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第3話 どうすりゃいいんだ?やるしかねえんだ!

夜、事務所で一人、学は途方に暮れていた。


「何もしないことです」


相良にそう言われたが、社長としてそんなわけにはいかない。

しかし、何をどうすればいいのかわからない。


「どうすりゃいいんだ…」


空になったコーヒーカップを見ながらそう考えていると、ゆっくりと事務所のドアが開いた。


「しけた顔ね。もう降参かしら?」


声の主は玲子だった。


「!?市之瀬…『会長』」


「相良に何か言われただけでもう逃げ出すの?」


「なぜ、それを?」


「あら、図星だった?」


「…」


「あなた、まだ自分の置かれた状況がわかっていないみたいね。

 就職で失敗してからずっと逃げ続けて毎日ダラダラ過ごして気づいたらもう三十目前。

 頼りの両親ももういない。戻れるところなんてないのよ」


玲子の鋭い指摘は学の心にグサグサと突き刺さった。反論の余地などあるわけがなかった。

相良の言葉を気にしていたのも、最初に就職した会社で学の心をへし折った”エリート”達に

どこか通じるものがあったからであろう。


「でも、チャンスはあるわ。それは、あなたがこの会社の『社長』だということ」


「わかっています」


「わかっているならグダグダと考えている暇なんてないはずよ」


「…?」


「どうせ何も思いつかないんでしょ?」


「思いつかないから困っているんです」


「思いつかないから動くの!そして自分のできることをやるのよ」


「俺にできること?」


「それは、自分で見つけることね」


そして玲子は去っていった。


「もう進むしかないんだ…」


学が社長としての『覚悟』を決めた瞬間だった。



翌日から学は動いた。まず、朝早くから工場を見て回った。


工具の配置を変える。

動線を少し短くする。


正直、大したことでない。しかし、それは確実に結果が出ていた。


「あれ、工具の並び方変わったら使いやすくねえか?」

「今まで移動が大変だったけど、動く距離が短くなったから作業が捗るな」

「これって、もしかして社長がやったのか…?」


社員たちの学を見る目は徐々に変わっていった。

それは職長の濱岡のみならず、相良も感じていた。


そして―


「相良さん、明日から俺も営業に同行させてください!」


学からの申し出に相良は驚いた。


「ですから、何もしないでくださいとお伝えしましたよね?」


「ここは…俺が社長です!」


「…?」


「俺にはもうこの会社しかないんだ。人生掛けてやるって決めたんだよ」


学の気迫に押される相良。


「工場の中は整いつつある。あとは仕事増やすことだろ?

会社のピンチにこそ社長が動くべきでしょう?」


「確かにそうですが…。わかりました。明日から同行をお願いします。」

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