気付かなかった想い
「この国を出て行こうと思います」
俺は静かにロットにそう告げた。
ロットはぽかんとした。
「は。出ていくって……あ、そういうことね!おじさん、おばさんの元に一時的に帰るってことね!」
ロットは言う。
まるで自分に言い聞かせるかのように。
そしてそれは当然違う。
「いいえ、違います。旅をするんです。」
沈黙が流れる。
「た、旅?何のためによ…」
「知るためです。自分のこと。世界のこと。」
「意味がわからないわ…」
ロットは難しそうに俯く。
「そう、ですよね。僕も分かりません。だから行くんです」
「わたしも一緒に…」
オドオドとロットはそんなことを呟いた。
「それはだめです。ロットは連れて行けない。」
連れて行けるわけない。
「なんでよ!」
ロットは髪が逆立つほどに怒り俺を睨む。
「ロット…君には未来があります。でもそれをまだ見つけられてない。いいですか、これは僕の未来なんです」
これは俺の旅。
何年かかるか分からないし、それにすごく危険だろう。何が起こるかわからない世界に踏み込もうとしている。
そこに連れて行けるわけがなかった。
「怪我は…大したことないのですぐに動けるようになりますね。それ次第、この国を僕は経ちます。」
「学園は…どうするのよ!」
「どのくらいかかるかわかりません。自主退学をして行こうと…」
ロットに胸元をグッと掴まれる。
一発くらい殴られるのはもちろん覚悟の上だ。
「なんでそんなに…遠くへ行くのよ!アルを考える…わたしの気持ちを無視しないでよ!」
「ロット…」
でもロットから拳が飛んでくふことはなく俺の被るシーツにぽたぽたと涙がたれていった。
「決闘よ…」
ぽつり。ロットがそう言った。
「…え?」
俺は当然聞き返す。聞き間違いを信じて。
「わたしと決闘をしなさい!わたしが勝ったら学園に残って!約束して!」
どうやら幻聴ではなかったらしい。
〇〇〇
俺はその濡れたシーツを見ていた。
「そうだよな…おれ。自分のことばっかで。ロットのこと全く考えてなかった。」
頭が回らなかった。
ただ俺は確かめようと必死で、全く周りが見えてなかった。
あの後言い放たれた俺は我に返り、言葉を失った。
そしてロットはそのままかけて出ていってしまった。
「もっと俺はロットのことを考えてあげるべきだったんだ…それに決闘って…」
「そうだね。そしてできればあたしらのこともね」
独り言をポツリと言うと入口から声が帰ってきた。
「誰…!ですか!」
俺はドアから声がして身構える。
「そう構えるな。ぼくたちだ」
「やほー」
「…あぁツヴィ先輩、リング先輩」
部屋に入ってきたのはツヴィとリングだった。




