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始業式
くぁ、と欠伸をひとつして、白髪の校長の言葉を話半分以下の三分の一くらいで聞く。
体育館に移動するまでは、女子を適当にからかってみたりしてと案外普通だったが、始業式が始まった途端に眠くなった。学校七不思議、じゃないけど、ふざけて思ってみたりした。
と、急に周りがざわめき始めた。何だ? 長ったらしい話が普通より早く終わったからか?
「転校生を紹介します」
あ、これか。俺は自分の耳に入ってきた言葉に納得し、少しふせていた顔を上げる。
ひとりの女子が前に出てきた。周りの音は「んだよ、女子かよ」とか、「あの子可愛い」とか、極々普通の会話、または独り言。
「み、見吉早苗です、よろしくお願いします」
そして拍手が起こる。
ミヨシ、か……、大嫌いなあいつと同じ苗字。俺はあいつが嫌いだが、あいつは今礼をして戻って行った見吉に少し、いらつきを覚えているだろうということは分かる。
どうやら、嫌な関係になりそうだ。