表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

気が付いたら異世界でした



「はぁー、死にたい……」



 そう口に出してみるも、そんな勇気や度胸は無い。



 死ぬことが出来れば全てが終わる。

 こんなクソみたいな世の中から解放されるというのに、心の中では死にたいとは思っていても実行しようとさえ思わない。



 きっと実際に死のうなんて思って無くて、厳しい現実から逃避するために言ってるんだと思う。



 そもそも言葉の意味は分かるけど、僕は死という物が何なのかもあまり分かっていない。

 よく有名人の訃報や交通事故で亡くなった人のニュースを報道しているのは見る事があるけど、身近な人の死を体感した事が無い事も原因かも知れない。



 きっとこんな事を考えているのはメンタルがもの凄くマイナスに寄っているからだろう。



 僕に対してリスペクトの無い嫌な上司に行きたくない職場。

 面と向かって意見を言うのが苦手で、文句を言えないから会社に良いように使われる自分自身。



 休日を気が付いたら勝手に出勤にされてるとか、さっきと言っている事が矛盾してるとか色々と言いたい。

 でも結局のところ意見をガツガツ言う自分には今の所なれないし、怒りや不満、不安なんかでストレスが溜まるだけ。

 


 親に「社会なんてそんなもんだ」と言われても納得出来ないし、理不尽なもんは理不尽だと思う。

 世間に考え方が甘いと言われても、嫌なものは嫌だ。

 そんな駄々をこねたくなる。



 そんな僕にある至福な時間は、スーパーでの爆買い、良い景色を見ながらの散歩にお昼寝だ。



 最近は生ハムと塩味のポテトチップスに刺身を食べるのが好きで、その時の気分に合わせてプラスアルファでアイスやケーキ、パンやおにぎり何かを買っている。



 こんな生活をしているのは良くないなと思いながらも、ささやかなご褒美が無いとやってられない。



 どうせ死んだ方がマシな人生なら食事ぐらい好きにしたいと思う気持ちもある。



 そんな日常を繰り返す中でつい「こんな生活をいつまで送ればいいのか」なんて考えたら軽い絶望を覚えて死にたいと口にしてしまった。



 正直なところ、こんな生活は1年とは言わずに今すぐ辞めたいし、一か月この生活が続くと考えただけでも心が痛い。



 それで手に入る給料は大した額では無い。



 自由を得るには力が必要だ。

 現代社会で言えばお金のパワーは大きいし、自由の一部はお金で実現されると思う。



 だから少しでも自由になる為に働く。

 けど、自由を手に入れる為にストレスを抱えて不自由になっていては本末転倒だと思う。



 しかし、そうは言っても生活費を稼ぐ為には働かなくては行けない。

 本当にままならない世の中だ。



「はぁー、アニメや漫画見たいに誰かが僕を救ってくれないかな?」



 僕も異世界でチート主人公になって素敵な仲間に巡り合いたい。



 そんな妄想をしながら布団に包まる。働き出してからはストレスのせいか眠りに着くのが遅くなった。



 イヤホンをしてYouTubeでasmrなんかの動画を聴きながら目を瞑る。

 偶に仕事での事を思い出して、怒りや不安を感じて暗い気持ちになりつつも、目を閉じて2時間が経過した頃には眠りについた。












・・・









「ん〜」



 太陽の光で目覚めた僕は腕を伸ばして伸びをする。

 まだ意識が完全に覚醒していないからか、自分の声がとても可愛いく聞こえる。



 何だか布団じゃなくて地面に座っているような感覚だ。

 それに目の前に湖が見えているのは、まだ僕が寝ぼけているからだろう。

 でも、それだけでは無く気持ちのいい風や自然の良い匂いを感じる。



 …あれ?



 さすがにおかしくない?



 異常事態に気付いた僕は立ち上がり周りを見渡す。

 


「え? 何これ?」



 部屋で寝ていたはずなのに、何故だか森の中に来てしまったようだ。





 いや、本当にどうしてこうなったの!?



 しかも今まで見えてたはずの地面が、大きい2つの物体に阻まれて見えないし、下半身からは今まであったブツが無くなっている気がする。



 もう、色んな事が起こりすぎて訳が分からない。



 それから10分ぐらいで何とか落ち着く事が出来た。



 そして出た決断は異世界に飛ばされて性別も変わってしまったということだ。



 いや、どういう事??



 というか、こんな森の中に転移させられて生きていけるんだろうか?

 そんな不安もあるけど、現実では地獄みたいな生活を送らないといけない事を考えると、少しだけワクワクするし解放されたような気分にもなる。



 もしかしたら物語の主人公のようにチート能力とかを持っているかも知れない。



「ステータスオープン!」



 ……



 イメージしろ!

 炎の球をあそこの木にぶつけるんだ!



「ファイヤーボール!」



 うん、我ながら本当に可愛い声してるな。



 どうやら現状では魔法も飛ばせないし、ステータスも見れないらしい。





 まぁ、一度死んで生まれ変わったと思えば前向きに考えられるかな。

 取り敢えず湖があるし、新しい自分の容姿でも確認しますか。










 ……いや、何か凄く可愛い。



 芸能人顔負けというか、少なくとも僕の人生で見たことのある誰よりも可愛い。



 身長は155cmぐらいで胸は足元が見えなくなるぐらいには大きい。

 綺麗なロングの金髪に宝石のような赤く綺麗な瞳と大きな目。

 割合で言えば可愛い7、綺麗3ぐらいの凄く整った顔立ち。

 


 うん、我ながら美人だ。

 性別が変わった事に対する驚きは色々とあるけど、美少女に生まれ変わったのは嬉しいかも知れない。



 そんな感じで新しい自分に見惚れていたのがダメだったのかも知れない



「ガルゥゥゥゥ!」



 後ろを振り向けば巨大なイノシシみたいなモンスターが僕をロックオンしていた。

 




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