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かいけつへん2

「つまり、首を、絞めるように、巻かれているにも関わらず

死体から血が出ていたと」

「はい・・・先ほどはすいません」

目の前には、上着を脱いだ、熱海が、座っている

「いえいえ、つまり、死体は、何者かによって、出血させられて、それが原因で」

「・・・いえ、分かりません、ただ、印象的で」

「そうですか、後は」

「さあ、其れくらいでしょうか」

「・・・そうですか、何かありましたら、こちらに連絡を」

私の目の前に起きっぱなしの名刺に書かれている

電話番号を、示す熱海

そのとき私は、小さな文字で、その横に

「探偵」と言う文字をみる

「あのすいません」

「なんでしょうか」

「あなたは、警察の方ではないのですか」

「・・あれ、言ってませんでしたか、私は、私立探偵です」

「・・・・・え・・警察の方では」

「・・・・・ですから・・」

「すいません帰ります」

まさか、自分から電話をかけるとは

そのとき私は思っても見なかった


「事件状(挑戦状)」

「拝啓、皆様方、私は、全てに置いて

安全を、許しすぎた

夢の無き

危険無き

この学校にて

わたくし「神」が、「紙」にて、一人の人間を、シュレッダーに、架けた

さて、次は、誰に、神の天罰を、与えましょうか

其れでは  神(紙)」


其れが届いたのは、事件の発生した、その日のうちであった

そして、そんな事件的な手紙が、被害者宅に、届いたその頃

私は、一人、事件の光景が、脳裏を過ぎり

酷い吐き気に揺らめきながら、一人、公衆トイレに、駆け込んでいた

「吐く吐くはくはく」と脳内に、こだます

そして、入った瞬間

いやな予感がした

と言うより

けさ、嫌なことがあったにも関わらず

其れを忘れて

それは、まさしく

怪談的である

どうしても我慢できずに

トイレに入ってから気が付く

代表的な展開

そのトイレが、三番目であり

その三番目に、怪談話があることに

そして私は、何かを感じ取ったのは

結局

何かにぶち当たってからだ

そう、あの後、挨拶もせずに、そのまま、ばななぼーどを、出て

知らない公園まで、歩いたとき

ビーバーのうるさい音で、ようやく、良く知らない公園に、来たことを

知った、しったは、良いが、また、例の記憶に

頭がぐちゃぐちゃと、連想が、吐き気を催させた訳だ

そして今、私は、トイレを開けるわけであるが

その中は、酷かった

まず、白い小さな

そんな、何かを、体中に、紙吹雪のように

張り付けた

そんな、人間と思われる物が

トイレに横たわっていた

今度は、便器がしまっており

それに、うつ伏せに、倒れている

「・・・・・あわ」

私は、ざぜかそのとき、110ではなくたまたま握りしめて捨てていなかった、先ほど分かれた自称探偵の方へと

今年初めて買って貰った携帯電話で、かけたのである


「災難でしたね」

男は、レモネードと梅昆布茶という異例のコンボを、繰り出す飲み物を

私の前に説明した後、差し出す

「・・・」

私は黙って、差し出された物を、すする

かなり酸っぱい

「実は、私は、あの後、色々調べたんですがね

そしたら、挑戦状が届いていたんです・・・見ますか」

私は首を振る

「・・・ですよね、ただ、気になることがあるんです

どうして、犯人は、紙ばかり使うのでしょうか」

「・・・・・・・トイレにないから」

「え・・今なんと」

「トイレに、センサーが付いていて、本来トイレに、ない物体が、トイレ内に、入ったとき、センサーが鳴るんです」

「・・・初耳です」

「虐め、自殺、WCランチ、テロ、そんな物を、阻止するために、入り口にセンサーが設置されているって、パンフレットに」

「・・・無駄に最先端ですね」

「人間の技術の使い方なんてそんなものです」

「分かりました、これは重要です、ただ、今回の事件現場を見て、一つの共通点があるのが分かりますか」

「紙でしょ」

「ええ、紙です、でもどうして、犯人は、紙を、使って、人を殺すのでしょうか」

「目立ちたいから」

「まあ、其れもあるかも知れませんが、殺人動機はなんでしょう

其れも関係しているのでは、と思うのです私は」

「・・・ただの愉快犯かも知れないじゃないですか、目立ちたいとか

ほら、何でしたっけ、三毛猫団とか」

「殺人集団黒猫団」

「そうそう」

