第六話 バットピグ討伐
「邪神竜撃迅雷剣ッ!バリアー!邪神竜撃迅雷剣ッ!バリアー!うおっバリアー!」
バリアーを使いつつ、普通の剣での振り下ろしをスライムに対して繰り返す。
昨日までは、あまり攻撃してこないスライムに対しても、まあまあ攻撃を喰らっていた俺だが、今日はバリアーのおかげもあって全くノーダメージだ。
あれから何度もスライムと戦闘を重ねて、バリアーもかなりスムーズに出せるようになった。
「はい、バリアー!」
とまぁ、こんな感じ。掛け声ひとつで発動出来るまでになった。
倒したスライムは消え、迷宮石がドロップした。
「よしっ!」
スライムの落とした迷宮石を回収しに行く、今日はどれぐらい稼いだだろう。
そう思い、迷宮石を入れた袋を確認、、5個か。
三時間ちょいで50近く倒したかもしれない、まあドロップ運はふつうだが三時間で5個は上出来だ。しかもノーダメージだから身体の負担も軽い。
というか…
「なんか今日めちゃくちゃ身体が軽いぞ」
バリアーで攻撃を受けないようになったと言っても、いつもなら8時間かかって70とか80のスライムを倒していた。
それが今日は3時間ちょいで50だ。
「これも迷宮装備の効果なのか?」
プロテクターをつけてから感じるようになった周囲を漂う温かいモノ…、マナ?魔脈?みたいなバリアーを発動するためのエネルギーが身体を軽くしてくれているように思う。
「俺はそろそろ、スライムを卒業する頃かもしれない…」
完璧に迷宮装備ブーストだが、これは次なるモンスターを狩るいいチャンスだ。バリアーもあるしマナ…、と呼ぶことにするがマナのおかげで身体も軽い。
そう思い、俺は慣れ親しんだ狩場を後にした、ふと後ろを振り向くとスライム達がまたポツポツと湧き出ている。
「…」
冒険者になって半年、ずっと狩り続けていた場所だ。ちょっと寂しさもあるが、もしも新人冒険者が行き詰まっていたらここを教えてあげよう。そう思いながら俺は歩き出した。
「さてと、何を討伐するか…」
とりあえずは遠くの方に見えるこの階層の城に向かって歩き出した。
迷宮扉から入ってすぐのここは第一層と呼ばれている、まあはじまりの場所のようなモノでスライムや、一番強くてもリザードマンぐらいが出る階層だ。
そして第一層と言うからには第二層、三層と続くわけだが、その各階層の入り口があの遠くに見える城の中にあるらしい。
なんでも城の中には下の層に続く階段を守る大型のモンスターが居るとか居ないとか言う話だ、俺には縁のない話だな。うん。
と、しばらく歩きながら考えていると遠くからキィイイイイイイーーーと甲高い鳴き声が聞こえてきた。
「この鳴き声って…」
走ってその鳴き声のしたほうへ向かうと、やっぱりだ。
バットピグがスライムを捕食していた。
バットピグ、子豚のような身体にコウモリの羽根が生えているキメラのモンスターだ。絶対その羽根じゃ飛べないだろ、と常々思っていたが実際に見てみても思う。
絶対に飛べないだろそれ。
バットピグはこちらに気付かずにフルフルと震えているスライムを捕食している。
さっきの鳴き声で体を麻痺させたのだろうか?
かなり手強そうな相手だ…、まあスライムの次に遭遇する程度の低級モンスターだろうけど、スライムを捕食しているあたり…スライムの完全上位互換!
食物連鎖ではスライムの上に立つモンスターだ…。
今の俺の相手にはピッタリじゃないか。。。
俺は左腰の鞘から剣を取り出した。
「へい!バットピグ!!」
そして大声でスライムを食べるのに夢中なバットピグに呼びかけた。
すると、バットピグはピタリと食べるのをやめ、こちらを向く
と同時にキィイイイイイイーーー!!という甲高い鳴き声発した
「ッ!!!」
間近で鳴き声を聞いた俺は、思わず後退りする。
頭の中で音が鳴り響き、視界もグルグルと回転している。なんて凶暴な鳴き声だ…。
「ま、まずい…」