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神様になったボクが守護する世界  作者: カミカミゴー
2/8

PT結成、冒険者と神様

時間にして3時間程、歩き続けてようやく町に到着した。

どこからみてもファンタジーの世界だ。ゲームで見たような光景が広がっている。


「えっと・・・これだけあれば足りるかな? はい、ヒロト。500Gあります。これでしばらくはここに滞在できますよ」


ラウラは財布袋からこちらの世界のお金を取り出した。


「え・・・くれるの?」


「・・・ご迷惑でしたか? 持ち合わせがあるのなら余計なお世話でしたよね・・・」


ラウラの表情が曇る。

いやいや、迷惑でも余計なお世話でもないし!

でも、なんでもかんでも彼女の世話になるのは男として気が引けるんだ。


助けてもらったお礼、何かできればいいんだけどなー。

・・・無理か。ボク程度じゃ。


ラウラはしばらくこの町に滞在するらしい。その間に何かできそうなことを探してみるか。

ラウラから受け取ったお金で宿に部屋をとる。ありがたく使わせていただきます。


質素なベッドに腰を下ろし、現状を振り返る。

あの神様を名乗る爺さん、本当に神様だとしたら、話の流れからボクはこの世界の神様となっている。

笑ってしまうくらい弱くて、信じられないところはあるが・・・。


この世界における神様の役目とは、なんなのだろうか。

不意に、「神様入門書」が目に入る。そういえば、まだ数ページしか開いていなかった。

この機会にじっくり読んでおいた方が良さそうだ。


まずは自分の能力。低くて笑える。

そしてこの世界のマップ。今はこの町の全体図が記されている。「アラハバキ」と記されている。

そのマップの中で青い丸が動いていた。なんだろう、これ。何となしにその丸に触れる。


すると別画面に、町を散策しているラウラが映し出された。


「・・・へー、こんな機能もついてるんだ。千里眼的なものかな?」


便利だなー。ん? ラウラが立ち止まった。正面には・・・温泉?

この世界には温泉もあるのかー。お金に余裕があったら行ってみようかなー・・・・・・。


いかん、嫌な予感がしてきた。あ、ちょっとラウラさん。お店の中に入らないで。

これじゃ覗きじゃないか。千里眼ってけしからん能力だな。神様って逮捕された方がいいと思いません?


あ、今はボクも神様か。


あ、やばい。脱衣室入った。ちょっと、この画面、どうやって消すの?

2度押しとか?


カシャ


『画像が保存されました』


「うぉい!」


ボクはつい叫んだ。何カメラ機能つけてるんだよ、神様!


画像撮っちゃダメだよ! 消すんだよ! って、どこに画像保存されたのさ!