一瞬、熱海の顔が、見たことがないほど沈み鋭くなる

「・・・また奴らですか」

「またとは」

「殺人集団黒猫団は、言ってしまえば、殺人示唆組織です」

「其れはつまり」

「ある日、手紙が届きます

其れは、メールだったり、便せんだったり、ただの落書きだったり

ただ、どちらにしても、そこに書かれているのは、殺人の方法

其れも、絶対犯罪、捕まることのない完璧なる罪です

その方法が書かれている」

「・・・もしそんな物が、あったとしても

人はそんな物に手を、簡単に出すでしょうか」

「・・・分かりません、ただ、もしも、広告のチラシのように

大量に、巻かれていたら

その中の何人かは、行動に移すかも知れない

もし、ピンポイントに、其れを、渡したら

それに、殺信者サツジンシャ殺し信じる者と書いてさつじんしゃと呼ぶ者が、世の中にいて、そいつ等は、黒猫団を、神か何かのように崇め

もし、黒猫団から手紙がこよう物なら、喜んで犯罪に手を染めるような連中もいる」

「そんなに、現実的に、あるんですか、その、事件は」

「さあ、事件が起きた後

犯人が、そう言う場合はあるが

それこそ、ほんの一部で、言わないことがほとんどだ

絶対的に、そうだと言っても、証拠がないことが、出ることなどまずない」

「それで、今回も」

「さあ、其れこそ犯人に聞いてみなければ分からない

それにそんなことはどうでも良い」

「どうでも良いのですか」

「これ以上、この事件を、続けさせるわけにはいかないだろう

もしかしたら、麻薬のように、神経が麻痺して

殺人を、方法ではなく、快楽として、生きる意味として捉え始めているのかも知れない」

「でも、あなたに、こんな事を言うのはどうかと思うけど

出来るんですか」

「いやまあ、全力でやるだけだよ」

「・・・・・・・・」

「所で、君の投げ出された、荷物の中に

二つの携帯があったけど

二つとも君の物なのかい」

熱海がそう言う

探偵らしいと言うのか

そんなことを、探偵は言う

「あ・・忘れてた」

私は、スケルトンのガラケーを、片手に、本人に、電話をかけてみることにした

「あの・・もしもし」

暫く、通唇音が、鳴った後

「はい、春風ハルカゼだ」

それは、実に無礼きわまりない

そんな声に思えた


「あーーーそれか、それか」

どう言うわけか、いつの間にか、私は、事件の話をしていた

「つまり、犯行の方法を、知りたいわけだ」

不躾な声が、電話から聞こえた

「・・あなたは誰なんです、それに分かるんですか」

私は、その軽率な、軽い言葉に、怒りを覚える

「楽々楽々、楽すぎて退屈だ」

其れはそう言うと

まるで、もつれて絡んだ素麺を、めんつゆに浸けたときのように

一瞬で謎を解いて行った


「まず、始めの事件現場だが、確か、血が出ていたんだよな」

「ええ」

「そのトイレは、トイレに本来ある物以外は、持ち入ることが出来ない」

「はい、形が、センサーに、インプットされています

凶器になりそうな物は、まず無理でしょう」

「本当に馬鹿だ、そんな物に、金をかけるくらいなら、もっと

おもしろいことに金を使えばいい物を」

「何其れ」

「二階から滑り台があったら、僕は小学校に行っていただろう」

「・・・保卒ですか」

「話が逸れた、つまり、形さえ、Okなんだな」

「ええ、でも、犯人は、紙しか使わないとか」

「全く、くそつまらないとこだけ、実に、良いことを、やりやがる」

「今何か」

不謹慎な声が聞こえた気がする

「いや、こちらの考えだ、つまりだ、紙で出来ていて、相手を、血痕が、ダダ漏れる程の出血をさせる物を、考えればいいわけだ」

「そんなもの・・・あなたは、トイレットペーパーで、人が殺せると」

「簡単だ」

「冗談でしょ」

「いとも簡単」

「・・・分かるのあなたは」

「・・何々、ヒントが欲しいと」

「言ってないです、ただすこしきになります」

「冷凍庫では、豆腐で、殺人事件が起きる」

「は・・・どういう」

「どれだけ鈍いんだ、答えは、もう言ったも同然だ」

「いやいやいやいや・・・どういう事なんですか」

「馬鹿なのか、つまり・・」

「ああ・・ばななですね」

「ばなな・・ああ、そう言う言い方も出来るな」

「つまり、凍らせた、水に浸けたトイレットペーパーを、凶器として

ハンマーのように」

「ザッツライト・・・遅すぎる、次に行こう」

「はい」

「其れでなんだったっけ」

「切手です」

