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亜人解放団ノヤリス  作者: 荒神哀鬼
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ロッセル区

コル達がノイミュから帰って来て数日。

一息ついた頃にバハメロは渡月の4人を呼び出した。

「──と、言うことで。イーリスに頼まれてな。皆にはロッセル区の視察をしてきて欲しいのである」


ミスタル城下町の一角に、保護された亜人が住み始めてから、少なくない月日が立った。

ロッセル区とは保護された亜人に与えられた居住区域で、一部の国民からは『亜人通り』と呼ばれているとか。

「ロッセル区自体は誰でも出入りできるし、国の関係者も支給等で定期的に少しばかりの交流があると聞いている。しかし今回は国の者から見えない日常や亜人以外との交流という面も見てきてほしいとの事である」

「それならうちが適任ね。わかったわ」

エミイが3人にアイコンタクトで確認を取り、任務を受諾する。

「うむ、良い結果を期待している!……とはいえまあ、なんだ。四人にはノイミュの亜人狩り掃討でもかなり動き回って貰ったからな。この任務はそう危険もあるまい。少しくらいは気を緩めて任務に当たってくれると、吾輩は嬉しい」

渡月はその気遣いと数枚の書類を受け取り、準備を始めるのであった。



翌日の朝。

4人は軽い朝食を取ってからロッセル区に向かう。

ロッサ号を出て、城の中庭を抜け、裏口から城下町にでて少しばかり歩く。

区画ごとの境界線のようなものは本来得に定められていないのだが、ロッセル区の場合は川にかかる橋を越えた先であるというのが民の間での認識らしい。


「石造りの橋。ここは大丈夫そうだ。壊れる気配もない……ラニ、壊したい訳じゃないから拳を振り上げないでね」

「ししっ、冗談だ。」

気を緩めてとは言われたものの、コルとラニは視察として住民の危険性がないかを念入りに確認する。

「……はぁ、コル。調査はいいけど目立たないでよ?」

橋を越え、ロッセル区に足を踏み入れたコル達を迎える住民はいない。

歓迎されていないのではなく、物理的に誰もいないのある。

「誰もいねーじゃん」

「まあ、入り口付近はこんなものでしょうね。奥に行くと建物が増えて道が入り組むはずだから……そうね、調査目標が2種類あるのだから今のうちに二手に別れましょう。……ああはいはい、ラニはコルとね。言われなくてもわかるわ。それじゃ説明することはないわね。解散、何かあったら鈴で呼びなさい」

エミイは何処か遠くを見つめているオリセを引っ張りながら歩き出す。

二人が西側に向かったので、コルとラニは東側に向かった。


その時、屋根の上で三人組の亜人の影が動いた。

「……行ったか?」

「ああ、あの大男、急にこっち見るもんだからバレたかと思ったぜ!」

「しかし朝っぱらから誰が来たかと思ったら……純人もいた。ありゃお国の奴らか?」

「……わかった、アレだろ、解放団ってやつだ!」

「げ、マジかよ。俺アイツら嫌いだぜ。結果的に恩はあるんだろうけど今ここに来たってなるとよー」

「ああ、ちょっと邪魔だな。野郎共にはなんて伝えるよ?『知らんぷり』か、『おもてなし』か?」

「……たった4人、しかも別れたぜ?大勢で『おもてなし』すれば解放団も分かってくれそうじゃね?」

「お前頭いいな、それで行こう!」

三人組はコル達のように解散し、一人はコルとラニを、一人はエミイとオリセを追い、そしてもう一人は亜人通りの中心の方へと向かっていった。

その動きは機敏で、足音もほとんど無かった。




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