スマホを思い出せ。次は長押しを試してみよう。


ピッ


『動画を撮影します』



「やめいっ!」


ボクは慌てて入門書を閉じる。そこでようやく画面が消えた。

消える前の映像は服を脱ごうとしているところだった。惜し・・・いや、危なかった。


・・・この入門書、読んでいくのがこわくなってきた。

でも、神様として入門書は読んでおかないとなぁ。いや、真面目にね。そっち方面に期待はしてないからね。



もう一度入門書を開く。

次のページはレベルアップ後に覚えれるスキルのようだ。


レベル3で透明化


レベル5で壁のすり抜け


レベル6で身につけた衣類も透明化が可能に



・・・神様スキルって方向性がおかしい。

レベル20くらいになると浮遊とか、それらしいものが出てくるけど、まずレベルを上げれるんだろうか。

最低レベルのスライムに対してもあのザマだったからなぁ。


お、レベル400で異世界跳躍っていうのがある。

これがあれば元の世界に戻れるのかな? わーい、これで希望が見えたぞーってアホか。

400って遠すぎるわ。


いろいろとイライラしてきたため、頭を使うのは一時中断。ふて寝する。

そして、元々寝付きも良かったため、ボクはすぐに眠りに落ちていった。







「やぁ、神様じゃよ」


「・・・・・・」


分かる。ここは夢の中。そして目の前には自分をあんな目に遭わせた神様がいる。


「神様、何か言うことは?」


「さっそく入門書の覗き機能を発見するとは、目ざといの」


「ワザとじゃないよ! っていうか、あんな機能つけるなよ!」


ボクは相手が神様だと分かっていても、丁寧に話なんてできそうにない。あんな目に遭わされてペコペコできるなんて、

どれだけ服従思考だ。


苦情は尽きないが、こうして夢の中に降臨してくれたおかげで探し出す手間が省けた。

まずは自分をこの世界に送り込んだ理由を訪ねた。


「そうじゃの~。まず、この世界の神様はお前じゃ。しかし、今のお前さんは何の力もない。つまり、世界を守護する力が全く機能していない状態なのじゃ」


「世界の守護?」


「そう、それこそが神の役目じゃ。それがなかったり、薄かったりすると、そこを付け狙うヤツが現れる。それが魔王や魔神と呼ばれる生物じゃ」


思い切りゲームの世界だな。つまりはボク自身が強くなって守護の力を高めるが、魔王や魔神を倒せってことか。


「理解が早いの。つまりはそういうことじゃ」


「無理に決まってるじゃん」


スライムにさえ勝てない自分が魔王や魔神を倒せるとでも?


ボクなんかじゃなくって、神様が守護すれば解決するんじゃないか?

神様にそう提案したが、「わしはもう1億近くの世界を受け持っておるから無理じゃ」とのことだった。

世界って予想以上に多いんだな。ちなみに参考に聞いた神様のレベルは9500ということだ。最大値っていくつだろう。


「そろそろ時間じゃな。ワシも担当世界に戻るとするかの」


「神様ってもっと増やしたほうがいいじゃないかな? 何でボクが選ばれたのか知らないけど」


神様の寿命がどれだけあるのか知らないが、目の前の神様は結構な高齢だ。世界の守護云々に視点を置くのなら、優れた神様を増やしたほうが効率がいい。

そう進言したが、そのことについては既に動き出しているらしく、神様候補、救世主候補などを選出している最中なのだそうだ。

今後選ばれる後輩たちよ。先に生贄にされた先達から伝えておこう。神様として選ぶのなら、スタート前にチート能力をつけてもらえ。そうでないとボクみたいにスライムに敗北することになるからな。





