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可愛い旦那の話を聞かされているOLの話

作者: オムレツ

どうも!

思い付いたので書いてみたシリーズ第2弾です。

楽しんで貰えれば幸いです!

とある会社の昼下がり。

二人のOLが向かい合いながら弁当をつついていた。


「ねぇ香織。私ね思うのよ」


「何を?」


私こと 日草ひぐさ 陽子ようこはここ最近の発見、いや真理と言い換えてもいいかもしれない。そいつに行き着いてしまったのだ。その思いを同期で友達の 木本(きもと) 香織(かおり)に告白しようと思う。


「嫁って別に女の子に限らないと思うのよ」


「はぁ・・意味は分からないけど聞いてあげるわ。どうしてそう思ったのかしら?」


「ふむ。否定から入らないのは貴方の美点ね」


「そりゃどうも」


「まず、私がすでに結婚してることは知ってるわよね?」


「そりゃもちろん。指輪もしてるしね」


香織は私の左手薬指に視線を向けた。

そこにはイニシャル入りのシルバーリングがキラリと光を放っている。


「そう。つまり私には旦那がいるということに一般的になるわけよね」


「ん?一般的にもくそも、いるんでしょ?まさかとは思うけど2次元男子と結婚して、指輪してますなんて落ちはないでしょうね?」


「それこそまさかよ。安心して、しっかり実在する人よ」


まさかの疑惑が生まれたので真っ先に否定しておく。


「なら、何が言いたいのかしら?」


「私の旦那、もとい私の嫁。あぁ、名前は雪っていうんだけど。その雪が可愛くて、愛しくて仕方ないの!!もう目に入れても痛くないくらい!むしろ入れたいわ!それならいつでも雪を見ていられる!えっなにそれ天国じゃん!」


やばいドラゴンボールが手に入ったら願いはそれにしよう。


「落ち着かんか。ギアを落とせ。私がついていけん」


「ごめんごめん。あまりの素晴らしい妄想に興奮してしまったわ」


雪のことになると興奮して、自分を抑えられないのは私の悪い癖だ。


「それでね。雪には旦那って表現は似合わないなって話よ」


「そんなに可愛いの?」


「私の100倍可愛い!!」


「それは女としてどうなのよ」


香織に半眼で呆れられるがこれだけは譲れない。

誰が何と言おうが雪は世界で一番かわいい私の嫁なのだ。


「なら写真みる?」


「あるなら最初から見せなさいよ」


視点変更



そう愚痴りながら携帯をのぞき込む。

そこに移されているのは幸せそうにピースをしている二人の写真。

一人は言わずもがな陽子。だがもう一人はどうみても女子だ。しかもかなり可愛い。


ボブくらいのまっすぐ一部が編み込まれている。それがまたアクセントになっていた。大きな瞳は幸せさを体現したかのようにきらきらしていて、まつげもふさふさで、あれで天然ものなら女としては羨ましい限りだ。さらにちっちゃなお鼻はしゅっと筋が通っており、ぷっくり桜色の唇は蠱惑的な魅力を秘めている。


