#6 再会
暁の目が醒めたのは、夜だった。まだ火照ってる体がだるい。見慣れない天井が目に入ってやっと口を開くことが出来た。
「ここは?」
「暁気が付いたの!?」
パトナの心配そうな顔が暁を見下ろしていた。
「パトナ……」
ジンワリと心が温かくなる。今にも涙が零れ落ちそうだった。
「解熱剤飲んでるから、もう少し安静にしておいた方が良いよ?」
丁度、頭を冷やす為の氷水を持ってきた茜がホッとした表情で暁を覗き込んだ。
「橘さん……ごめんなさい。迷惑掛けちゃって……」
「大丈夫だよ?迷惑なんて掛けてない。第一私がプリント忘れてしまったのが原因何打もん。誤るのはこっちだよ。それに、もっと早くにパトナ君のこと話してれば良かったね。ごめんね……」
「茜ちゃんが悪いんじゃないよ。僕がちゃんと暁に言ってなかったから……」
パトナは自分を恥じた。感情に赴くまま、自らの使命を放棄したんだと後悔ずる。
「誰も悪くない!私が悪いんだ。パトナも、橘さんも……謝るのは私だけで良い!」
少しずつ何かが変わろうとしている。パトナはそう感じた。暁の中で何かが芽生え始めようとしている。そう感じ取った。
「今日は泊まっていきなよ。その身体じゃ、家に帰るのも大変でしょ?お祖母さんには私から連絡入れておくから」
言うや否や、連絡簿を机の引き出しから取り出すと階段を駆け下りて行った。
「暁ちゃん、覚えてる?茜はね、小学校時代に一度声を掛けたんだって。でも、拒絶されたから、諦めたんだって。でも、凄く勇気が居ることだって思うよ?おせっかい焼きだけど、茜は良い子だから友達になってやってください!」
パトナの横に座っている、キララは真剣に頼み込んだ。その様子に思わず自らを恥じた。
「……友達になりたくないわけじゃないんだよ。ただ、私じゃ迷惑を掛けるから……こんな後ろ向きな態度しか取れないし……」
「じゃあ、変えればいいんだよ。人間変わることが出来ないなんてことは無いよ?暁は不器用なだけ!せっかく差し伸べられた手を振り払う必要性って何処にある?」
パトナは、これが最後の忠告になるかも知れないと思っているのかもしれない。力強く暁に言葉を発した。その気持ちを汲んだのか?
「変われるかな?」
「変われるよ!」
「ありがとう、パトナ、キララちゃん……」
そんな話を終えた頃、茜が戻ってきた。
「何々?何の話?」
穏やかな空気が流れていることに気が付き、茜は微笑んで問いかけた。
「ひ・み・つ」
パトナとキララはくすくす笑って場を盛り上げた。それを、何なのよ〜と詰め寄るが、話題はそれた。でも、何だかいい方向に話が流れているようで、茜もその話にはもう触れようとはしなかったのである。