怖いですホームズさん
朝、使って4年以上するベッドの上で目を覚ます。
小学校の頃に作った自家製の時計が7時を指している。
2時間もずれた時計を片目においしそうな朝食の香りに誘われるようにリビングへ向かう。
ドアの隙間からコーヒーの香りとパンのにおいが漂ってくる。
食卓の上には、バターを塗った焼き立てのパン。淹れたてのコーヒー。出来上がったばかりの目玉焼き。
―すさまじく完璧。
僕に起きてくる時間を把握しきっている、、、まさに神業。
キッチンからエプロンを着た涼宮さんが出てくる。
身だしなみが美しく、そこの空間だけが別物のように感じられる立ち振る舞い、同じ人間とは思えない。
東京都内にある名門大学の1年生。それが、涼宮京子だ。
「おぉ、おはよう匠海くん」
挨拶する涼宮さんから目をそらし、僕は椅子に座った。
涼宮さんはさも平然と僕の前に座り朝食を取り始める。
僕も手を合わせ、小さく「いただきます」。まずコーヒーに手を付ける。
う、うまい、、、。
そのあとパンをかじり、目玉焼きを食べる。
大満足の朝食だ。何もかも完璧。いうことなし―朝食だけは、、。
―さてと、
ちゃっかり完食をしてから、涼宮さんのほうを向く。
「ん…?どうしたのだ匠海くん?」
首を傾げ、唇をすぼめる涼宮さん
非常にかわいい仕草ではあるんだけど、、。僕は覚悟を決めた。
「…涼宮さん。どうやって家に入ってきたんですか…?」