STAGE EX 大激闘!? ストライクファミリーズ①
完全にネタに走っております。文章としては史上稀に見る駄作であることを覚悟の上、なりVのキャラの戦いにニマニマしながら読めたら嬉しいなって。
某日 株式会社ウチノコプロ ゲーム開発課
ジョナサンは、不敵な笑みを浮かべながら一本のゲームソフトを手にしていた。
レトロな感じを一切隠さない、差込型のカセットだ。
「ククク……俺が三徹で完成させたゲーム、早速試すか。
おーい、みんなこっちに来てクレー!」
怪しい語尾で叫んだ先には、四人の人物の姿があった。
「ん、どしたぁ?」
一人は背の低い男。
彼の名はナオ。ウチノコプロのシナリオライターだ。
「はいはいー……何ですか、それ?」
もう一人は眼鏡をかけた女。
彼女の名はジャック。ウチノコプロのイラストレーターだ。
「おっ、アレ完成したのか?」
もう一人はやたらと背の高い男。
彼の名はサンドルフィン。ウチノコプロの企画担当だ。
「はぁ……聖子ちゃんマジ天使。禿げる」
最後の一人は色黒の女。
彼女の名はマーク。ウチノコプロのゲーム開発課長だ。
ちなみにジョナサンはウチノコプロのプログラマーである。忘れてないからな?
ジョナサンの一声で集まった四人は、彼の手元に視線を集中させた。
それを待ってましたと言わんばかりに、ジョナサンは怪しい笑みを浮かべながら嬉々として差し出す。
「これが、俺の完成させたゲームだ。
説明は追々するから、まぁとにかくやってみるんDA☆」
そう言い、この中では一番偉いマークにカセットを手渡す。
少しぶ厚めのそのカセットは、明らかに最近のハードではない。ファ○コンとか、○4とか、その辺りだろう。
「ふーん……ちなみにジャンルは?」
「対戦ゲーだ。4人プレイまで可能なやつな」
「「「「よっしゃ!」」」」
見事にハモってガッツポーズを取った四人は、早速近くにあったソファにすわりテレビの電源を入れる。
「……そういえば、このゲームのハードは?」
「6○(ドヤッ」
「ふーん……また懐かしいなぁ」
サンドルフィンは嘆息しながら、テレビの下にあるラックの中からそのハードを取り出し、配線を接続する。
一度電源をつけるが、真っ暗なまま反応がない。
仕方なしと、サンドルフィンは常套手段――カセットの読み込み部分に息をふーふー吹き込むと、再度差し込んで電源をON。今度は繋がった。
そして、静かな音楽と共にオープニングムービーが流れ出す。
始めに茶色掛かった古びた本の表紙が現れ、そのページがペラペラと捲れていく。
すると、光を放った本から多数のキャラクターが飛び出してきた!
スカした格好の怪盗、女子高校生、大剣を持った少年、炎の天使、眼鏡をかけたモヤシ男エトセトラ。
「あっ、ワイズだw」
「これは……怜か」
「智さんっw」
「聖子ちゃぁぁぁぁぁん!」
各々が反応する中、ムービーは終盤へと差し掛かる。
一気にノリのいい音楽に切り替わると、そのキャラクター同士が急に戦い始める。
そんな中、背景が一気に暗くなった。全員が空を見上げると、巨大な丸いシルエット……うん、パンダw
すると急にキャラクターは頷きあい、高く跳躍。パンダのシルエットに向けて攻撃し、急に視界が真っ白になる。
最後に強烈な爆発音と共に、このゲームのタイトルであろう文字が炎を纏った金属として浮かび上がった。
『大激闘!? ストライクファミリーズ』
「「「「…………」」」」
一同沈黙。ポカンと口を開けている。
その沈黙を破ったのは、サンドルフィンだった。
「……これ、大乱闘スマ――」
「言うな! 言ったら取り返しのつかないことになりそうな気がする!」
素早く静止したナオをよそに、オープニングムービーを終えメニュー画面に入るゲーム。
メニューには『FREE BATTLE』、『TIME ATTACK』などなど、ゲームモードが並んでいた。
もう気にしたら負けだと判断した四人は、早速一番上にある『FREE BATTLE』の項目でAボタンを押す。
ちなみに、コントローラ配置は以下のとおりである。
1P……ジャック
2P……マーク
3P……サンドルフィン
4P……ナオ
つまり、ここからホストとして操作するのは強制的にジャック。異論は認めん。
画面が光ったかと思うと、すぐにキャラクター選択画面に入った。
