視線の先
今日もコッソリ君を見つめてみる
僕の視線の先にはいつも君がいる
でも、僕と君の目が合う事はほとんどない
だって…君がいつも見つめているのはアイツ
わかってる
きっとこの想いは伝わらない
少しでも君に僕を知って欲しくてアイツの前をわざと通ってみる
こんな事、無駄なのかな?
きっと君にとっての僕はただの背景
なんでこんなに苦しいのに諦められないんだろう?
あの日…
放課後、突然降り出した雨に困っていた僕
君が隣に立ってボソッと言った。
「はい。かしたげる。」
差し出してくれた折り畳み傘
「…え?君は?」
えへへっと笑って手を振り、駆け出したその後ろ姿が忘れられない
次の日、勇気を振り絞って傘を返した
「貸してくれてありがと…。」
「どういたしまして。すぐ返してくれてありがとね。」
またえへへっと笑った柔らかい笑顔から目が離せなかった
誰かに自分の物を貸すのって、多少なりとも相手に信頼がなくちゃ出来ないと思う
ただの思い上がりかもしれない
でも、君に傘を貸しても大丈夫だと信じるに値すると思ってもらえたんだ…と思った
でもやっぱり…君にとって僕はただのクラスメイト
その他大勢の一人
いつか…いつか君の視線の先に僕がいる日が来ればいいなと思う
そう願って今日も僕はアイツの前を通る
お願いだ…僕に、僕の気持ちに気づいて。