「・・・・ああ、切り刻まれた体に、切手が張ってあったんだな」

「はい」

「・・・・今度は、センサーは、無いんだな」

「あります、公園にある物しか、入れないんじゃないでしょうか」

「・・石なんて言うのはどうだろうか」

「それは、不確定要素があるから無理じゃないでしょうか

それに、凶器にもなり得ますし

トイレに流したら駄目でしょうし」

「・・・君は、紙に、殺傷能力があると思うかい」

「・・いえ」

「水に、紙を浸し、寝ている人の顔にかけたらどうだろう」

「え」

「其れこそ、毒でも混ぜていれば、効果は絶大だ」

「何の話ですか」

「殺人を解くことが出来る人間は

其れぐらいの殺人は出来ると言うことだよ」

「何の話なんです」

「君は、紙で、自分の手を切れるかい」

「・・・紙で、手を」

そのとき私は、ノートの端で、指を切ったことを思い出す

しかし、それでも、あれほど深々と、切り刻まれた

遺体は、まるで、ジェイソンに、やられたようだ

もし、ジェイソンが、A4の、白い紙を持って

逃げまどう人を、切り刻もうなんて図は、図らずも無理がある

逃げ出されてしまえば、無理だろう

「無理ですよ、ジェイソン並の切り方でした」

「良く見られるね、僕は、映画が、嫌いだから」

「・・そんなことはどうでも良いです」

「酷いな、まあいいや、つまり、答えは、紙で、人は、切断可能だ」

「どうやって」

「君は、公園に着いたとき、ビーバーの音を聞いたそうだね」

「はい」

「もし、鉄の板を外して、鉄と同じかたちの紙をはめたら

どうなるだろうか」

「まさか、でもそんな」

「トイレットペーパーで、人は殺せる

鉛筆でも、髪の毛でも、其れこそ空気だって、声だって

なぜ、無理だと言いきれる

君は試したことがあるのかい

人を殺そうと思ったことは

試したことはあるのかい」

「あるわけ無いでしょ、あなたは、犯罪者じゃないんですか」

「さあて、謎も解けたところで、君はこの後どうするんだい」

「どうするって、警察に」

「今から、行って、犯人はいるだろうか」

「え・・」

「とまあ、そう言う可能性はなくはないだろう

さて、では誰が犯人か」

「だれって」

「学校にはいるのは難しそうだ、しかし、公園は・・まあ、ビーバーを、持っていてもおかしくない人間、そして学校でも同じ」

「用務員」

「それじゃあ、僕はこれで、切るよ」

「ちょっとま・・」

「・・・・・・・」

電話の奥から、きれたことを意味する甲高い音がした

「・・・だそうです」

「え・・何」

かなりの長電話の後

いきなりの推理に面食らう熱海だったが

その後すぐ、警察に連絡

緊急で、用務員さんを、連行しに行ったが

早退していた

すぐさま、街に、設置された

監視カメラという監視カメラをフル稼働して

ようやく見つけたのは

一軒の家にはいるところだった

そして男は、毒の浸されたキッチンペーパーを、家人に、かけるところを

捕まえられた

が、しかし、舌を、噛み切り

自害

後にこの事件を「神(紙(噛み))様事件」と呼ばれることになるが

結局、男の動機は、彼の家に残された

ノートに、始めの事件は、トイレでの虐めによる自殺

二番目は、夜間のトイレで起きた暴漢事件での自殺

三番目は、特に書かれておらず

自分はもう、殺しを止められないと言う主旨が残されていて

トイレではないが、実行すると

これが果たして、話にあった、黒猫団が

関わっているか

未だに分かってはいない

そして、私の手元には

まだ、あの電話がある

どう言うわけか、あの後、何度か電話をかけているのだが

繋がることがない

警察に落とし物として届けるべきなのだろうが

電話の相手がどういう人間なのか

其れが気になり、どうしても、警察に行く気ができず

手元に残っている

あの後、アタミの話では

何処から聞いているのだろうか

「なぜ、一介の事務員が、この犯罪を調べ、鉄槌のもとはんざいを犯したのか分からないと言う

全てが、支配されているこの世界

管理され、秘密は、深く、漏れ出すことが無いというのに

どうして・・・・」

どちらにしても、私は、数日、警察に、事情聴取に、行った後

どうも、予想はしていたが

第一容疑者のあだ名の元

学校生活を、始めることになった

春風探偵とまた繋がるのは別の物語である

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