まさに正真正銘の美少女だ。おそらく誰に聞いても満場一致でそう答えるだろう。だが、、、


「陽子、旦那の写真を見せてくれるんじゃないの?この子は貴方の妹か何かかしら」


「違うんだなこれが」


陽子のもったいぶった言い方にすこしイラっと来たが、この程度で怒るほど私は子供ではない。


「じゃあ誰なのよ」


「私のハズバンド、つまり旦那、もとい嫁」


「は?」


「だから私の夫。結婚相手」


「この女の子が!?」


「ん?雪は男よ?」


「えっ???」


「だーかーら雪は男よ」


「・・・ごめんなさい。ちょっと待ってね、、、一応聞くけどおなべって線はないわよね?」


「当たり前よ」


「あ~なるほど・・・ようやく話の本筋が見えてきたわ」


この写真の子が本当に旦那だというなら先ほどの意味不明な発言も理解ができる。


「つまりこの恐ろしくかわいい子が陽子の結婚相手でその子に首ったけッて理解で良いのかしら?」


「イグザクトリー!」


「しっかしこの子が男とはね~」


確実に生まれる性別を間違えた性別を間違えたとしか思えない可愛さだ。

正直この子がモデル雑誌に載っていても何の問題もないと思う。


「いや、雪が男で本当に良かった。雪が男性だからこそ体も心も戸籍上も全て私のものに出来る」


ふへへと言いながらのぼせる友人にかなりの狂気を感じたが触れないでおこう。これは確実に触れるな危険案件だろう。


「もしこの子が浮気でもしようもんなら発狂しそうな勢いね」


「雪が浮気?ありえないわ!見なさいこの弁当!!」


ばーんっと効果音が付きそうな勢いで見せてきた弁当。

そこには、色とりどりのおかずが所狭しと並べられている。彩りも素晴らしいがそれだけでなく、おかずの形が全て動物を象られており、顔は様々な具材を使って描かれている。それはもはや、弁当と言うより動物園そのものだった。


「・・・可愛いわね」


「でしょ?」


「これをこの子が作ったの?」


「そうなのよ!!」


「大変だったでしょうに、凄いわね」


明らかにこれは1時間やそこらで出来るものでは無い。ってことは、私たちの始業時間は9時だから、4時くらいに起きて作ったんじゃないかしら。


「でしょ〜!!それでそれでね!『こんなに頑張らなくて良いよ』って言ったら、なんて言ったと思う?」


「なんて言ったの?」


「『作っちゃダメ?』とか上目遣いで言うのよ!!素直に押し倒して犯したかったわ!!」


「流石に素直すぎよ、、これじゃどっちが雄が分かったもんじゃないわね」


とはいえ、私もそんな可愛いこと言われたら自制できる自信はないが、、



「でね!私たち毎日一緒に風呂入ってるのよ。一緒にに入らないと一日の疲れが抜けないというかねー。もう一種の中毒ね!」


「仲良いわねー。結婚して何年になるんだっけ?」


「だいたい5年くらい?」


「ん?」


5年?

陽子の発言に疑念を覚えてしまった私。

何故なら彼女は高卒で働き始めて、今年5年目なのだ。


「あんた数え間違ってない?それだと高校卒業してすぐ結婚したことになるわよ」


いくらなんでも早すぎる気がするのは、私の考えが古いからだろうか。


「うん?間違ってないわよ?卒業したその年に結婚したし。まぁ式は親族しか呼べなかったけどね。ホテルとか教会でやるお金もなかったしね」


当時を思い出しているのか陽子の顔は暖かく優しい。


あまりに若い結婚は周りから揶揄され易いものだか、この2人は周りに祝福され結婚したのだろう。それが彼女の顔を見るとよくわかる。


「あの日ほんと幸せだったなー。もちろん今もちょー幸せだけど。やっぱり結婚式は特別ね。きっと一生忘れない思い出よ」


「素敵な話ね」


「うん。あの日雪が言ってくれたの『一緒に幸せになろうね』って。それが私すごく嬉しくて」


シルバーリングを愛おしそうに見つめながら言う。


「『幸せにするよ』とかじゃなくて、『一緒に』って言ってくれて、雪は私の事をほんとに想ってくれてるんだって分かって、思わず泣いちゃった」


「良い旦那さまじゃない。離しちゃ駄目よ」


「絶対に離さないし!離れていかないもんね!でねでね!これだけじゃないのよ雪の素晴らしエピソードは!」


その後、休憩の間ずっと惚気話を聞くこととなったのだが、どれもこれも幸せそうに語るから、邪険にもできないのよね。あーもう!彼氏欲しい!


そんな事を思いながら休憩時間を過ごす私なのだった。


読んで頂きありがとうございます。

今色々と違う作品を書いてるので、感想をくれたら嬉しいです!

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