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【おまけ】夏だ海だ、水着だ!

時系列的には、6話直前となります。

エイプリルフールが終わったので、ジャンルをネタだった「ファンタジー」から「コメディ」へ変更いたしました。

 夏といえば海。

 そして何より水着だと思うんだ!!


 そんなわけで今日は、海にきちゃいました。

 魔王である幼女プリムとの戦いで、フローラ姫が俺を庇って怪我をして。

 そしてようやく回復したので、お祝いがてら遊びにきたというわけです。


「コウタさん、おまたせしました……」

 ちょっと恥ずかしそうな声がして振り返れば、そこにはルカちゃん。


 色白な彼女に、桃色の水着はよく似合っている。

 胸元にはボリュームのあるリボンで、ささやかな胸をカバー。

 スカートタイプの下は、フリルがたっぷりとあしらわれている可愛いデザインだ。

 エルフ族特有の長めの耳が、緊張したようにピクピク動いてるのがたまらない。


「ご主人どうかな似合うかな?」

 元気いっぱいなのは、コウモリで人間化したリックくん。

 まっ平らな胸元を隠すのは、あえて大胆な黒の三角型のビキニ。

 それが妙にエロいというか、いけないものを見ている気になるのはなんでだろうな?


 下はズボン型のやつなので、もっこりしているアレ部分がきにならないのもポイントが高い。

 くるりと回った後姿のリックくんのお尻は、ぷりっとしていてとても形がよかった。

 思わず弾力を確かめたくなる桃尻と、すらっとした足。


 背中越しに挑発的な視線を送られて、ちょっと理性が迷子になりかけた。

 ルカちゃんが天使なら、リックくんは小悪魔だ。

 しかしコレは男だと、呪文のように心の中で唱え、ぐっと堪える。


 ちなみにこの水着の数々は、リックくんが俺の世界から持ってきたものだ。

 神様であるエイプリルからの差し入れらしい。

 ハーレム願望を叶えてあげると世界に連れてこられて、美少女ただしこの世界基準と知った時には、本気で恨んだものだけれどいいトコもあるじゃないか。


「これでいいのかしらぁ?」

 続いてやってきたのはイヴ。

 下半身が蛇で、けしからんおっぱいをした色っぽいお姉さんだ。


 零れ落ちそうなバストを支える、水着の布。

 それでいて下にはパレオを巻いてもらった。

 普段イヴは裸なのだけれど、隠されている方が逆にエロくみえる不思議だ。

 半端に着ている方がエロいとはどういう事なんだろうな。


「おにいちゃん、プリム海初めてだよっ!」

 砂浜を走りながらキラキラと目を輝かせているのは、元魔王であり幼女のプリム。

 真っ赤なツインテールを揺らし、元気いっぱいだ。

 紺色のスクール水着には、胸元に白い布が張られていて『1-1ぷりむ』とひらがなで書かれている。


 ……エイプリル、マニアニックだな。

 そう思いはしたけれど、とてもよくプリムに似合っている。

 ナイスチョイスと心の中で賞賛を送っておく。

 しかし、エイプリル本当に神様なんだろうか。これをプリムにチョイスしてしまうあたり、ただの変態じゃないか?

 

