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無彩色な世界 ~記憶喪失な転生者がおくる人生という旅~  作者: 空乃
アリア魔剣学園 〜初等部〜 編
4/12

アリア魔剣学園

その後ロットにアリア魔剣学園に入学することを伝えると自分も行くと聞かず、元々バーミリオン家は代々別の魔術学校へ通っていたのだがロットが駄々をこねまくって特別に今回ロットもアリア魔剣学園に入学することが決まった。

俺は魔術科。ロットは剣術科。

ロットは魔術科に行きたいと言ったがロットは魔術がまだそれほど使えないし、剣術科に行きたそうだったのでその気持ちを優先させた。


「ど、どうでしょう…父さん、母さん」

「まぁ」

「へっ…馬子にも衣装だな。明日はちゃんと起きるんだぞ」

「はい、父さん、母さん、おやすみなさい」


ブカブカの学園の制服を着て少しテンションが上がる。

もう僕もロットも6歳。

明日はついにアリア魔剣学園の入学式。


○○○


「アルー!」


時間になると迎えの馬車が来るらしく、外に出て待っているとロットがこっちに走って向かってきていた。

馬子にも衣装、だな。

制服のデザインは一緒だが色が違う。俺のは青でロットのが赤。

おそらく科によって違うのだろう。


「おはよう、ロット」

「え、えぇ…おはよ…」

「?」


なんだろう。顔を赤らめてもじもじしている。かわいいな。


「ロット」

「な、なにかしら…」

「かわいいよ」

「そこは似合ってるでいいのよ!」

「ヘブシッ!」


すかさず拳が飛んでくる。


なんで殴られたの俺…


○○○


「ハンカチは?」

「あります」

「教材は?」

「持ちました」

「やる気!」

「十分に」

「よし、行ってこい!」


学園はシーマン王国にあり、寮暮らし。なのでこれからはそう簡単には帰って来れないだろう。

12年…長いな。

この二人は歳は若いなりに親として一生懸命俺をここまで育ててくれた。

本当に感謝している。


「今までありがとうございました。」

「よせやい、ガキがそんな気遣いすんなよ」

「そうよ、母さんたちはあなたを産みたくて産んだの。気にすることはないわ。」


俺を産んだ時二人はまだ20歳。今もまだ20代。

うっすらだがたぶん前世の俺よか若い。

ここまでの6年間、親っぽいところ。若気からくる子供っぽいところ。たくさん見てきた。その上で尊敬している。

この二人は本当に立派だ。

本当に俺の親だ。


「では、迎えが来たみたいなので」

「あぁ!」


二人が笑って見送ってくれている。だから俺も笑う。

テルズが拳から汗を滲ませ我慢していること、ティラ―ルが後ろで組む手が地味に震えていることに気づいていても。


二人の為にも進む。


「アル!忘れもんだ!」

「忘れ物…ですか?」

「「いってらっしゃい!アル!」」


強く背中を押された気がした。

それは大きくて暖かい二人の手。


「ええ、いってきます!」


○○○


「さ、着いたから順々に降りて行ってもらうよ!」


案内人の指示にみんな席を立っていく。

てことは目の前にあるどでかい建物が学園か。


「アル!早く行くわよ!」

「ロット、落ち着い…」

「もう、うるさいわね!」


ロットに手を引っ張られ馬車を下りる。

あたりはすごい人。まぁそれは入学式だからだけど。

似たようなだぼだぼした制服を着る子供たちばかり。


「やぁ、そこの君」


ん、誰かに呼ばれ声のするほうを向くと三人の同い年くらいの男の子たちがいた。

みんな制服の色は赤。剣術科か。


「なにか?」

「お前じゃない。そっちの君だ」


イラッ。


と落ち着け。

で君と呼ばれているのは俺じゃなくてロットだった。


「なによ」


さっそく不機嫌になるロット。

科が違うからいつも一緒にはいれない。なのでトラブルとか大丈夫だろうか。心配だ。

ロットはあの件からいろいろ吹っ切れたようで強気になるところがある。いいことなんだがたまに裏目に出てしまう。


「今日から同じ科だ。よろしくな。」

「フン」

「さ、僕たちと一緒に剣術科の教室へ行こう」

「断るわ。」

「分からないな~そこのは杖持ちだろ?なんでそんなのと?男で魔術師とかへなちょこしかいないよ?」


杖。魔術科のことか。別の科ってだけでこんな思想をしたやつもいるのか。

しかしロットが断ったのは正直スカッとした。


「関係ないわ。アルはあんたなんかよりすごいもの」

「説明になってないな、僕がきみのナイトになってあげると言ってるんだよ?」

「わたしはアルがいいの。あんたなんていらないわ。」

「強情ですね」


サイドの二人が剣を抜く。

おいおい、6歳の子供がそう簡単に抜くもんじゃない。一応真剣だよそれ。

かかってくるのはロットも気づいている。返り討ちにする為構えをとり始めたので肩に手を置き落ち着かせる。


「ロット、強さとは弱き者を守るため。ここで汚すものじゃないよ」

「なんだと!」

「なめるなよ!」


シンプルな突っ込み。戦い慣れてない素人の構えだ。

腰にも足にも力が全く入ってない。

剣術が全くなってないね。

こんなものちょっと風で足をすくい取ってしまえば。


「うわっ!」

「なにっ!!」


簡単に倒せる。


「さぁ、ロット教室まで送ろう。」

「えぇ行きましょう」


ロットも倒れる彼らを見てすっきりしたのだろう。笑顔で歩き出す。


○○○


「へぇ…今の見た?」

「あぁ並みの調整じゃできない技だ。ぼくら()()()1年にもできるのはそうそういないだろう。」

「楽しみだな。はやく彼と手合わせしてみたいな~」

「安心しろ、おそらくそう遠くない未来ぼくらは戦う。」


アリア魔剣学園 魔術科 中等部1年 ツヴィ・アンデレ。リング・アンデレと戦うのはまだ少し先の話。

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