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異世界災派 ~1514億4000万円を失った自衛隊、海外に災害派遣す~  作者: ス々月帶爲
第二章 行き着く先は
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第十九部

そういえば、この作品、五万文字を超えていましたね

 駐屯地の内情を把握する為、そこら辺を歩いていると何処からか杉田がやってきた。衣服を自身の顔が見えなくなる程抱えている。


「新渡戸さーん!入浴の時間でーす!」


 大きな声で走りながら伝えてきた。杉田も戦闘に参加したんだよな?元気すぎやしないか。


「いやぁ、ご無沙汰してます。新渡戸さん!」

「杉田……そっちは大丈夫だったの?」

「任務は無事遂行!落伍者もゼロですよ!」


 杉田は嬉々として言った。指揮官として、落伍者がゼロなのは確かに誇り高いだろう。

 しかし、この異様な元気はそれだけでは説明がつかない。私でさえ、表に出していないだけでかなり疲れているのだ。


「まぁまぁ。そんなに眉間に皺なんか寄せないで。お風呂に行きましょうよ」


 杉田の抱える衣類を見てみると、何故か私の着替えが含まれている。


「杉田――」

「あ、新渡戸さん。ちゃんと、新渡戸さんの服も持ってきましたよ」


 何で?何で、あなたが持っているんですか?


「あっ、その顔、さては私が何で新渡戸さんの着替えを持っているか疑問に思ってますね?」


 はい。全くもってその通りであります。


「新渡戸さんが隊舎に居なかったのと、外での目撃情報が多くありましたので、新渡戸さんのバッグ漁って持ってきました!」


 うーん……。そこは、誇らしい顔をするのは間違っているんじゃないかな。


「……はぁ」


 まぁ、ある意味平常運航か。杉田のやる事に口を出す余裕すら私には無いよ。歳なのか……。

 と、以上のやり取りを終え、お風呂に向かった。

 途中、衛生施設群を通り掛ったので、パジャシュの容態を確認すると共にイリューシャンを呼びに行った。

 イリューシャンと一緒に、病院天幕、通称病天(ビョウテン)に向かえば良かったのだが、イリューシャンとパジャシュ水入らずの時間を過ごして欲しかったので、私は駐屯地の内部を把握するという名目の元、徘徊していた。

 パジャシュは、喋れるまで回復をしていた。間に合ったらしい。本当に良かった。一つ、不安が消えた。

 壁外駐屯地では、浴場も仮設で賄っているものの一つで、第12後方支援隊による全力入浴支援が展開されていた。その野外入浴セット2型の隣には、中央即応連隊の装備であるシャワーコンテナがあった。

 彼ら、第12後方支援隊の休息の為にも、浴場の設置は大事である。

 第一中隊のWACが一度に入浴するらしい。ついでなので、イリューシャンも連れて暖簾を(くぐ)った。

 イリューシャンの尻尾を見てみたが、本当に繋がっていた。生えていた。

 ビルブァターニにもお風呂文化があるらしく、湯船自体にそこまで驚かれなかったが、シャンプーやボディーソープと言ったものには目を見張っていた。試してみるよう促してみたが、怖かったらしく受け皿に置いてあった石鹸に落ち着いていた。

 雑談がてら、イリューシャンにこの世界について教えてもらったり、逆に私と杉田が日本の事を教えてあげたりしながら、隊舎へと向かった。

 割り当てられた部屋には、杉田が付いてきた。同じ部屋らしい。巻口連隊長に交渉した事など明白だ。杉田の荷物が適当にぶんながっている。いくら杉田とは言え、こんなに適当には置いておかないだろう。自衛隊名物"台風"を味わっていれば、自然と綺麗に整頓するよう体が動くのだ。

 寝台は二段ベッドが二つで、四人が定員の部屋ではあるが、この部屋には杉田と私の二人だけだ。しかし、今夜は寝床が無いイリューシャンも同じ部屋だ。


「改めまして、お疲れ様です!新渡戸隊長」

「お疲れ」


 杉田は、わざといつも通りに接しているのか?だとしたら、相当凄いぞ。初めての実戦で、いつもの小隊よりも多い人数を指揮したのに。

 私も負けじと、いつも通りを演じてしまう。


「あれ?珍しく素直ですね」


 実際、何も気を遣っていないのかな。ただ、体力というか元気が有り余っているだけで。

 この反応こそ、"杉田夜春"と言える。


「じゃあ、皆さん。おやすみなさい!」


 短い休憩時間に異世界等関係ないような、どこにでも通用するような他愛ない話をしていたら、遂に消灯時間だ。杉田が咄嗟にこう切り出した。

 私とイリューシャンもそれに応答して、床に就いた。


「おやすみなさいです」

「おやすみ」

読んでくださりありがとうございました


遂に、第二章終了です!次回から、第三章に突入します。ここまで、ついてきてくださった方、初めて読まれた方、これからもよろしくお願いいたします。

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