「待たせたな」

 俺が神様って何だっけと、この世の根本に関わるかもしれない事を考えていたら。

 刑事ドラマのベテラン刑事並に渋い声がした。


 そちらを見れば、筋肉の見本みたいなゴリラが歩いてくる。

 フローラ姫が歩くだけで、そこはさながら戦場じゃないかと思えるような緊迫感が流れている気がする。

 ハリウッド映画に出てくるムキムキの俳優たちに、戦場が似合うのと同じ原理だ。


 黒光りしていて艶やかな肌。

 面積の小さすぎる布は、乳首しか隠しておらず、惜しげもなくその胸筋をさらしている。

 見事なまでに割れた腹筋は、その欠片一つ一つにぎっしり筋肉が詰まっているんだろうと思われるほどに引き締まっていた。


 股間を覆う三角の布から伸びる、逞しい足は砂地を踏みしめるたびにざっざっと音を立てる。

 大きな丸太ほどあるその足に蹴られたら、普通の人間なんて遥か彼方に吹っ飛ぶであろうことが用意に想像できた。


 獲物を狙うような鋭い眼光は、俺を確実にロックオンしていて。

「どうだ似合うか」

 彫りが深く、歴戦の勇者のような顔立ちをして、フローラ姫が尋ねてくる。

 その瞳だけが、子犬のように褒めて褒めてと訴えているとわかってしまう自分が何だか嫌だ。


「フローラ姫様、やっぱりお美しいです……」

「さすが国を跨いで聞く、美姫だけあるわねぇ」

 ルカちゃんやイヴがうっとりとフローラを見て溜息を付く。

 女である彼女達から見ても、フローラの美しさは規格外らしい。


 人間一の美姫、フローラ姫。

 ただし美しさはこの世界基準。

 どこからどう見ても二メートル級のゴリラにしか見えないのだけれど、この世界の美的感覚は俺の前世にいた世界と間逆すぎる。


「コウタ」

 期待するようにフローラが俺を見る。

 やめてくれ、そんな目で見るな。


「まぁ……いいんじゃないの」

 その俺の言葉だけで、フローラがぱぁっと顔を華やかせる。

 嬉しそうな顔を見て、何故だかこっちまでちょっと嬉しくなった自分がいた。


 くそう、この前フローラに助けられてから俺ちょっとおかしい。

 さっき水着をリックくんが出したとき、プリム以外は指定がなくて、大量に水着がそこにあった。

 その中でフローラは誰よりも真剣に水着を選んでいて。

 俺に見せるためあんなに選んで、緊張した面持ちで現れたのかなって思うと……健気に思えて、邪険にできなかった。


 これゴリラ。

 俺の好みじゃ全くない。

 むしろどこが女かわからない生き物だ。

 よし、確認オッケー。

 俺は正常、ノーマルだ。


 今日俺がここに来たのには、フローラ姫の快気祝いなんて口実に過ぎない。

 前世の俺は海で死んだ。

 溺れている女の子を助けようとしたら、ダッ○ワイフ……つまり女性の形をした浮き輪みたいなものだったのだ。

 それでびっくりして掴まっていれば浮けるのに、そのまま沈んだ。


 だってさぁ、女の子が溺れてると思ったんだよ。

 放っておけないじゃん!?

 別にあわよくば人工呼吸とか、心臓マッサージで胸触っちゃって……なんて事全く考えてもなかったよ!


 ……こほん。

 そんなわけで、今日はその前世の無念を晴らすため、海にきたというわけです。

 いやぁ今の俺、リアルが充実してる。


 横を見れば清楚系のエルフの恋人、ルカちゃん。

 色っぽい大人の魅力、イヴ。

 そして将来性を感じさせる愛らしい美幼女、プリム。

 全方位隙なしじゃね?


 リックくんも美少女っぽいけど、男だしとりあえず除外。

 でも男でもあそこまで可愛ければ……いや落ち着け俺。

 俺にそんな趣味はない!


「ご主人バレーしようよ! コート作ったからさ!」

 リックくんが手招いてくる先にはバレーコート。

 もちろん参加する。


 あまり運動が得意でないルカちゃんが、ボールをレシーブで返そうとして、後ろ側にこけてしまう。

 残念そうにしている顔がなんとも愛らしい。


「大丈夫だから、ルカちゃん俺に任せて!」

「そうはさせないわぁ!」

 そのボールを相手コートに打ち込めば、イヴがブロックしてくる。

 網の向こう側に、どっちがボールかなと思う質量がたゆんたゆんと揺れて。

 いやすばらしいね!と思っていたら、ボールが俺たちのコートに落ちそうになっていた。


 振り返れば同じチームのリックくんが、そのボールをどうにかすべりこんで拾い上げる。

「あー駄目だった」

 残念そうに砂塗れになったリックくん。

 ちょっと動きすぎたのか、ジーパン生地の隙間からお尻が見えてる。

 いいお尻……いや、これは駄目だから。

 俺、騙されない!


