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ブギーテイル ~異世界豚鬼英雄譚~  作者: 陽海
プロローグ
1/83

〈序〉

どうぞよろしくお願いします。m(_ _)m

「ねぇママ、また『あのおはなし』をきかせてよ~」


 それは、どこにでもある光景だった。


 空に昇った月が薄雲をまとう夜半。

 灯りの消された寝室にて。


 寝台に横たわる子どもと、それを寝かしつけようとする母との会話である。


「もう、またあのお話? いいから寝なさい。明日の朝は早いのよ」

「ね~ぇ~。おねがいぃ~。おねがいだからぁ~」

「……まったく、もう」


 服袖を掴み、頑なに離そうとしない我が子の抵抗に、母は嘆息を吐き出した。こうなったらこの子は、意地でも自分の要求を押し通そうとするだろう。であれば、さっさと折れてしまったほうが時間の節約だ。そう割り切って、母は子どもの枕元に腰を下ろす。


「少しだけですからね? ちゃんとはやく寝つきなさいよ」

「うん、わかったぁ~♪」


 母に優しく額を撫で付けられて、

 幼子は満面の笑みを浮かべる。


 頬を緩めながら、ふと母は考える。いったいあと何年、自分はこの無邪気な笑顔を見守れるのだろうか。親が思っている以上に、子どもの成長は早い。時間は有限であり、子どもが子どもでいられる時間はさらに短い。そう考えると、このひとときを無駄だと断じるのは、少しばかり短慮なのかもしれない。


「ねぇ~ママぁ~。はやくぅ~」


 寝付く様子など皆無な子どもの催促おねだりに、母も覚悟を固めた。どうせやるのなら手抜きではなく、徹してやろう。逸る子どもを宥めながら、記憶の糸を手繰ってゆく。


「えっと……前は、どこまで話したのかしらねぇ……」


 記憶を手繰る。

 記録を辿る。


 以前、子どもに語り聞かせた物語を。

 彼女もまた、かつて母にねだった昔話を。


 この世界に生きるものなら誰もが耳にする、

 とびきり奇天烈な『英雄譚ブギーテイル』を……


「……そうねぇ、むかしむかし、あるところに……」


 とはいえ世間一般の常識と、彼女の認識は異なる。


 彼女はこれを『奇天烈な英雄譚』ではなく、

 ただの『不器用な恋愛話』だと考えている。


 そう、これは臆病な彼と彼女が、


 そう、これは一途な彼女と彼が、


 出会うための、物語……


        ◇◆◇◆◇◆


 そして物語の舞台は、現在は豚鬼オークとして認識されている『彼』が、こちらの世界へと『転生』したときにまでを遡る……



 あらすじの部分でも(注)として触れましたが、

 この作品は以前に投稿していた未完結作品【天聖魔王】を下地として新たに作り直した物語です。

 そして【英雄譚】に【ブギーテイル】のルビは完全に作品内での造語なので、ツッコまないでいただけるとと有難いです(笑)。


 それではお読みいただき、ありがとうございました。

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