表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

干支達の夢

干支達の夢 その三a 【トラのバター】

掲載日:2014/11/07

干支に関するショートショートです。今回はトラ編 その1です。長さはほぼ葉書一枚分。一分間だけ時間を下さいませ。

 おめでたい寅年でございまして。虎にちなんだお話でお耳を汚し

たいと存じます。


 ある所に乳製品製造の会社がありまして、アイディア勝負の新製

品を開発する事と相成りました。


 今の不況を乗り切るには虎の尾を踏む覚悟がなければならない、

これは正論ではありますな。


 元々社長は虎嘯けば雲起こるを自分と重ねて英雄を夢見る俗物。

虎を描いて狗に類すなどとは思いもしないトラブルメーカーでもあ

ります。


 役員会でも反対する者は多うございましたが、ワンマン社長の

『虎穴に入らずんば虎子を得ず』の一言と、虎の威をかる狐、実は

次期社長の椅子を虎視眈々と狙っている専務の推し進めで、研究開

発室の室長が呼ばれました。


「ここに我が社の虎の子の隠し資金がある。これでみんながあっと

驚くものを開発してもらいたい」


 初めは尻込みしていた室長も、虎は死して皮を留めるが、俺はこ

れで名を残してやる、との想いもありまして、製品開発に着手した

のでございます。


 古今東西、ありとあらゆる虎の巻を紐解き、研究に没頭する日々

が続きます。


 専務は陰で研究を妨害しますな。これが失敗すれば社長は失脚、

との企み。

 社長は当然開発を急がせます。門前の虎 後門の狼のこの状況、

彼は遂に精神に異常をきたすまでになります。


 しかし、元々研究者というものは、変わり者が多いものです。周

りには彼の狂気が分りません。虎を野に放ちっぱなし、そんな彼が

開発した製品が遂に完成しますな。


 名前は【虎のバター】。実はただのバターです。

 しかし! どうやらあの小さな黒い少年の指導で作ったらしい。

 こんな噂が噂を呼び、商品は大ヒット!


 このまま行けば良かったのですが、虎狼より人の口畏し、突然動

物愛護団体の圧力により、商品は販売中止の憂き目にあいます。


 で、社長をはじめ、役員は全員責任を取り、頭を丸めます。

 その刈り方は、そう、トラ刈りだった、という落ちの、トラ尽く

しのお話でありました。

 お後がよろしいようで……

虎尽くし。諺も色々ですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