「次は私がレシーブを打つ番だな。受け止めろ、コウタ」

 いつの間か向こう側に、炎を背負うように暑苦しいゴリ……フローラ姫がいた。

 勝負事には燃えるタイプらしい。

 放たれたその球は、もちろん剛速球。

 咄嗟に避けたけれど、その位置には巨大なクレーターが出来ていた。


「いやいやいやいや! 危ないから! ルカちゃんとかに当たったらどうすんの!」

「ルールで、私はコウタだけを狙うようにとリック殿から言われている」

 つっこむ俺に、フローラ姫はそう言った。

 リックくんが特別ルールだよ! なんて明るく言ってるけど、これ軽く骨粉砕するよね!?


「大丈夫だよコウタ! コウタならコレくらい気持ちいい範囲でしょ?」

「いやリックくん、俺Mじゃないから!」

 ははっと笑って、リックくんは取り合ってくれない。


「プリムもえいってやりたい! いくよ、フローラ!」

 いつの間にか、ボールを拾ったプリムがそこにいて。

 ゴゴゴゴゴと砂煙が舞っている。

 プリムの金色の目の瞳孔が開き、真っ赤な髪が逆立ち、そこに魔力が渦巻いているのがわかる。


「ちょ、プリムさん!? あなた魔王なんですから、そのボールに魔力込めたらっ!」

「えいっ!」

 俺の制止も聞かずに放たれた球は、まさに魔球。

 炎を纏い、網をつききり、フローラの胸元一直線。

 それをフローラはがしりと掴み、砂場に足跡を着けながらも踏ん張りぬいて止める。


「ふっ、完全回復すればこんなもの容易い。いくぞプリム!」

「うんっ!」

 いつの間にか目の前で、人類最強VS魔族最強のキャッチボールが始まっていた。

 うっかりボール逸れちゃった! っていう勢いで、山一つ消したり、海面を割ったりするのはやめていただきたい。


 二人は放っておこうという話になり、海の方を見れば。

「助けてっ!」

 女の子が溺れていた。


 亜麻色の髪の美少女が、俺の助けを求めている。

 すぐさま飛び込んでそちらに行った。

「大丈夫ですか?」

「はい、ありがとうございます……」

 つぶらな瞳の、正統派美少女。

 その囁くようなウィスパーボイスが耳にくる。

 うっとりとしたように俺を見つめてる。


 これは俺のハーレムに是非加えたい。

 そう思った瞬間、足ににゅるりとしたものが巻きついて。

「あれ?」

 気づけば俺は逆さづりになっていた。


 目の前には高層ビルくらいあるんじゃねーのという大きなタコがいて。

 その頭上に、まるであんこうの提灯みたいに女の子の体がぶら下がっていた。

「ひっかかった! こんな美しい食べ物だなんて、私はついている!」

 目の前のタコが美ボイスで話す。


 あれ、これ……俺騙された?

 やばい食われると思ったその時、俺を締め付けている拘束が急に解かれた。

 誰かに抱き上げられて。


「無事か? コウタ」

 逞しいフローラの腕の中。

 魔王であるプリムが作りだした氷の塊の上にフローラが乗り、それを高速でここまで飛ばして。

 フローラがタコの腕を手刀で切り落とし、俺を助け出してくれたみたいだった。


「あ、ありがとう」

「当然のことをしたまでだ。コウタは私の愛しい人なのだから」

 にっと笑うフローラの白い歯。


 やばい格好いい。

 フローラなら抱かれても……いやいや、俺おかしい。

 窮地を何度も救われて、あれになってるだけだ。

 つり橋効果ってやつだな。

 色んな意味で毎日ドキドキしてるしな!


「さて、私のコウタに手を出した罪。思い知ってもらおうか」

 俺たちが乗っている氷の塊が直撃したせいで、すでにタコは気を失っている。

 その触手の一本をフローラは背負うと。


「どっせい!」

 謎の掛け声とともに、空へ放り投げる。

 フローラ自身も高く高く飛び上がり。

 手刀でタコを細切れにしてしまった。

 うわぁ、包丁いらずだね!


 この後、海辺で皆でタコを焼いて食べました。

 とても美味しかったです!

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「さぁ、俺というナスを召し上がれ!」
という短編コメディもどうぞ。この話が好きならいけるはず。健全にナスを食べる話です。
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