現れた山賊は
ボクこと佐伯ヒロトがこの世界の神様となって降臨し、3日が経っていた。
今ボクの隣にはこの世界で初めて出逢い、そして命を救ってくれた恩人が笑顔で歩いている。
ちなみに神様と言っても全く戦力にならない。おそらく、この世界で一番弱いとされる魔物、スライムの1/5ほどの戦闘力しかないだろう。
・・・言ってて虚しくなってきた。ドラ○エ5の主人公子供時代でも互角以上に戦っていたぞ?
21歳にもなってスライムに殺されそうになり、偶然通りかかった勇者を目指す冒険者、ラウラと出逢った、という訳だ。
「ヒロト、大丈夫? 少し休憩にしようか?」
ラウラは事あるごとにボクの心配をしてくる。いや、そりゃキミに比べたら虫けらみたいなものだけど、これでも大人なんだ。
子供みたいに心配される身としては情けなさを感じる。
3日経っているが、ボクのレベルは相変わらず1のままだ。
魔物に襲われた時はラウラが一掃しているが、見学では経験値などは貯まらないのだろうか。まぁ、それは当然か。
最近、新しい機能を発見した。視界の端に浮かびかがっているステータスのウィンドウ。
それを指で触れると、能力の詳細が表示されたのだ。
例えばボクのステータス。
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名前:ヒロト
職業:神様
レベル:1
HP:14/14
力:7
守り:5
敏捷:8
運:18
魔力:20
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運と魔力が高いくらいか。運ってなんだろう。
神様に選ばれてこんな状況になってしまったことから、自分としては不運だと思っているのだが・・・。
そしてラウラのステータス。
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名前:ラウラ
職業:冒険者
レベル:6
HP240
力:150
守り:98
敏捷:194
運:55
魔力:110
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圧倒的ですね。
これはラウラが強いのか、ボクが弱すぎるのか・・・。どちらにしても凹む。
ボクがそんなことを考えていると、ラウラの足が止まる。
「ラウラ?」
「・・・ゆっくり私の後ろに移動してくださいね」
ラウラの表情は真剣だ。正面の木々を睨みつけている。
ボクは言われた通りにラウラの後ろに移動する。
「魔物・・・いえ、これは人の気配ですね。隠れてないで出てきたらどうですか?」
ラウラが正面の何者かにそう告げる。
気配、か。ボクは何もわからなかった。こういう能力ってすごいな。
時間にして数秒、ラウラがそう告げてからゆっくりと不審な男が木々の影から顔を覗かせた。
「へー、よくわかったな」
「殺気がすごかったですよ? 全員で・・・7人ですか?」
ラウラが言った通り、わらわらと不審なヤツらが出てくる。
見た感じ、山賊って感じだな。ボクは山賊の中で一番高いステータスを持っているウィンドウを見た。
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名前:山賊
HP:40
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ボクよりは強いけど、ラウラにとってはザコだろう。
山賊のウィンドウに触れてみる。
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カグチ山周辺を縄張りとし、旅人や商人を襲って金品を巻き上げている。
ヴィリオン王国第1王子を誘拐した罪人。
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・・・ん?
ボクは人物詳細のウィンドウを見返す。
ヴィリオン王国王子の誘拐?
「ラウラ、ヴィリオン王国って知ってる?」
「ヴィリオン王国? 知ってるに決まってるじゃないですか。この王国のことですから」
ラウラは正面の山賊たちの動きを警戒しながらそう答える。
あー、そういえばマップを表示した時に見かけた覚えがある。
「この国の王子って誘拐されてる?」
「え、そんなお布令は出ていませんけど・・・」
ラウラは王子誘拐について知らないらしい。それとも国が外部に漏れないように箝口令でも出しているのだろうか。
とにかく、王子さんを救出しておいた方がいいかもしれない。
「ちょっといいですか?」
ボクは山賊たちに手を上げて訊ねる。
「王子様、元気にしてます?」
「・・・なっ!?」
山賊たちはボクのその言葉に驚きを隠せず、狼狽えている。
驚いているのは傍にいるラウラも同じだったが・・・。
「ヒロト、本当に王子様が誘拐されていると?」
「多分、だけどね」
どうやって知ったのか、それを説明とややこしいことになりそうだ。
とりあえず、入門書を取り出して現在のマップを表示させる。現在は人物を表す印が9つ。
山賊の7人に、ボクとラウラだろう。もう少しマップを縮小させてみる。西の崖付近にいくつかの反応があった。人物は6人。
「この中のどれだろう・・・」
ボクは印を押す。山賊らしき男が映し出される。これは違うか。
それじゃこれかな、と別の印を選択する。牢屋らしき場所で縛られている男性が表示された。
服装も高価な感じだし、この人が王子だろうか。
「ラウラ、とりあえずこの場所に行って王子を救出しておこうか」
ボクがそう言って顔を上げると、ラウラも、山賊も驚愕の目でこちらを見ている。
しかしラウラはすぐに山賊に視線を移し、「とりあえず、あの人たちを倒します」と立ち向かっていった。
ドラ○エやりたい。
他の方の小説読んでますが、チートって爽快ですよね。
ウチのヒロトにも見習わせたい(笑)