「うわ……すごい」
「ちょ、聖子ちゃんキタコレw」
「おぉ……怜とふぅどころか、あきらと会長も使える!」
「てか、キャラ数多いな……」
それぞれの発言から分かるとおり、このゲームは途轍もなくキャラが多い。
ウチノコプロで扱うキャラクターの大半が、このゲームの使用可能キャラとなっているのだ。
さらに、その周囲には謎のシルエットが浮かんでいる、選択不可能の空間が存在する。
つまり、使用可能キャラは更に増えるということだ。
「……地の文よ、勝手に説明されると俺の立場ってモンが」
ゴメンゴメン。じゃあ続きよろしく。
「はぁ……まぁ、そういうことだ。
ちなみにゲームの仕様だが、簡単に説明すると次の通りな」
①上下左右に移動可能な二次元ステージでのバトルゲーム。
②アクションはスティックとボタンの組み合わせによる攻撃や防御、移動。
③相手にダメージを蓄積させて、場外へと吹っ飛ばせばライフを減らせる。最後まで生き残った人が勝ち。
「って、まんまじゃないですかw」
思わず突っ込んでしまったジャックに、ジョナサンは素知らぬ顔で口笛を吹く。
「まんま? ハテ何のことやら……。
それとついでに、設定でアイテムとかギミックの有無も変更できるから」
それだけ言うと、ジョナサンも隣に空いているソファへと腰掛け、ギャラリーとして参戦する。
そのタイミングを見計らい、それぞれがキャラクターを選び始める。
「やっぱ使うならうちの子かな……ワイズで!」
「うーん……あきらとか面白そう」
「んじゃ、俺もうちの子のsy「私が聖子ちゃんだ! 譲らん!」
……じゃあ、智さんでいいや」
全員が素早く決めると、ジャックの操作により画面が進む。
今度はステージ選択。こちらはキャラほどではないにせよ、結構な量のステージがあった。
ちなみに初期で選択可能なのはたったの五つで、他は現時点で選択不可能なステージだ。
『鈴峰高校:屋上』
『グレイクローズシティ』
『智の家』
『アルテミシア:山小屋周辺』
『幻界:シェイディア』
「うーん……どうします?」
「とりあえず各作品の地域がステージなのねぇ」
「俺は……ジャッ君に任せますw」
「同じくw」
ジャックの質問を『任せる』の三文字で片付けたサンドルフィンとナオ。優柔不断はコレだから困る。
しばらく悩んだ末に、ジャックは『智の家』を選択した。して、その意図は?
「うーん……難易度低そうw」そうですか。
そんなこんなでステージを決めると、最後に細かなルール設定。
みんなで相談した結果、ルールは以下の通りになった。
アイテム:あり
ギミック:ON
制限時間:∞
うん、いわゆる『ありあり』って奴ですね。
ちなみにアイテムはフィールドに出現するアイテムの有無。
ギミックはステージごとに発生するお邪魔や補助のイベントの有無。
制限時間は……説明する必要もあるまい。
「それじゃ、始めますよ?」
「絶対負けん! 聖子ちゃんファンの名に掛けて!」
「あきら……勝てるかな?」
「智さんとか……勝てる気がしないw」
ジャックの掛け声とともに、画面が一度白くなる。
数秒後、白い画面が晴れるとそこには荷物やフィギュアでごった返した、智の部屋が映し出された。
ただしそこは途轍もなく広く、空中には三段ほど不自然な足場もある。
それどころか、端っこで地面が切れていて、それより先の空間は場外となっていた。
そして、画面下にはキャラクターごとのアイコンが三つと、三桁のパーセンテージ。
アイコンは残機であり、パーセンテージはダメージの蓄積値である。念のため。
「ちなみに操作方法は本家と変わらないが……説明しとくか?」
ジョナサンの言葉に、笑いをこらえながら全員が首を横に振る。本家なんて言っちゃいけません。
そうしているうちに、キャラクターが続々と登場してくる。
まずはジャック操作のワイズ。頭上から落ちてきて華麗に着地。
次にマーク操作のセイン。なんといきなり熾天使状態で空から舞い降りてきた。
次いでサンドルフィン操作のあきら。横から飛んでくると地面で回転しながら受身、立ち上がって構える。
最後にナオ操作の智。地面から生えてきたピンクの土管よりにょきっと現れる。
「「「「ぶっ!w」」」」
一同智の登場に爆笑。そんなことには関係なく、試合の開始を告げるゴングが鳴った。