世界に来た原因ではないのか。


「勝手にあなたたちのことをアニメやゲームにして申し訳ありませんでした」


「僕もごめんなさい!」


 そこでふたりが謝ってくる。


「別に構わん……ただ動きにくくはなったがな」


 だが、レイラは言いたいことがあるようだ。


「美馬文香」


「は、はい!」


「何故ウルオメア様のファンだと言いながら、あのクソ……タオスを主人公にしたのです」


 どうやらタオスが主人公だということに不満があるようだ。


「それが1番、ウルオメア様の生き様と歴史を上手く多くの人に伝えられたからです!」


「うむ。確かにな」


 仮に余が主人公になって物語が進んでも今ほどの人気や知名度は得られなかっただろう。


「そうですか……」


 レイラは渋々納得したようだ……したよな?


「謎もまだあるが、今言って悩んだところでしょうがない」


「そうですね」


「本題に入ろう。それで今日は余たちの活動を認めてもらいにきたのだが」


「もちろんすべて許可します。あなたたちは本物なのですから……といっても認めるしかないのですが」


「どういうことだ?」


「あなたのことをネットで知った美馬がすぐに行動を起こしてタオス関連の人間を強引に説得したんです。まぁほとんどの権利を持っているのは美馬ですから彼女には逆らえませんしね」


「えへへ!」


 どうやら権利は会社ではなく文香が持っていて、余の為に動いてくれたようだ。


「文香、ありがとう」


「ウルオメア様の為ならなんでもします!」


「しかし、タオス関連は人気コンテンツだ。反対もあっただろう?」


「そんなのぶっ飛ばしますよ!」


「ははは……まぁ美馬にタオスの冒険やタオ手に関わるのを辞めると言われたら逆らえないのですよ」


「そういうものか」


「ええ。美馬はタオスのシナリオやキャラクターデザインをすべてやっていて権利を持っていますから」


 なるほど。

 アッチの世界を知ることが出来る人間は文香だけで、それを形に出来るのも文香だけということだからな。

 しかも、権利は会社ではなく、文香本人のものと。


「ただ、協力してほしいことがあります」


「なんだ?」


「今後タオス関連のイベントに出演依頼を出すので、それを優先的に受けてほしいんです」


「ほぅ……それで納得する人間が増えると」


「そういうことです。もちろん出演料はお支払いします。どうでしょうか?」


「構わんぞ」


 自由に活動出来て公式イベントに出て知名度も金も稼げるなら悪いことはない。


「なら、早速で悪いのですが来週のタオ手公式生放送に出演してもらえますか?」


 来週か。

 特に予定はないし、構わないだろう。


「ああ、分かった。レイラ、出演料の交渉頼む」


「かしこまりました」


「お、お手柔らかに」


 早速レイラと門谷は交渉を始めた。

 その横で文香と話す。


「文香はアニメだけじゃなくて、タオ手の方も関わっているんだよな?」


「そうですよ! でも、タオ手はシナリオとキャラデザだけして深く関わってないんですよ!」


「何故だ?」


「ウルオメア様が出てこないからやる気がなかったんです! でも、ウルオメア様が出ると知ってプレイだけはしてましたけど」


「なるほど……ん? してた、ということはもう辞めたのか?」


「はい! だってウルオメア様本人が居るならそっちを応援した方が良いですし……ガチャはクソだし」


「そうか……んん?」


 タオ手を最近辞めて、余の為に行動していた……どこかで聞いたことがあるような……。

 そこで脳裏にひとりの名前が浮かぶ。


「文香……お主、もしかしてネットで余と絡んだことあるか?」


「あ! ウルオメア様、気付きました? MFBG楽しかったです! どうも、さけるイカです!」


「お前か!」


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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱ向こうの人間かと思ったけどまさかの公式側人間w
[良い点] 笑撃の真実! 何回見てもウケる(笑)
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