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【6】初夜

 フローラを国へつれて帰れる。

 指名手配中のエルフであるルカ、退治依頼の出てるイヴ、そして人類の敵である魔王を連れている俺だったけれどフローラの一声で、国に入ることができた。


「怪我が治るまで……ここにいてくれ」

 そうフローラに言われて、その願いを聞くことにする。

 俺を庇ってついた傷だったし、そもそもこのパーティに安息の地はなかなかなかった。

 フローラが完全に回復するまでの一ヶ月間、俺たちは城に滞在することになった。


「おにいちゃん!」

 残酷な魔王であるプリムは、そんなことを言って俺に抱き付いてくる。

 その首には魔力を制御する首輪をつけさせてもらった。

 プリムは人間に虐げられ、ずっとあの魔王城でひとりくらしてきたらしく、俺にべったりだった。


 慕われるのは、とてもここちいい。

 一緒にお風呂はいろうなんていわれたので、そのぷにぷにすべすべな肌を洗ってやり、眠るときには本を読んでやったりしている。


 ルカはこの城でメイドとして働きはじめた。俺のために料理が作れるようになりたいらしい。とても可愛いことを言ってくれる。

 なによりもルカはメイド服が良く似合う。

 従順な雰囲気がかきたてられるというか、魅力増しだ。


 ここの城の服は基本面積が小さいものを好む傾向がある。

 もちろん肉体美を見せ付けるためだ。

 ルカのメイド服はぎりぎりのミニスカートで、その足をニーソックスがつつんでいるのだけれど、これがまたいい。

 食い込んだ肉とニーソックスの間に指を入れたくなるのもしかたないと思う。


「コウタさん、耳かきしましょうか」

 俺をひざまくらして、ルカが優しく耳かきをしてくれる。

 癒されるひと時だ。


 イヴは森に通いつめている。

 いい獲物がそこにはいっぱいいるらしく、毎回いい笑顔で帰ってくる。

 もちろん血だらけで。わりとイヴは野性的だ。

 その森には凶暴なボスモンスターがいたようだが、文字通り絞めてやったらしい。


「コウタ疲れたならぁ、前に教えてもらった元気のでるおまじない、しちゃう?」

 色っぽくイヴが首を傾げてくる。

 頷けばおもむろにその白い双丘に俺の顔を挟む。

 ぱふぱふ。

 柔らかな弾力が頬にして、それだけで幸せになれるから不思議だ。


 この城での生活はまさに快適で、天国だった。

 そしてようやくフローラ姫の体調が治って、俺は部屋に呼び出された。

 実は俺の部屋は、ここにきてからずっとフローラ姫と一緒だった。

 怪我をしてることもあるが、俺が嫌がるならしないとフローラ姫は襲ってくることはなかった。

 ただ側にいてほしいと、いじましいことを言ってくる。


「コウタ、私にあげられる全てをお前にやる。命も含めて私はお前のものだ。だから私と結婚してくれ」

 毎日のようにお願いされていた。

 無理なものは無理。

 そう思っていたのに、屈強でプライドの高い姫が、俺に対してこんなに全てをさらけだして求めてくれているというギャップに、少々心動かされている自分がいた。


 自業自得で死に掛けた俺を、体を張って助けてくれたのだ。

 確かに見た目はゴリラだけど、そこまでされて悪い気はしない。

 健気に俺にプレゼントしてくるし、情熱的に求められている。


「お前の大切な者たちも、受け入れる。どこにも居場所がないんだろう? コウタが私と結婚すれば、居場所を作ってやれる。コウタも含めて私が守って、養ってやる」

 潔いプロポーズはやっぱり男前だ。

 ぐっと腰を抱き寄せられ、圧迫感しかやはり感じないけれども。


「お前の望むハーレムを、私なら作ってやれる。だから私を妻にしろ」

 熱っぽい視線に、きゅん……と一瞬胸が高鳴った。

 いやいやいや、間違ってる。

 これ美少女じゃないよ!?

 おっさんだから。ゴリラだから。ありえないから!


「最初会った時から、惹かれていた。私は自分に自信があったから、あんな態度しかとれなかったが、お前を好いていた。どうか私を愛してくれないか」

 えっ、何これ。

 ちょっとやめよう。

 そんな大きな体して、子犬のような目で見つめてくるな。

 普段のいかつくて、自信満々な顔とのギャップのせいで、なんか変な気分になる。


「愛している、コウタ」

 力強く握られた手に、安心感を覚えるなんておかしい。

 ここは身の危険を感じるところだ。

 なんで赤くなった俺の顔!


「言葉にしてくれなくても、その顔は拒んでないと思っていいか?」

「えっ……いや、それは」

「私と一緒のベットでも、逃げなくて嬉しかった」

「それはあれだ。怪我させたの俺だし」

 しどろもどろになっていると、ふっとフローラ姫が笑った。


 そして俺を抱きかかえると、ベットにばふっと落とす。

「お前が口にしてくれなくても、私はお前を愛している。自分からこうやって欲しいと思って尽くすことなんて今までなかったが、お前は特別だ。だから……私が奉仕しよう」

 ぺろりと舌なめずりをするフローラ姫。

 肉食獣のような瞳と、脱いだ服の下から出てくる逞しすぎる肉体。


「大丈夫だ。私はうまいからな……気持ちよくしてやる」

「えっ? えっ? いっイヤァァァ!」

 いつかを彷彿とさせる状況に俺は悲鳴をあげて。


 夜の戦い、第二回戦がベットの上で始まって。

 この日俺は……フローラ姫に完全敗北した。

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「さぁ、俺というナスを召し上がれ!」
という短編コメディもどうぞ。この話が好きならいけるはず。健全にナスを食べる話です。
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