表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

きっかけ

「喧嘩って、2人とも昨日まで仲良くしてたじゃん」

 クラスメイトの一人がひどく困惑していた。それは私もだった。


 記憶に齟齬がある。


 確かに彼女とは親友で、クラスメイトにも仲が良いね、と茶化されているほどであった。けれど私たちは不仲になった──出来事があったはず。

 それは数人のクラスメイトが目撃していたし、その後の私を気遣ってくれたりした。なのに、仲良くしていた?


 その言葉を放った子は確実に渦中の光景を目にしていたのに。


「えー? 寝ぼけてるんじゃないの?」

 恋春(こはる)がわざとらしい仕草ではぐらかしてくる。周りもホッとしたかのようで、何事も無かったようにまた談笑し始めた。


「寝ぼけてない。私は……」

「その話、後でしようよ。すんごい顔してるし、周りにも良くないし」

「な、何よそれ!」



 脳裏に恋春を殴って、階段から突き落とした情景が浮かぶ。転がり落ち、ダラリと肢体が放り出され目が虚ろに宙を見ていた。

 それは──学校の階段での事。


(また、できるかもしれない)


「……。わかった。後で話そう、4階の階段で」

「良いよ」






 恋春は私を唯一救ってくれたクラスメイトで、親友で……そして裏切り者だった。私を救ってくれる存在から転落したのだ。

 だから手をかけて殺めた。

 呆気ないほど人の体と友情は──脆かった。


 でも転落した記憶が曖昧になりかけている。





 屋上の手前、4階の階段。二人で静かに対峙し、私はポケットに重たい文庫本を忍ばせた。それで殴ってしまい、恋春はバランスを崩し落ちていった。



 きっかけは口論で、彼女が吐いた言葉だった。

「私と絶交して」


「な、なんでよ。いきなり、昼間から……わたし、何か酷いことした? 意味わかんないんだけど」

「前からウザいと思ってたんだよね。金魚のフンみたいについてきてさー。友だちって名目であやかり過ぎ、気色悪い」


 心拍数が上がり、体がフラついた気がした。そこからは……さっきの通り。

久しぶりに更新しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