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生き返る恋春
それすら不快で息を弾ませながら思考を無にする。何も考えない──思考停止は得意だったから。
さまよい歩いた日々がまるで嘘のように学校は生徒で賑わっていた。校門で佇む薄汚れたわたしを訝しみ、あるいは嫌悪の視線で通り過ぎていく。
恋春。
いるのね。
ずかずかと教室に向かい、クラスメイトを隅々まで一瞥する。独り。席でぼんやりしている少女がいる。
恋春。
つり目気味の双眸が不意にこちらを見る。無感情。それがぴったりな瞳の色に私が映っているかも分からない。
クラスメイトたちの他愛のない会話を縫うように、彼女の席まで来る。
「生きてるのね。何事も無かったみたいに」
「……は?」
眉をひそめ、何を言っているんだと不審そうに唇を動かした。
「へえ。なかったことになるなんて、どこまでも都合がいいじゃない」
「いや、何言ってんのよ」
「忘れたつもり?!私にした事も?!」
「ちょっと、どうしたの??喧嘩?」
クラスルームの委員長である栄永 香代が慌てて止めに入ってきた。いつも規範的であるために余計なお世話を焼いてくる。
「喧嘩、みたいなのだから大丈夫」
「えっ」
その言葉を聞いた恋春が目を丸くした。本当に覚えていないのだろうか?
うおお!




