異世界から召喚した聖女様(笑)
よろしくお願いします。
この世界は異世界から聖女を召喚して他国を牽制し合っている。
我がアルカナ王国も。
聖女には様々な能力があるが、主に癒やしの力を持っている事が多いと文献や神官達の口伝にある。稀に無能者や攻撃魔法特化な聖女もいたようです。
……稀に、だと聞いたのに!
「なぁ、俺って、特務神官だよな?」
「ええ、そうですよ。聖女様(笑)」
「……ハァ」
国王の命により召喚の儀式をしたら、三十五歳のおっさんが現れた。黒髪のくたびれたおっさんだった。
王命なのに失敗した。
この命、諦めるしか無い。儚い二十年の人生だったなー。と思っていたら、このおっさん、まさかの聖女の癒やしの能力を持っていました。
このおっさんのおかげで他国の牽制に成功し、戦争は終結。
怪我人や病人も聖女の力で癒やしてくれました。
国民は親愛を込めて『聖女様(笑)』と呼んでいます。
あ、本人が不服そうなのは全国民が無視です。
「なー、何か別の名前無いわけ? そもそも女じゃねぇし。特務神官も定着しねぇしさぁ」
「そうは言われましても。聖女様(笑)は聖女様(笑)なので。称号ですよ」
「称号に(笑)を付けんなや」
聖女様(笑)は口が悪い。
まぁ、そもそもおっさんなのでそこは求めたらいけないだろうと誰も注意しませんが。
あと、私が召喚ミスしたみたいに陰で言われていますが、聖女召喚の日時と座標を書いた預言者の婆さんの字がミミズがのたくったような字で解読不能に近かったんですっ。私、悪くないし!
「いや、ちゃんと確認しろや。お前のおっちょこちょいだっつーの。ばーか」
「……私はっ! 可愛くてボインな聖女様を願ったというのにっ! 何を勝手に召喚されてるんですか!」
「えぇぇっ。急に逆ギレ!? そして胸派!? 聖職者としてどうなの!?」
「胸派ですよ! ふわふわに癒やされたいんですよ! おっさんの硬い胸とか求めて無いんですよ! 何で聖女様(笑)と私がデキているとかの噂が立つんですか! 私は女性が好きなんです!」
「あー、うん。何かごめんなー。取り敢えず飲もう! なっ?」
聖女様(笑)に肩を抱かれ、慰められながら飲み屋に入りました。
「聖女様(笑)、神官様、こんばんは! 今日も仲良しですねっ!」
飲み屋の女性店員に席に案内されました。
ええ、ええ、仲良しですよ。言いたい事言える仲ですよ。気は合うんです。はぁ。
「お姉さん、取り敢えずビールニ杯ね!」
「はい、聖女様(笑)」
取り敢えず、聖女様(笑)のおかげで今日も平和です。