目を覚ます。部屋の中は既に薄暗くなっていた。

時間が元の世界とリンクしているのかは不明だが、腹時計は夕飯時を示している。

そして美味そうな匂いが鼻腔をくすぐる。宿の食事に匂いだろうか。

ボクはその匂いに誘い出されるように部屋を出た。



「あ、偶然だねー」


部屋を出たところで、恩人であるラウラと鉢合わせる。頬はほんのり赤みがかり、髪はしっとりと濡れている。

あー、そういえば温泉に行ってたんだったな。


「温泉かー、稼ぎがあればボクも行くんだけどなー」


温泉はとても魅力的だが、金銭的にラウラに援助してもらっている立場では自粛せねばならない。

宿代も返さないといけないし、本格的に何かできることを探した方がいいかもしれない。守護やらレベル上げは後回しだ・



「別に気にしなくてもいいのに」


ラウラはそう言うが、そうはいかない。年下に援助され、あまつさえそれに甘え続けるなど、ダメ人間のすることだ。

ボクのその言葉に「ヒロトって意地っ張りなんだね」と苦笑された。


夕飯を一緒に食べながら、突然ラウラがある提案を持ち出した。


「それじゃ、私と一緒に冒険しない?」


「・・・ボクが?」


「そう。私はヒロトを守る。ヒロトは・・・そうだなぁ、荷物持ちとか?」


確かにボクには戦闘に参加できるような能力はない。荷物持ちくらいならできるだろう。


「でも、それでいいのか? 見知らぬ男を引き入れるなんて、ちょっと考えたほうがいいぞ」


ラウラは女の子だ。一人旅というのは考えてみれば危険だが、見知ってから数時間しか経っていないボクを仲間に招き入れるという判断は考えさせられる。

しかしラウラは「ヒロトなら襲ってきても返り討ちですよ?」と笑った。笑顔がこわい。手を出したらデスペナルティというやつですね。わかります。


そんなこんなで、旅の間、雑用を引き受けることで恩を返してくことになった。

ラウラは新たな仲間を祝し、祝杯をあげていた。こちらの世界ではお酒は15歳で飲めるようになるらしい。お酒の味は元の世界とは少し変わっている。

なんというか、純度が濃い。アルコール度数50%くらいあるんじゃないだろうか。

美味いことは美味いんだが、すぐに酔いそうだ。・・・酔ってもラウラに手を出すんじゃないぞ、ボク。リアルに死ぬからな?






夕飯が終わった頃にはラウラはすっかり泥酔していた。

前言撤回。これは保護者が必要ですわ。ボクは保護者、ボクは保護者。よし、暗示完了。

ボクは酔っているラウラから泊まっている部屋を無理やり聞き出し、送り届けた。


よし、ベッドで横になったな。

嘔吐したときのために、回復体位という状態にしておいてやろう。体を右側に向けて、左手を顔の下に・・・と。



「・・・ヒロト?」


ラウラはボソッと呟いた。待て、体を触っているが、これはセクハラではないぞ? 嘔吐した時に窒息を防止するためにだな・・・。


「ヒロトって、変わってますよね?」


「・・・ボクが?」


「はい・・・。私が、勇者を目指してることを伝えても、笑いませんでした」


「それで笑わないのは変わってるのか?」


「故郷のみんなは・・・笑ってました」


ラウラの話を聞くと、勇者というのは男の職業だと世間では言われているそうだ。そもそも女性の冒険者すら珍しい。

女性は、どうしても男性の能力に劣ってしまう。そのため、ラウラは小さな頃から「勇者になる」と宣言してもバカにされてしまっていたらしい。

この世界の常識はそのようになってしまっているらしい。


「ばかばかしい」


ボクはそう一蹴した。女性だって、努力次第では男性の能力を超えるし、男性の中でも貧弱なヤツもいる。はい、ボクです。

それにゲームの知識だが、自分が好きだったファンタジーゲームにも女性が勇者である物語も多くあった。最近の漫画でも女性の方が強い傾向にある。


「ラウラが勇者になって、バカにしたヤツらを見返してやろうか」


ボクはクックックと悪い顔をして提案すると、ラウラが「やっぱり変なの」と笑った。そしてラウラはそのまま眠りに落ちていった。


さて、ボクも自分の部屋に戻るとしますかね。


よいしょっと立ち上がると、軽い抵抗があるのに気づいた。


ラウラが眠りながらボクの服を掴んでいたのだ。ちょっと、ラウラさん、これじゃ帰れないじゃないですか。

なんとかして手を離してもらおうと力を込めるが、彼女の手は全く開く気配がない。


あー、はい、そうですか。ボクじゃ、眠っている彼女の力にも敵いませんか。


「ん・・・ぁ・・・」


「!」


ラウラが色っぽい声を漏らす。

体をモゾモゾと動かす。あ、スカートがめくれる。ちょ、死んじゃう。逃げなきゃ死んじゃうから!


ボクはラウラの手を離そうと努力するが無駄な努力らしい。あんたは花山薫か。


「あ・・・ん・・・」


「・・・・・・・・・」


思考能力が停止した。


・・・うん、神様設定ってどう考えても中二病的なものを感じるなぁ。

これからどんな話になっていくんだろう。ボクにもわかりません(無責任)

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